ただいま1歳の息子がいる我が家。ここしばらく、来春入園の認可保育園の申し込みでてんやわんやしておりました。
子どもを育てながら働きたい人にとって、“認可保育園入園”は切実なる願い。……なわけですが、メディアでもしばしば報じられているとおり、都市部、特に23区にいたっては入園するのが非常に難しい。ハッキリ言って、無理ゲーすぎ。
そこで、今回はその実情について自身の体験を踏まえてレポートしてみたいと思います。
【そもそも認可保育園て何?】
そもそも子どもを保育園に預けていない人たちにとっては、「認可保育園? 何それ、ウマイの?」ぐらいの認識でしょう。なので、まずは簡単に説明を。
現在、東京都の保育園には認可・認証・無認可という3パターンがあります。その中で認可保育園というのは、国が定めた基準を満たした保育園のこと。認証や無認可より、園庭が広い・一人あたりにおける保育士の数が多いなどの場合がよくあります。そして、保育料! 世帯収入にもよるのですが、認証や無認可保育園に行かせるよりも月額2万円以上安くなる家庭も。
こういった理由から、「行かせるなら認可保育園に!」と思う親が多いのは自然なことなのです。
【入りたいけど入れない】
しかし、認可保育園の定員数より希望者が多すぎるため、現在、認可保育園に入るのは至難の業。「入りたいけど入れない」子どもが山ほどいて(これが俗にいう「待機児童」というもの)、そこで数少ないイスをめぐって争う仁義なき戦いが勃発するわけですね。たとえば私が住む中野区の場合、昨年の申し込み状況を見てみると、募集数6名の枠に100名以上が申し込んでいたりする。なんちゅー倍率……どう考えても入れる気がしない……。
【どうやって決めてるの?】
ちなみに、どうやって入園者が決まるかというと、これは選考指数がかかわってきます。指数というのは、たとえば「月20日以上、1日7時間以上の就労を常態としているなら20点」などというふうに、家庭の状況によって点数が加点されたり減点されたり。この合計点が高い家庭からとっていきます。ひとり親家庭は加点が高いため、なので「偽装離婚」なんていう飛び道具を使う家庭まで出てくるわけです……ね、ホンマに仁義なき戦いですわ。
【でもどうしても認可に入れたいよー】
「偽装離婚」のほかにも、認可保育園入園におけるアドバイスがいろいろとネット上にはあがっております。いわく、「区役所に何度も通って職員と仲良くなっておけ」「申し込み書類を出しに行くときは、子どもを連れてボロボロの服で行け」「規定の書類以外に陳情書を書け」などなど……いったいどこまで本当かわかんないよ! しかし、せっかくなので試せるものは試してみようではないですか。
———— ネットのウワサを実際に試してみた! ————
【ボロボロの服を着ていった】
で、先日、ようやく記入した認可保育園の申込書を区役所に提出しに行ってきたのですが。やってみましたよ。毛玉だらけのセーターにスッピン、髪ボサ。生活に困窮した主婦になることで同情票でももらえるということなんでしょうか。
【毛玉アピールしてみた】
区役所の窓口で職員の方に不備がないかチェックしていただいたのですが……さりげなく袖の毛玉をとりながらアピール開始! 毛玉! 毛玉だよ! セーターに毛玉ができていても新しいのを買えないよ!
……ダメですね、書類のチェックに集中していてまったくこちらのほうなど見てないわ。
【手をじっと見てみた】
次! 職員が顔をあげた……チャンス! 手をじっと見る。切なそうにじーっと見る。働けど働けど生活が……楽に……ならない……。今通わせている認証から認可保育園に移らせて……!!
「ここ、マルがついてないですね」
「あ、はい」
ちっとも気づいてもらえませんでした。
【実際に聞いてみた】
ラチがあかないので、こうなったらズバッと聞くしかない。
「あのー、フリーランスって会社でフルタイムで働いてる人より不利ってウワサを聞いたんですが……もし同点だった場合、やはり優先度は低いんでしょうか……」
「いえ、そんなことはないです。ここに同一指数世帯の優先順位ってあるでしょ? 同点の場合はこれで見ていきますから」
すごいビジネスライクに言われました! え、何、毛玉だらけのセーターとか生活に疲れた感とかいっさい関係ないってこと!? 書類は無事に提出できましたが、そのあと中野のサンモール商店街をボロボロの格好で歩いた私……このはずかしめをどうしてくれるんですか。
というわけで、保育園活動にいそしむ皆さん。やはりとにかくポイント(指数)を積む・選考基準にできるだけ近い状況にする、というのが何よりのようです(中野区の場合ですが)。
発表は来年の2月。保育園の数も急きょ爆発的に増えることはないので、来年度の認可保育園入園も厳しいことが予測されます。がんばって「仁義なき戦いを乗り越えましょう」というのではなく、本来であればこんな競争があってはならないわけで……。希望する家庭の子どもがみんな、保育園に入れる環境になることを強く望むところです。
執筆・画像=鷺ノ宮やよい (c) Pouch