本日10月7日は「ミステリー記念日」。ミステリー小説および推理小説の先駆者、アメリカの小説家で詩人のエドガー・アラン・ポーが、1849年のこの日に亡くなったことが由縁とされています。
折しも季節は読書の秋、こんな日は極上のミステリーを読んで、その世界にとことん浸りたいもの。
記者おススメの1冊は、ポーが手掛けた短編推理小説、「モルグ街の殺人」。ポー自身が編集主筆を務めていた「グレアムズ・マガジン」4月号に掲載、1845年に発売された同作は、世界初の推理小説といわれており、そういった意味でも必読の書です。
【推理小説の原型とも言うべき作品です】
天才的な頭脳と卓越した想像力を持つ素人探偵と、図書館で出会って意気投合した、ごくごく平凡な語り手という関係性。そこへ飛び込んでくる、常軌を逸した “密室” 殺人事件。さまざまな人々の証言を頼りに、事件をするすると紐解いていく探偵。
その先に待っていた、誰もが予想し得ない驚愕の真犯人とは……?
密室トリックの利用、素人探偵を登場させ、本格的推理の手順を踏んで事件を解決するという、ミステリーおよび推理小説の基本構造をすべて抑えた同作は、以後、多くの作品に多大な影響をもたらしています。
【「モルグ街の殺人」ってどんなお話?】
さて、ここからはネタバレになるので注意!
パリ、モルグ街のアパルトマン2階で殺されていたのは、母と娘。母は首をほぼ切断された状態で、一方の娘は煙突へ上下逆さに詰め込まれた状態で発見されるという、むごたらしさ。しかし事件現場は、完全な密室だったのです……。
【あらゆる視点から犯人の正体を解き明かす】
犯人の手掛りをつかめないまま、迷宮入りになりかけていた事件に興味を持った素人探偵、C・オーギュスト・デュパンは、「多くの人が妙な声を聞いたこと」「それが証言者たちの母国語以外の言語であったこと」「凶悪殺人事件にしては動機が欠けていること」「2階の窓からしか侵入経路がないこと」「娘の首を絞めた手の跡が異常に大きいこと」などから、意外な犯人をあぶり出すのです。
【犯人は……人間じゃないのかYO!】
その犯人はなんと……オランウータン! とある船乗りがボルネオで捕獲した後、うっかり逃してしまった、オランウータンだったのであります……! 人間じゃないとは、なんて斬新な結末……。
【ぜひご一読あれ☆】
結末を聞いてもなお、いや、むしろますます小説自体を読みたくなる。人々の興味を惹きつけるあらすじもまた、名作たらしめる理由のひとつ。
秋の良き日、ミステリー小説のレジェンド「モルグ街の殺人」における名推理に、酔いしれてみてはいかがでしょうか。
参照元:今日は何の日~毎日が記念日~
執筆・撮影=田端あんじ (c)Pouch