冷蔵庫にろくな食べ物がない! でも、もう外に出るのはめんどくさい。家にあるもので、なんとか食べたい! そんなことを思ったことはありませんか?
記者の場合、今までこういったときには乾麺タイプのラーメンかうどんを具材少なめで作っていたのですが、先日栄養士の友人から良いことを聞きました。乾物が、実は意外にいろいろ使えて、簡単で栄養もたっぷりでおいしいというのです。
調べてみたら、「乾物? 地味!」という記者の予想を裏切って意外にもオシャレ!
乾物で「雑穀とナッツとレーズンのキッシュ」や「ドンコ・オー・ヴァン(干し椎茸と鶏肉の赤ワイン煮)」などが作れるレシピ本『乾物Every Day』という本が出ていたのです。
この本にのっている乾物料理をさらに簡単にしたり、手順や材料を考えたりして、レシピを作ってみました!
【材料は乾物と調味料だけ! 簡単レシピ】
■カシューナッツの乾物カレー
<材料(2人分)>
スライス干し椎茸 10g
切り干し大根 20g
ドライトマト 20g
カシューナッツ 120g
生姜(チューブ) 2センチ程度
にんにく(チューブ) 2センチ程度
赤ワイン(なければ水) 20cc
ローリエ 2、3枚
カレールー 適量(箱の記載に合わせて2人分)
水 適量(カレールーの記載に合わせてください)
オリーブ油(なければサラダ油) 大さじ1
レーズン お好みで
<作り方>
1. ドライトマトとスライス干し椎茸、切り干し大根を深皿に入れ、水を加えてやわらかく戻す(15分程度)
2. フライパンにオリーブ油、にんにく、生姜を入れて、香りが立つまで熱する
3. フライパンの火を止めて、ドライトマトをよく絞り、細かく刻んで2に入れる(水は捨てる)
4. スライス干し椎茸と切り干し大根の水気をよく絞って2に入れる。水はとっておく。
5. フライパンにカシューナッツを加え、中火にかけて炒める。
6. 5に4の水を加え、赤ワイン、ローリエを入れて弱火にかける
7. 煮立ったら一度火を止めてカレールーを入れて混ぜ、再び火にかけて煮立ったらできあがり。お好みでレーズンをトッピングしてください。
こちらは『乾物Every Day』に掲載された乾物カレーから着想を得て、カレールーを使うことによってさらに簡単に作る方法を考えたレシピです。切り干し大根のぽりぽりした感触が楽しい! 煮込む必要もないのでかなり時短でカレーが作れます。
ドライトマトは有塩タイプと無塩タイプがあります。有塩タイプのものを使う場合、戻し汁を使うとカレーの塩気が強くなるので、干し椎茸などとは別に戻してください。
■切り干し大根の洋風サラダ
<材料(2人分)>
切り干し大根 20〜30g
マヨネーズ 小さじ2
酢 小さじ2
オリーブ油(なければサラダ油) 小さじ1
黒こしょう お好みで
塩 お好みで
乾燥パセリ お好みで
<作り方>
1. 切り干し大根を水に15分程度つけて戻し、水気をしぼる。
2. マヨネーズ、酢、オリーブオイル、黒こしょう、塩でドレッシングを作り、1と和える。
3. 器にもって乾燥パセリをちらす。
こちらも『乾物Every Day』に着想を得たレシピ。切り干し大根の食感を生かしたサラダです。生の大根サラダをとるよりも大根がたっぷりとれます。今回は自分でマヨネーズを使ったドレッシングを作りましたが、水で戻した切り干し大根に手持ちのドレッシングをかけるだけでも、立派なサラダになっちゃいますよ。
■ドライトマトのおにぎり
<材料(2人分)>
ドライトマト 2枚(10g)
醤油 小さじ2
ご飯 軽めに2膳
<作り方>
1. ドライトマトを水に15分程度つけて戻し、水気をしぼる。
2. 1を細かく刻んで小皿に入れ、醤油と和える。
3. ご飯に混ぜ込んでおにぎりをにぎる。
こちらは、『乾物Every Day』に紹介されていた使い方を、レシピにしてみたもの。トマトの塩加減によって醤油の量は調整してください。
パスタやスープなどに使うことが多いドライトマトですが、こんな和風な使い方も。簡単ですが、トマトの旨味が口の中に広がってとってもおいしいのでオススメです。
【乾物は、地味じゃない! 時短料理にも使えて、一人暮らしの人にもオススメ!】
今までちょっと敷居が高かった乾物だけれど、使ってみたらかなり便利。冷蔵庫に入れずに長期保存ができるから、ずっと忘れていても、思いついたときに食べられちゃう。ズボラな記者にはぴったり。
乾物のこと、もっと知りたい! ということで、『乾物Every Day』の著者で社団法人DRYandPEACE代表の(http://www.dryandpeace.com/)サカイ優佳子さんと田平恵美さんにお話を伺ってきました。
お二人はこの『乾物Every Day』を、乾物の「地味で、めんどくさくて、いつも同じ味」というイメージを変えたいと考えて作ったそう。
「時代とともに、私達の食生活も変わってきています。それに合わせて、乾物を使った食べ方も変わっていっていい。五感を大事にして、おいしく食べられるレシピを提案したいと思いました。」
たしかに、『乾物Every Day』の中には乾物を使ったパスタなど、オシャレで乾物のイメージからほど遠いレシピがいっぱい。今回の記事では乾物のみのレシピを紹介しましたが、書籍には鶏肉やひき肉などを組み合わせることで、風味豊かで毎日の食卓に簡単に取り入れられそうなお料理がたくさん載っています。
サカイさんのご自宅の乾物の棚にはたくさんの乾物が。こうやって保管しておけば見た目もおしゃれだし、乾物だけですばらしく豊かな食事がとれそう。
お二人はさらに乾物の魅力を教えてくれました。
「野菜の乾物は、皮をむいたり刻んだりしてあるものが多いので、包丁を使わなくても調理ができるものもあります。また、好きな分量だけちょこちょこと使うことができるので、一人暮らしの人にも便利なんですよ。 軽いから、お買い物も楽にできますし。」
確かに、今回紹介したレシピでも、包丁の出番は水で戻したドライトマトを刻むのみ。いろんな乾物を保管しておけば、ちょこちょことお料理に使えて、豊かな食生活になりそう。でも、水で戻す時間があるので、ちょっとめんどうなのでは?
「水で戻す時間がかかることを敬遠する声もあるけれど、戻しが不要な乾物もあるし、戻し時間が20分以下のものの方が実はずっと多いのです。また、乾物を水で戻している間は何も手がかからないので、シャワーを浴びたり別の料理を作ったりすることもできるのです。戻すのに時間がかかるものも、前の晩に水につけておけばよいだけのものがほとんどです。段取り上手になるのに、良い練習になりますよ。」
いろいろと便利に使えそうな乾物。みなさんも使ってみては、いかがでしょうか?
※ここでは「水分を飛ばすことで常温長期保存が可能になった食品」のことを「乾物」と呼んでいます。
【書籍情報】
書籍名:乾物EveryDay
本体価格:1,600円+税
著書:サカイ優佳子・田平恵美
出版社:コモンズ
取材協力:社団法人DRYandPEACE代表サカイ優佳子さん、田平恵美さん
お二人の写真提供:社団法人DRYandPEACE
(文、レシピ、取材=FelixSayaka)