
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、鈴木福さん主演映画『ヒグマ!!』(2026年1月23日公開)。実は、昨年2025年公開予定だったのが、熊被害が全国で発生したため公開が延期されていた作品なんです。試写で鑑賞しましたが、福くんのキャラクターがいい効果を発揮していましたよ。
では、物語から。
【物語】
大学に合格して最高にハッピーだった18歳の小山内(鈴木福さん)でしたが、同じ日に父が自殺。特殊詐欺の被害にあい、多額の借金を苦にした死でした。
父の死を悲しむまもなく金策に走ることになった小山内は、大金が稼げる闇バイトを始めることに。
彼はある人物の拉致を命じられます。そのある人物とは、同じ闇バイトの女性・若林(円井わんさん)。彼女は奪った宝石を持ったまま逃走してしまったごいうのです。
若林は見つかりましたが、宝石を隠すために丸呑みした彼女を詐欺グループは山中に連れて行き、宝石を吐き出させたらそのまま殺して死体を遺棄するように小山内に命じます。
しかし、その山中にヒグマが現れて……。
【闇バイトからのヒグマ?】
この作品を観る前は「クマのパニック映画かな」と思っていたのですが、冒頭から
父が自殺して多額の借金を残す→お金を工面するために闇バイト→殺人を命じられる→ヒグマに襲われる!
主人公の身に起こる不幸の連続がかわいそうすぎて、思わぬ展開に驚きました。だってもう、最悪じゃないですか。「福くんが気の毒な目にあうのは辛いな」と思いながら見ていたのですが、小山内はあまりにも立て続けにとんでもないことに巻き込まれていくので、クヨクヨしている暇はなし。
「闇バイト、怖いよ〜」と思っていたら、ヒグマが登場して「ヒグマ怖いよ〜」に変化していくのです。
【明るいキャラが窮地を救う】
また福くんのイメージが明るく清らかでカラッとしているのも救いでしたね。
いつの間にか小山内とバディになっていく闇バイト仲間の若林を演じる円井わんさんのキャラクターもぶっきらぼうで風変わり。熊に襲われて命が危ないのに、何とか逃れて一息ついたとき、スマホでお気に入りホストの動画見ていましたから。緊急事態に何やってるの?という感じですよ(笑)
ヒグマが大暴れしたり、人がたくさん傷を負ったりしても、このふたりなら何とかなるのではないかと。なかなかいいコンビだと思いました。
内藤瑛亮監督も、
「ヒグマに襲われてもあまりかわいそうな感じにならず、笑って見られる人をと考えたとき、福くんならそのニュアンスになると思って。彼のポップなキャラクターがジメッとしてしまいそうな本作を明るいトーンにしてくれました」(公式インタビューより抜粋)
と語っています。福くんは監督の期待にばっちり応えたんじゃないでしょうか。
【熊の怖さをしっかり伝える】
本作は『ヒグマ!!』というタイトル通り、熊の凶暴さ、怖さ、そして人間が襲われるとひとたまりもなく殺されるという残酷さも描いています。また、熊を擬人化していないところが良き。
ちなみに本作に登場する熊、着ぐるみ感があるんですよね。大暴れする熊を見て「着ぐるみっぽい」と気づいたときにちょっとニヤっとしてしまいました。そこがご愛嬌というか、B級映画の楽しさがありました。
福くん VS 熊、福くん VS 闇バイトという謎の組み合わせの本作、ぜひスクリーンでお楽しみください。
執筆:斎藤 香(C)Pouch
Photo:©2025 映画「ヒグマ!!」製作委員会
『ヒグマ!!』
2026年11月23日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:内藤瑛亮
出演:鈴木福、円井わん、岩永丞威、上村侑、住川龍珠、占部房子、清水伸、宇梶剛士