西浅草にあるお寺・緑泉寺では、月に1度、とってもユニークなイベントを開催しています。その名も「暗闇ごはん」。
これ、なんと「真っ暗闇のなかで食事をする」という、いまじんわりと話題になっているイベントです。いったいどんなものなんでしょう? 記者が実際に参加してみました!
【さっそく暗闇の恐怖を体験!】
日が沈み始めた頃、参加者たちは会場に集合。アイマスクを装着し、一人ひとりスタッフに手を引かれて「暗闇ごはん」の会場へ向かいます。
「そこに段差があります」
「次は右です」
「上にぶつかるようなものはございません」
ーーーと、誘導されるものの、見えないとやっぱり怖い! つかまり歩きの幼児のごとく、おぼつかない足どりで一歩一歩、ヨロヨロと前進。
【暗闇ならではの簡単なゲームが突然開催!】
なんとか無事に着座するも、どこに誰がいて何があるのかまったくわからない! 不安に思っていると、突然ミニゲームが始まりました。
その名も「暗闇ジャンケン」。
向かいに座っている人とジャンケンをして、相手が何を出したかを触って確認し、自己紹介をするというものです。
まったく知らない人に触れるなんて緊張するなあ……。恐るおそる手を伸ばしてみると……ありゃっ! こんなに近くにいたの!? と、お互い思わず笑ってしまいました。なんとも和気あいあいな雰囲気に。
コミュニケーションがとれたことや距離感がつかめたことで、暗闇に対する恐怖心がなくなりました。
【暗闇ごはんがスタート!】
この日は、野菜中心の和食メニューで構成された「仏(ほとけ)ごはん」が、全部で7品登場。
お箸の場所、お水の場所、おしぼりの場所を確認し、おそるおそる自身の口へと運びます。暗闇のなかではお箸がうまく使えなくて、手で食べちゃったりもしました。
シーンと静まり返った室内に、「シャキ、シャキ、シャキ、シャキ……」と、参加者たちの咀嚼(そしゃく)する音だけが響きわります。なんとも不思議な空間です。
【みんな同じものを食べているハズなのに……アレ?】
「あれ、これってあの味だよね」「えーそれじゃないよー!」と、みなさん自然に感想が出てきます。しかし、見事なまでに答えは、バ ラ バ ラ!
たしかに食べたことがあるはずの味なのに、何の味かわからない……!
私って、普段なにも考えずに食べていたのかな……と、なんだか恥ずかしくなってきました。場所が「お寺」ということもあるせいか、これまで食べ物を大事に味わってこなかったんじゃ……みたいな罪悪感も。
【「味」の答え合せ】
6品目を完食すると、部屋のあかりがつけられます。そして、住職の青江覚峰(かくほう)さんも一緒に登場。暗闇のなかで食べた食材6品の「味」の答え合わせをしていくのですが……
どれもこれも美味しかったのですが、答えを聞いてびっくり仰天。食材のなかには、なんと普段捨ててしまう “ある部分” を使用したものも含まれていたのです。
食材が何かがわかっていたら残したかもしれないけれど、暗闇で見えなかったことで、“先入観”がなくなり食べることができたのでは……と青江さんは言います。
(この食材が気になる方は、ご自身の舌で正体を確かめてみてね)
【暗闇ごはんの真髄、それは先入観をなくすこと】
暗闇レストランの最大の魅力、それは “料理のおいしさ” を楽しむだけではなく、先入観をなくすことで「料理や人の内面に、触れることができる」ということ。
料理は食材そのものの味わいを堪能することができ、さらに周囲の人々とは、まるで以前からの知り合いだったかのように接することができ……。暗闇ごはんって、奥が深いんだなあー。
【最後にはとんでもない”オチ”がまっている!】
さてさて、最後に登場した料理は、日本人ならば馴染みが深いド定番の “ごはんもの”。
暗闇のなかでの食事が終わりにぎやかに食事をしていると、青江さんからとんでもない言葉を言い渡されるのです……!
「みなさん “ 暗闇ごはん” は、まだ終わっていませんよ」
まさかと思い、自分が持っている茶碗をよーく見てみると……何かがおかしい。あえて眼を閉じてもう一度パクリ。あれ!! これって、私が思ってた料理じゃ…ない……!?
(詳しい内容は実際に体験していただきたいので、内緒にさせていただきます)
青江さん曰く、この一番最後の料理が最も重要とのこと。あかりがついた瞬間忘れてしまっては、なんの意味もない。今日気がついたことを生かしてほしいがために、あえて落とし穴を用意しているのだそうです。
さて、今回の体験した暗闇ごはんですが、緑泉寺にて月に1度開催中であります! 詳しくは青江覚峰(かくほう)さんのFacebookをチェックしてね。
湯島山 緑泉寺「暗闇ごはん」
住所:〒111-0035 東京都台東区西浅草1-8-5
TEL:03-3841-0076
開催日時:月一度
※青江覚峰さんのFacebookにて先行予約を受け付けています。
ホームページ:青江覚峰 暗闇ごはん – 緑泉寺
取材・撮影・執筆=百村モモ (c) Pouch
▼公式サイトより