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長瀬智也が赤鬼ロックスターに!! クドカン監督の最新作『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は地獄で弾ける青春の夏祭り☆【最新シネマ批評】

2016年6月25日

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、待ちに待った宮藤官九郎監督&脚本の地獄の青春コメディ『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(2016年6月25日公開)です。

宮藤監督作としては、4作目。今回は地獄を舞台にバンドと青春と転生を描いた大変にぎやかな地獄の青春コメディで、記者はクドカン監督作の中でいちばん好きです! では物語からいってみましょう。

【物語】

フツーの高校生である大助(神木隆之介)は、同級生のひろ美ちゃん(森川葵)に片思い。そんな中、修学旅行の途中、事故で命を失ってしまう大助。目覚めたら地獄。まだキスもしたことないのに。

そんな彼を迎えてくれたのは、地獄専属ロックバンド「地獄図(ヘルズ)」のボーカル&ギターで、地獄農業高校の軽音楽部顧問でもある赤鬼のキラーK(長瀬智也)。

キラーKは大助に、えんま様の裁きで現世に戻るチャンスを得られると言う。そのためには地獄めぐりをしなければならぬ。というわけで、大助はキラーKの導きで地獄めぐりを開始するのですが……。

【宮藤監督にしか描けないクドカンワールド】

この映画はまさに、宮藤監督にしか描けない世界観に満ち満ちています。それが何より素晴らしい! 設定からしてハチャメチャで、下手すればコントになりそうなのですが、ベースに生死や恋をしっかり根付かせることで、「まだ死にたくない」「生き返りたい」「あの子に会いたい」という大助の強い気持ちが、映画のエンジンになっているのです。

地獄めぐりは一種のロールプレイングゲームのような作りで、見ている方は「次はナニナニ?」という楽しみがあり、大助がこんがらがって苦闘するほど笑えるという毒もたっぷりです。

キャラクターもヴィジュアルもコテコテで濃厚。でもこういう設定で映画を作るなら、お行儀の良さは皆無でOK、監督自身、振り切っているから、見ている方もノリノリになれるという。

また長瀬智也がハマリ役! 熱くて天然で豪快で、ちょっとだけデリケートな一面も見えて……彼の魅力が堪能できます。地獄ではずっと赤鬼だけど、生前の赤鬼さんにも注目です。

【地獄の青春映画が生まれるきっかけとは?】

宮藤監督は、この映画を作るきっかけについて、こう語っています。

「今までいろいろな作品で仕事をしてきた長瀬くんと、暑苦しいロック映画を作りたいと思っていました。長瀬くんは日本の俳優さんじゃないようなダイナミックな演技をするので、ジャック・ブラック主演の『スクール・オブ・ロック』みたいに強烈なキャラクターが映画を引っ張っていくようなアメリカのコメディみたいになるんじゃないかと。設定は普通じゃない方がいいので、地獄の赤鬼になってもらいました(笑)。舞台を地獄にしたのは、AC/DC、KISSなどの歌詞を見ると「Kill」「Hell」「Burning」などの威勢のいい言葉が並んでいて “かっこいいヤツは地獄へ行く” と、そこから発想しています」

確かに、赤鬼たち地獄ロックの面々のヴィジュアルは、KISSやアリス・クーパーやマリリン・マンソン的な影響も感じられます。

そういえば、KISSのアルバムで「地獄からの使者」っていうのがありましたね。クドカンファンだけでなく、ハードロックやヘビメタファンも思わずニヤニヤ見ちゃう映画ではないでしょうか。

【クドカン演劇の手法が随所に!】

宮藤監督は、もともとは演劇畑から映画やドラマの世界に入って来た人です。

「でも演劇の手法を映画に活かしたことがなかったので、今回は舞台の方法論を映画に引用しました。限られたスペースの中で広がりのある世界を表現するというチャレンジをやってみようと思いました」

そして、この映画を作るにあたって参考にした映画が木下恵介監督の『楢山節考』。スタジオのセットのみの撮影で、場面転換など歌舞伎などの手法を取り入れているのを見て、あの地獄シーンができたそうです。

この映画は、現世と地獄が繋がっている物語ですが、時代を超えて、名監督の名作と繋がっていたのですね。

【地獄に集まった豪華なキャスト】

またメインキャスト以外でも、出演者は個性的な面々がズラリ。ミュージシャンも地獄ロックに参加しており、鬼ギタリストのChar、じゅんこAのマーティ・フリードマン、じゅんこBのROLLY、そして、ジゴロック挑戦者は野村義男。

野村氏はもとジャニーズで、“たのきんトリオ”(た=田原俊彦、の=野村義男、きん=近藤真彦)のヨッチャンですから、何気に長瀬くんの事務所の先輩なんですよね~(わからない人はお母さんに聞いてください)。

とにかくにぎやかで楽しくて、ちょっとキュンとして……。まるで祭りのような、そう地獄の夏祭り映画とでも申しましょうか。

デートで見てもいいけど、大勢で、イベントやフェス行くノリで見に行っても楽しいはず。『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』を見て、笑って弾けて梅雨をぶっ飛ばしてください!

執筆=斎藤 香(C)Pouch




『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
(2016年6月25日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー)
監督・脚本:宮藤官九郎
出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名ほか
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▼『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』予告編

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