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【映画批評】映画『天間荘の三姉妹』はのんさん演じる「たまえ」が可愛い…♡ 柴崎コウのハマり役にも注目です

2022年11月1日

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、のん主演映画『天間荘の三姉妹』(2022年10月28日公開)です。原作は、漫画家・高橋ツトムの「スカイハイ」シリーズの「天間荘の三姉妹―スカイハイー」。

天界と現世の中間に位置する「三ツ瀬」という場所で繰り広げられるドラマは、想像の遥か上をいく感動に胸がいっぱいになる作品でした! では物語からいってみましょう。

【物語】

天界と現世の間にある三ツ瀬の老舗旅館「天間荘」。

天間荘には大女将の恵子(寺島しのぶさん)、長女で若女将・のぞみ(大島優子さん)、次女でイルカのトレーナーをやっているかなえ(門脇麦さん)が暮らしています。

そこへ謎の女イズコ(柴咲コウさん)が、たまえ(のんさん)という若い女性を連れてやってきます。たまえは現世で交通事故に遭い、臨死状態でした。

そんなたまえには衝撃の事実が……。実は彼女、のぞみとかなえの腹違いの妹だったのです!

【魂を癒す場所、天間荘とは?】

現世と天界の中間地点の三ツ瀬にある旅館……と言われても「何?」と思うかもしれませんが、映画を見ればすぐわかります。

ここは、魂の疲れを癒す場所。滞在している間に、臨死状態の人は天国に召されるか現世に戻るか考え、亡くなった人は天国に行く時期を決めるのです。

しかし、たまえは旅館で働くことを望みます。のぞみとかなえと姉妹であることがわかり、家族として旅館を手伝いたいと思ったのかもしれません。

なぜなら、彼女は現世では天涯孤独の身。誰からも愛されず、孤独に生きて来たから……。

【のんさん演じる「たまえ」が可愛い】

たまえは新米の仲居さんとして大女将の恵子や宿泊客・財前様(三田佳子さん)に怒られながらも頑張って働きます。

だんだん認められ、のぞみやかなえとも仲良くなり、天間荘で現世では縁のなかった家族の温もりを知るのです。

そんなたまえを演じるのんさんがいいんですよ〜。

瞳をキラキラさせたり、喜怒哀楽を徐々に出していきながら、充実した日々を送り変化を見せるたまえに「たまえ、よかったねえ」と声をかけたくなる可愛さです!

でも、彼女が幸せになると同時に悲しみも押し寄せて来ます。なぜならたまえは、現世に戻るか、天国へ行くか、自分で選択しなければならなくなるからです。

【東日本大震災の被災者の方々の魂を胸に】

この作品のベースは東日本大震災。被災者の方達の魂をファンタジーとして昇華させ、見事に成功させています。

被災した方思いを物語にし、震災について考え、改めて風化させてはいけないと思わせてくれるところが素晴らしい。後半は特に胸が熱くなりました。

【豪華俳優の共演にも注目】

豪華な俳優陣が、その物語を美しく彩っているのも良き。

寺島しのぶさん演じる大女将も、一見怖そうだけど、とても愛情深い人であることがわかりますし、門脇さん演じるかなえには、一馬(高良健吾さん)という恋人がいるのですが、ふたりの行く末は胸にグッとくるものがあります。

そして、イズコ役の柴咲コウさん! 決めゼリフの「おいきなさい」がハマりすぎて、思わず私が「はい!」と返事しそうになりました。

たまえはどのような選択をするのか、天界でも現世でもない場所で生きる天間荘の人たちの物語をぜひ映画館でたしかめてください。

執筆:斎藤 香(c)Pouch

『天間荘の三姉妹』(2022年10月28日より全国ロードショー)
監督:北村龍平
原作:高橋ツトム「天間荘の三姉妹―スカイハイー」(集英社 ヤングジャンプ コミックス DIGITAL刊) ※高橋のタカはハシゴダカ
出演: のん、門脇麦、大島優子、高良健吾、山谷花純、萩原利久、平山浩行、柳葉敏郎、中村雅俊(友情出演)、三田佳子(特別出演)、永瀬正敏(友情出演)、寺島しのぶ、柴咲コウ

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