愛する人が、病気になったらあなたはどうしますか。
アメリカ在住のフォトグラファーであるボブ・カーリーさんと妻のリンダさん。どこにでもいそうなこの仲睦まじい夫婦に起こった悲劇。リンダさんが乳がんの告知を受けたのです。
そこで夫が辛い治療に耐える妻を元気づけようと起こした行動とは……なんと裸にピンクのチュチュだけを身にまとい、セルフ・ポートレートを撮り始めたのでした!
夫のあまりにも身体を張ったセルフ・ポートレートで思わず笑ってしまった、とリンダさん。
定期的に病院に通う妻に付き添い、妻が治療を受けているあいだ、ボブは自分で撮影した作品をほかの患者に見せました。するとこの作品を見た人たちは大ウケ! そこでこれらの作品をネットで公開するとすぐに世界中から大反響がありました。「笑うことで少しのあいだだけでも辛いことを忘れられるんだ」。自分の使命を感じたボブは、乳がん患者と家族を支援する「THE TUTU PROJECT」を立ち上げることにしたのです。
地下鉄の駅で、屋外駐車場で、海水浴場で、時には雪が降りしきるなかで……日常的な風景に、ピンクのチュチュ一枚のおっさんがポーズを決める。なんともシュール。作品は、お腹がでっぷりと出た中年おじさんによる滑稽なポーズと、美しい風景とが溶け合う絶妙な作品に仕上がっていて芸術的にも高いクオリティ。
ときには中年の男性が裸にピンクのチュチュ姿とうことで、変質者と間違われて通報されることもあるそう。しかし、愛する妻の笑顔のために身体を張って奮闘するおっさんはなんと愛らしいことか!
「皮肉なことだが、妻のがんの告知をきっけに人生の尊さを知った。辛い状況を笑い飛ばす。友人や家族とその笑いを共有する。妻のために自分ができるベストなこと、いや、唯一できることが面白い写真を撮って笑わせることだったんだ」とボブは話しています。
ボブのピンクのチュチュ姿を集めた写真集「BALLETRINA」や2014年版のカレンダー、ポストカードなども発売されていて、売り上げは乳がん告知を受けた患者、治癒した患者、および家族のサポートのため寄付されます。
愛する人の笑顔のために、そして世界中のがんと闘う人々のために、おっさんは今日もどこかでピンクのチュチュを着て作品を作り続けているのです。
参照元 THE TUTU PROJECT
(文=黒猫葵)
▼寒さなんて二の次
▼大ジャンプ
▼木登り
▼駐車場もアート空間へ
▼一歩間違えれば変質者
▼虹と草原
▼タイムズ・スクエアで
▼季節感も大事
▼壮大なスケール
▼寝室で
▼ジャンプ!
▼荒れ地のおっさん
▼グースと川辺で
▼飛び込み
▼偉大な人と
▼お化粧直し
▼警察に職質されることも
▼ボブ・カーリーさん
▼仲睦まじいカーリー夫妻
▼恋している瞳
▼その笑顔が見たかった