【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのはディズニー映画『ダンボ』(2019年3月29日公開)です。ディズニーは名作アニメーションの実写化ラッシュで『プーと大人になった僕』に続いて登場したのは実写版『ダンボ』。本作を手掛けたのは『アリス・イン・ワンダーランド』などでおなじみのティム・バートン監督です! 大きすぎる耳を持ったダンボはどんな活躍を見せてくれるのでしょうか~。では物語から。
【物語】
サーカス団の象、ジャンボが出産。誕生した子象はダンボと名付けられ、サーカス団のアイドルになるだろうと期待されていました。ところが、大きすぎる耳を観客にバカにされ笑いものに……落ち込むダンボ。
そんなダンボの面倒を見ていたのは、かつてサーカス団で人気を博したホルト(コリン・ファレル)と娘のミリー(ニコ・パーカー)とジョー(フィンリー・ホビンズ)。ミリーたちは、ダンボの世話をしつつ励ましていました。そんなとき、ダンボはうっかり宙に舞っていた羽を吸い込んでしまいます。思わずくしゃみをするダンボ……。すると、なんとダンボは大きな耳をパタパタさせて飛んだのです!
【想像以上に表情豊かで可愛いダンボ】
実は、ダンボが実写映画になると聞いたときは少々不安でした。「くまのプーさん」の実写映画化のときは、もとがぬいぐるみなので可愛い実写になることは想像できましたが、ダンボをリアルな象として描いたとき、アニメのように可愛く見えるだろうか……と。
ところが映画を観たら、ダンボは想像上に可愛かった~! ボディはリアルな象らしさがあるのですが、表情がキュートなんですよ。大きな瞳で喜怒哀楽を表現し、観客に笑われてションボリしたり、ママのジャンボと引き離されてショックを受けたり、そんなひとつひとつがもう可愛くて可愛くて! ダンボも母のジャンボもCGで作られたキャラクターですが、実写とCGが見事に調和していてすごいです。サーカスという非日常的空間が舞台なのも手伝って、ダンボが思い切りファンタジーの世界へと連れてってくれます。
【コンプレックス克服へのメッセージ】
ティム・バートン監督は『シザーハンズ』のハサミの手を持つ男、『ビッグ・フィッシュ』のほら吹き父さんなど、コンプレックスを抱えている人物や風変りなキャラクターを愛情持って描いてきた監督です。
その個性は本作でも大いに活かされています。バートン監督は「耳が大きすぎてイジメられる」というダンボのコンプレックスを最初から突いてきますが、その大きな耳がダンボの生き方を変えるきっかけになることを、鮮やかな飛行シーンで魅せてくれるのです。
ダンボが空を飛べたのはひょんなことからですが、コンプレックスをなくすのではなく、個性にする、活かすというメッセージがこの映画にはこめられていると感じました。「コンプレックスは生きていく上で武器になる!」と、なんだか勇気づけられちゃいましたよ。
【大人も子供も楽しめる美ファンタジー】
物語に複雑な点はまったくないので、実写映画を観るのが初めてというお子さんでも楽しめる仕上がりになっています。またサーカス団の雰囲気、鮮やかな衣装、ヘア&メーキャップなど、ヴィジュアルでも「おとぎ話」の世界観を隙なく構築しているので、ディズニーランドのアトラクション的な楽しさがありますね。
ちょっとだけ難を言えば、何もかも予想通りに展開していくので、バートン監督らしいひねりが感じられなかったこと。ユーモアがパンチ不足かなあと……。
とはいえ、ダンボがビュンビュン飛ぶ爽快感、思わず「頑張れ!」と応援したくなる愛らしいダンボのキャラクターなど見応えあり! ママのジャンボと引き離されたダンボはママを探し出すことができるでしょうか~?可愛いキャラを見て癒されたい人はぜひ。もちろんデートムービーでもありですよ!
執筆=斎藤 香(C)Pouch
『ダンボ』
(2019年3月29日 全国公開)
監督:ティム・バートン
出演:コリン・ファレル、マイケル・キートン、ダニー・デヴィート、エヴァ・グリーン、
アラン・アーキン、ニコ・パーカー、フィンリー・ホビンズ
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