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人間と寄生獣のバディムービー? 映画『寄生獣』で、ヘタレ男子のグロく頼もしい変貌を見よ!【最新シネマ批評】

2014年11月29日

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは人気漫画の実写映画化『寄生獣』(2014年11月29日公開)です。謎の知的生物に次々に襲われる人間。しかし、新一だけは脳に寄生されず、右手に寄生されてしまうのです。新一と右手の“ミギー”の闘いを描いたのが映画『寄生獣』。二部構成で、こちらは第一部。人間 VS 謎の生命体のバトルだけでなく家族の絆も描いており、スリリングかつ感動もできる映画になっています。

【物語】

泉新一(染谷将太)は、ある朝突然、右手を謎の生物(通称パラサイト)に侵されてしまう。しかし、本当は新一の脳に寄生するはずだった生物は、自分を「ミギー」(阿部サダヲ)と名乗り、新一と共存することに。とまどう新一をよそに、ミギーは恐ろしい速さで人間界の言葉やルールを習得していきます。しかし、人間の脳に寄生したパラサイトは増え続け、新一の大切な人たちにまで寄生していってしまうのです……。

【風変りなバディムービー?】

映画『寄生獣』の面白さは、人間とパラサイトの闘いを描いている中にときおり挿入されるユーモア。このコメディリリーフ的な役割をミギーが担ってます。本当は脳に寄生するはずが右手に寄生してしまうところからして、ちょっとドジなパラサイトであり、脳に寄生して人間を丸ごと乗っ取ってしまうパラサイトからダメ扱いされているという。そのせいで新一との間に友情?みたいなものが生まれ、運命共同体みたいになっていくのです。

ミギーは新一の体の一部ですが、二人で協力して敵に立ち向かう姿はちょっとバディムービーのよう。ただ新一はミギーに浸食されている部分もあり、最初に登場したときのヘタレ男子がちょっと狂気じみた行動や発言をするようになります。新一役の染谷くんも

「半分寄生獣になってから、物理的に強くなっているので、なよなよしていたのが男らしくなっていくという方向性で演じました」

と語っています。

【映画のオリジナリティ】

原作漫画では空から降ってくるパラサイトですが、この映画では深海からやってきます。この設定は山崎監督のアイデアです。

「地球の生命体なのですが、空から降って来ると宇宙からやってきた生命体だと思いますよね。この原作の面白さは地球がパラサイトを送り込んだというコンセプトなので、それがよくわかるように深海からやってくることにしました。深海生物も参考にしました」

と語る、山崎監督。なるほど、そういえば人間に次々と寄生するパラサイトの形状、ちょっと魚っぽいですね。

また新一の家族も母子家庭に設定を変えています。これについて脚本の古沢良太氏は、こう語っています。

「父親をカットするのは苦渋の決断でした。限られた時間内に描く人の優先順位をつけたらカットせざるをえなかったのです。でも、母子家庭になったことによって、新一と母との絆は深まり、悲しみの深さも増したと思います」

悲しみとはっ! それは見てのお楽しみ。

【最初のシーンから気を抜かないで】

11月29日から公開される『寄生獣』は人間がパラサイトに寄生されて、これから人間はどう生きて、どう戦っていくのかが描かれています。誰が味方で誰が敵か、まさに闘いの火ぶたが切って落とされるのです。そして2015年4月25日公開の『寄生獣 完結編』に繋がっていくのです。
とにかく物語のテンポが速いので置いて行かれないように。最初から気を抜いてはいけません。オープニングから「えええええ!」というように畳み掛け、あっという間に『寄生獣』の世界に引きずり込みますからね。気合いを入れて見ましょう!

執筆=斎藤香(c)Pouch

『寄生獣』
2014年11月29日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿ピカデリーほか全国公開
監督:山崎貴
出演:染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、橋本愛、東出昌大ほか

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