Pouch[ポーチ]

【本音レビュー】ムロツヨシが声優デビューした話題作『ボス・ベイビー』の演技が素晴らしい! 生意気な赤ちゃんを生き生きと演じていました

2018年3月22日


【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、大絶賛公開中のドリームワークス・アニメーション映画『ボス・ベイビー』(2018年3月21日より公開中)です。ムロツヨシさんが初めて声の吹替えをするということでも話題なのですが、何より“赤ちゃんだけどおっさん”という、特異なキャラの引きが強い。お子様向けのアニメ作品のはずが、大人も巻き込んでいるようです。

そこで今回は、『ボス・ベイビー』を本音レビューしていきたいと思います。(以下、ネタバレ含みます)

【物語】

7歳の少年ティムは、パパとママの愛を一身に受ける妄想好きなひとりっ子。とても幸せな毎日でしたが、弟が生まれてから事態は急変。なぜか黒いスーツ姿の弟は、パパとママを独占してワガママ放題! ティムは寂しくて仕方ありません。

しかしある日、ティムは弟が誰かと電話でペラペラ話している声を聞きました。「赤ちゃんがしゃべっている! なんで?」。

すると弟は、ティムに向かって大人の男の声で話し始めました。「自分はボス。秘密の任務を抱えて派遣された赤ちゃんなのだ」と。

【ムロ節炸裂のボス・ベイビー】

映画『ボス・ベイビー』は、日本語吹替え版でムロツヨシさんが声の吹替えデビュー&映画初主演!というムロツヨシ記念作品となっています。このキャスティングはハマりましたね!

この映画におけるムロツヨシさんは、人気映画『テッド』の日本語吹替え版でテッドを演じた有吉弘行さん的な存在なのではないでしょうか。「ムロさんだから何かやってくれる」「ムロさんだから面白そう」と思わせることが狙い。喜劇俳優としてトップクラスのムロさんは、その期待に十分に応えてくれています。


ボス・ベイビーはテッドほどのエロさや毒気はありませんが、金で何でも解決できると思っているし、常に命令口調で人使いも荒いし、ムカつく上司みたいな嫌味なところがあります。

ムロさんは、そんなボス・ベイビーをムカつくけど面白いおっさん化させています。この赤ちゃん顔でムロさんの声ですから、そのミスマッチ感がもうおかしいです。

【誰でも見られる安心感はあるけど、すこ~し物足りなさも】

ボス・ベイビーには「出生率の低下は人間の愛情がペットの犬に向けられたため。だから赤ちゃん人気を取り戻す」という目的があります。

犬人気の背景には、秘密のミルクで犬の成長を止めて、ずっとかわいい子犬のままにするという黒幕の企みがあり、それをボス・ベイビーとティムは協力して阻止しようとするのです。

実はボス・ベイビーも秘密のミルクがあるからこそ、ビジネスマンでいられるのですが、ミルクが切れるとバブーと赤ちゃん化してしまうっていうのが私的にはツボでした。薬が切れると……というところはちょっとヤバイ感じがしなくもないですが……。

ただ難を言えば、なんとなく先が読めるんですよね。ボス・ベイビーに家から出て行ってほしいと思っていたティムが、彼がいないと寂しくなり、ビジネスとして割り切っていたボス・ベイビーも同じ気持ちで……。そうなると、その後の展開もなんとなくわかり「どうなっちゃうんだろう」というハラハラ感がちょっと薄いかも。冷徹なおっさん赤ちゃんが愛情に芽生える場面は感動的ではあるんですけどね。

【ムロさん以外の日本語吹替え版メンバーも大成功!】

とはいえ、この映画は、ムロさん以外の日本語吹替え版メンバーも最高なんですよ! 悪役を演じる山寺宏一さんや、大人になったティム&エルヴィス・プレスリーを演じ分ける宮野真守さんの素晴らしさは、もうご存知だと思いますが、ムロさんと同じく声の吹替え初挑戦の芳根京子さんは、ティム少年を好演、あまりに上手くて驚きました。

またティムのパパをNON STYLEの石田明さん、ママを乙葉さんが演じていますが、お二人の吹替えも「この声、誰?」とまったくわかりませんでした。みなさん神演技! 日本語吹替え版で失敗すると作品の質も下げてしまいますが、本作はムロさんを筆頭に、日本語吹替え版のキャストの力が映画のクォリティを上げていると言ってもいいと思います!

3月21日の公開日、都内では完売の劇場もあったようです。楽しくてほっこりしたい映画を見たいときはゼヒ! おっさんみたいな赤ちゃんに会いに行ってください。




執筆=斎藤 香 (c) Pouch

『ボス・ベイビー』
(2018年3月21日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー)
監督:トム・マクグラス
声の出演:アレック・ボールドウィン、マイルズ・バクシ、ジミー・キンメル、リサ・クドロー、スティーヴ・ブシェミほか
(日本語吹替え版)ムロツヨシ、芳根京子、宮野真守、乙葉、石田明、山寺宏一ほか
(C)2017 Dreamworks Animation LLC. All Rights Reserved.

▼映画「ボス・ベイビー」日本語吹き替え版 予告編

▼英語版 予告編(字幕つき)もどうぞ☆

モバイルバージョンを終了