Pouch[ポーチ]

1978年の音楽革命が令和に甦る。田口トモロヲ監督×クドカン脚本映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』

約1時間前

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、田口トモロヲ監督と宮藤官九郎脚本による映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』(2026年3月27日公開)です。試写で鑑賞しましたが、パンク・ロック、インディーズ、フェスの原点が詰まった作品で最高でした!

では、物語から。

【物語】

舞台は1978年。写真家になる夢を諦めたユーイチ(峯田和伸さん)はセックス・ピストルズのパンク・ロックに衝撃を受け、ミニコミ誌『ロッキンドール』を手に入れます。

やがて彼は『ロッキンドール』を作っているサチ(吉岡里帆さん)と知り合いになり、彼女の仲間のモモ(若葉竜也さん)がボーカルのバンド「TOKAGE」のライブを鑑賞。

その後、ユーイチはTOKAGEと彼らの仲間のバンドたちの音楽活動を記録するカメラマンとして活動するようになるのですが……。

【パンク・ロック、インディーズ、フェスが始まった時代】

毎年、多くのバンドが参加する音楽フェスが開催され、動画配信で音楽も含め自己表現ができる環境が整った現代。本作はその “始まりの時代” を描いています。

しかも、実話ベースで、主人公のユーイチのモデルになった写真家・地引雄一さんの著作『ストリート・キングダム』を宮藤官九郎さんがフィクションを加えて脚色した作品です。

【売れる音楽ではなく、自分たちの音楽!】

自主制作で自分たちの音楽を発信し続けるインディーズ・バンドが、売れるための音楽ではなく、自分たちがやりたい音楽をやり切る! という熱気がしっかりと伝わってくる作品でした。

主人公はユーイチですが、彼は観察者的な立ち位置で、ど真ん中でロック熱をほとばしらせているのは「TOKAGE」のボーカル・モモとミニコミ誌を作りながらガールズ・バンド「ロボトメイア」を結成したサチ。ふたりのロック愛がインディーズの人気バンドが結集した「東京ロッカーズ」へとつながっていきます。

モモが普段はクールに振る舞いながらも実家暮らしでお母さんと仲よしな感じは微笑ましかったし、ガールズ・バンドを結成し、ベーシストとして活躍しながら、ミニコミ作りもかかさないサチの物作りへの情熱、DIY精神には「わかる〜」と共感。めちゃくちゃ楽しそうで参加したくなりましたよ。

激しいロックな一面だけじゃなく、ちゃんと彼らの生活も描いているから共感度も高いんだと思います。

また若葉さんと吉岡さんは役にピッタリでしたね。ふたりとも田口監督と宮藤官九郎さんがタッグを組んだ前作『アイデン&ティティ』の大ファンだったから「ぜひ!」と前のめりで出演を決めたそうです。

【過激なバンド解剖室の壊れっぷりがすごい】

本作に登場する一番過激な「解剖室」というバンドもすごかったですね。ボーカルの未知ヲ(仲野太賀さん)はライブで全裸になったり、いろんなものを投げ飛ばしたりして大暴れ。完全に “過激なヤバイ人” なのですが、どこか愛嬌があって憎めないんです。

それはライブで大暴れするための道具の仕込みをコツコツやったり、バンドのマネージメントをやったり、自分たちがやりたい音楽を全うするための努力を惜しまない姿も見せてくれたからかなと。人としてちゃんとしているからバランスが取れているし、仲間もついてくる。

これって意外と大事なことではないかと思いました。仲野太賀さん、大熱演でしたよ!

【パワーがもらえる映画】

「TOKAGE」などのバンドが集まった「東京ロッカーズ」はライブハウスなどでイベントをしますが、それは今の音楽フェスの原型。自主制作のレコード作りはインディーズ。そしてサチのミニコミ誌からの情報発信は、いまのSNSでしょう。そんな音楽エンタメの土台を作ったミュージシャンたちの人生は熱くて面白い!

自身もバンド活動をしている田口トモロヲ監督と宮藤官九郎さんの脚本だからこそ描けた世界。パンク・ロックのスピリットを思い切りあびて刺激をもらってください!

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2026映画『ストリート・キングダム 自分 音を鳴らせ。』製作委員会

ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。

2026年3月27日(金) 全国ロードショー
監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
出演:峯田和伸 若葉竜也
吉岡里帆 仲野太賀 間宮祥太朗 中島セナ
神野三鈴 浜野謙太 森岡龍 山岸門人
マギー 米村亮太朗 松浦祐也

モバイルバージョンを終了