【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは大ヒットした『SING／シング』（2016）の続編『SING/シング:ネクストステージ』（2022年3月18日公開）です。
動物たちが暮らす街を舞台に、つぶれかけた劇場をオーディションで選ばれたメンバーと共にドラマチックに復活させる様を描いた前作。字幕版、日本語吹替版ともに大ヒットしましたよね！ 期待大の続編は、かなりスケールアップしていて驚きの連続……！ では物語から。
【物語】
コアラの支配人バスター（声：マシュー・マコノヒー／内村光良）が経営するニュー・ムーン劇場は今日も大盛況！ でも現状に満足しないバスターは、エンタテインメントの聖地の劇場で成功したいという夢がありました。
そこで、バスターはエンタメの聖地レッド・ショア・シティに乗り込みますが、クリスタル・タワー・シアターのオーナー、ジミー・クリスタル（ボビー・カナヴェイル／大塚明夫）は全く相手にしてくれません……。
さぁバスター、どうする？
【ヴィジュアルと音楽が最高！】
本作は日本語吹替版を鑑賞。前作同様に内村さん、長澤まさみさん、スキマスイッチの大橋さん、トレンディエンジェルの斎藤さん、そしてMISIAさんも続投しています！
冒頭のステージから見事なショーで、テンションアップでノリノリになれますよ〜♪
でもそのステージを見に来たクリスタル・タワー・シアターのスカウトレディは「うちの劇場では通用しないわ」とバッサリ！
そこからバスターと仲間たちの夢の実現への道が始まるわけです。
【B’z稲葉さんの演じるクレイの歌唱は鳥肌もの！】
最初は、全く相手にされなかったバスターたち。
しかし、音楽界から姿を消した伝説のロックスター、クレイ・キャロウェイ（U2 ボノ／B‘z 稲葉浩志）をクリスタル・タワー・シアターに登場させることを条件にショーを開催できることになるのです……！
B’zの稲葉さんが演じるクレイは、愛妻が亡くなったことをきっかけに歌への情熱を失ってしまった孤高のロックシンガー。その彼を積極的に説得し、なんとか歌ってもらおうと頑張るのがアッシュ。ロッカー同士で通じ合うものがあったのか、頑なクレイの心を溶かしていくのです。
クレイをステージに立たせるまでの物語は本作の見どころのひとつなのですが、頑固な彼はなかなかイエスと言わず、歌う気配もないから、かなり焦らされましたよ。
でも、焦らされたその分、稲葉さんの歌唱シーンは大感動で鳥肌もん！ U2の名曲「I Still Haven’t Found What I’m Looking For」をアッシュこと長澤まさみさんと熱唱しました。
【ユニークなキャラの華やかな共演もちょっとだけ違和感】
本当に歌やパフォーマンスは最高の本作。ステージに立つメンバーにもそれぞれ悩みや葛藤があり、盛沢山の内容なのですが、バスターの思考や行動に、ちょっとついていけなかったんですよね。
恋人役の役者とキスシーンをしたくないというシャイなゾウのミーナに冷たく当たったり、どうしてもクリスタル・タワー劇場で成功したくてジミー・クリスタルにペコペコして忖度したり……。最後のステージも楽しく素晴らしかったけど、みんながバスターの夢に付き合わされた感があったんですよねえ。小さな街の劇場より、もっと華やかな場所で成功したかったのかな。
と、最後はちょっと辛口になっちゃいましたが、見せ場はたくさんあるし、使用される楽曲の数々がとてもいいんです。
そうそう、SixTONESのジェシーもアイスクリーム屋さんのゾウ・アルフォンゾとして登場。
言われないとジェシーってわからないくらい役になり切っていて、なんとMISIAさんとデュエットも披露しています！
字幕版と日本語吹替版、どちらで鑑賞してもOK。見比べるのも楽しいと思いますよ。
執筆：斎藤 香(c)Pouch
『SING／シング：ネクストステージ』
（2022年3月18日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー）
監督・脚本：ガース・ジェニングス
出演：マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロール、ボビー・カナヴェイル、ホールジー、ファレル・ウィリアムス、ニック・オファーマン、レティーシャ・ライト、エリック・アンドレ、チェルシー・ペレッティ、ボノ（U2）
日本語吹替版：内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥（スキマスイッチ）、斎藤司（トレンディエンジェル）、坂本真綾、田中真弓、大地真央、ジェシー (SixTONES）、アイナ・ジ・エンド、akane、稲葉浩志（B’z）
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