現在、実写映画化され絶賛公開中の「魔女の宅急便」。過去には1989年に宮崎駿監督によってアニメーション映画化されたことでもよく知られていますよね。
原作は角野栄子さん作の児童書。記者は小学生のころ、親に原作本を買ってもらい、キキが成長するストーリーにドキドキしながらページをめくったものです。
この原作単行本の表紙はといえば、星がまたたく紺色の夜空に赤のフチどりがされ、同じ赤色でタイトルが書かれていました。そこに黄色の丘が描かれ、ほうきを挟んで真っ黒なワンピースに身をつつんだ主人公のキキとその相棒・黒猫のジジが見つめ合う……。
とても印象的な表紙で今も記憶に残っていた記者は、最近、「魔女の宅急便」の角川文庫版を見つけてめちゃくちゃ驚愕! なぜって、昔の本の表紙の面影も感じさせないまったく新しい表紙だったから! そもそも角川文庫版なんていつ出てたのーっ!?
私たちの記憶にある元の本は、1985年に福音館書店から出版されたもの。表紙のイラストを描いている林明子さん(※)は、「おつきさまこんばんは」や「おててがでたよ」などの名作絵本も手がけている方。
一方、角川文庫版の表紙を描いているのはイラストレーターのこよりさんという方だそう。ライトノベル的なテイストも感じさせつつ素朴な温かみもあり、これはこれで素敵! 成長途中にあるキキの繊細ではかない雰囲気を今の感覚で描いています。
福音館書店版と角川文庫版では表紙がまったく違うだけに、中身は同じ文章でも受ける印象はガラリと変わりそう! 記者はどちらのイラストもそれぞれのよさがあって素敵だと思いますが、皆さんはいかが?
ちなみに。実は、「魔女の宅急便」ってシリーズ物ってご存じでしたか? 全部で6巻まで出ており、ここからは少ーしネタバレになってしまうのですが、「魔女の宅急便〈その4〉キキの恋」ではなんとあの彼との恋模様が描かれ、最終巻の「魔女の宅急便 〈その6〉それぞれの旅立ち」では彼と結婚したキキが双子の子どもを持つ30代ママになっているのです! 最終巻の発売が2009年だったことを考えると、まさにリアルタイムと同じスピードで本の中のキキたちも成長していたんですね!
キキのその後を知りたい方、物語がなつかしくなった方、ぜひこれを機会に再読してみては。大人になってから読む「魔女の宅急便」は、子どものころとは違う新たな発見があるかもしれませんよ。
(※)林明子さんがイラストを描いているのは単行本1巻のみで、第2巻は広野多珂子さん、第3~6巻は佐竹美保さんです。
参考:福音館書店, 角川文庫
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch