12月……世間はクリスマスに正月と浮かれたムード。そんな中、私は失意のどん底にいた。
ずっと片思いしていたメンズに告白したら、彼女がいることが判明!
一緒にサウナに行ったり、普段から仲良くしてたから正直いけるでしょ、って思ってた私、ばかみたい……もうすぐクリスマスだっていうのに!カップル爆発しろ!!!!!!!!!!!!
失意のどん底で淡々と仕事をこなすマシンのように過ごしていた私に、しばらく連絡を取っていなかったあの先輩から連絡が。そう、サウナを愛し、サウナ中毒と化しているサウナ女子パイセンだ。
「私ちゃん久しぶり~。年末空いてる?ちょっと癒され旅行に付き合ってよ!」
「せんぱーい! 今とっても癒されたいです!」
「最近仕事ばっかりで死にそうだったから、パア~ッといこう! パーッと! 水着だけ持ってきて!」
東京から約1時間電車に揺られ、大磯駅で降りる。タクシーを止めるサウナ女子パイセン。
「大磯プリンスホテルまで」
プリンスホテル!? サウナ狂のパイセンにしては珍しすぎる……。一体どんなサウナなんだろう?
ホテルに着き、サウナ女子パイセンに受付を任せ、あたりを見回す。
なにここ~! 日本じゃないみたい!
高い天井と白を基調としたエントランスホール。奥にはヤシの木と海が見える。
「これに着替えて!」と渡されたのはジャージ素材の館内着。
ホテルなのに館内着で過ごせるなんて! 日本人的にはやっぱり旅館では浴衣に着替える、みたいなリラックス感は重要だから、これは嬉しい。
「おっ、ドライヤーもナノケアだね~」と恒例のアメニティチェックをしながらまずは探検。
更衣室の横には大浴場が。
「これから超絶サウナ尽くしの1日が始まるから、一旦シャワーだけ浴びてきて!」
との言葉通り、シャワーを浴び、水着に着替えてバスローブをはおる。
階段を上るとそこには……。
「なに、この洗練されたミニマルなおしゃれ空間……!」
シンプルながら温かみとリラックスムードをかもし出す内装。
広いソファーの前には大きなクリスマスツリーが。ああ、彼と両思いだったら今ごろきっと二人で……なんて気持ちになったけど、振り払う。
「一旦じんわり行くよ~!」
と向かった先は、低温のパノラミックサウナ。
すると、目に飛び込んできたのは……ふ、富士山が見える~!!!
50度くらいでそんなに熱くないし、広い空間だからみんな寝っ転がってリラックスしている! 木の香りも良いし、全面外の見える窓で開放感がすごい。先輩とふたりでストレッチをしながらおしゃべり。
ほどよく体も温まったところでサウナを出て、パイセンが一言。
「ねえ、雪見たくない?」
いやいや、今年は暖冬だし雪なんか降ってないでしょ〜と思いきや、隣の「アイスルーム」に入ると、人工雪が降り注いでる! キャッ!冷た〜い! と、はしゃいで雪をかけあう私たち。
ここには岩盤浴もあるけど、それには目もくれず、相変わらずサウナに一直線のサウナ女子パイセン。そしてお待ちかねのフィンランドサウナへ!
あれ……あっつい! そして照明も暗くてなんだかストイックなサウナの予感!
「プールがあるから湿度が低くて高温カラッカラのサウナなんだよね。」
無言で10分。ハード!これは思いのほかハードなサウナだ!
熱さにフーフーいいながら外へ出ると、エクスペリエンス……シャワー……?
ボタンを押してみる。なんだろう?いい香り!
「アロマの香りのシャワーなんだって! 水風呂の前にはシャワーを浴びようね!」
全身がいい香りに包まれたところでいざ水風呂へ! 水風呂の温度計は16℃を指していた。
「ホテルの水風呂だから設定が甘目かと思いきや、結構冷やしてあるよね~! 男女一緒に水風呂に入れる施設は珍しいからキャッキャしながら入るのもおすすめ!」
そして、外気浴をするために外のインフィニティプールへ。すごい! 本当に海とプールの境目がないみたい!
「ここは水平線に溶け込むようにデザインされてるの。プールと太平洋の水面が一体化することで、まるで海を泳いでいるような圧倒的な浮遊感を感じることができるんだよ!」
「HPの紹介文をまんま読み上げたかのような説明ありがとうございます!」
水温はかなり温かく、冬の寒い日でも快適で気持ちいい。プールのへりに頭をのせると空しか見えない。雲の切れ間から光が差し込んで海に反射する。反射する光の塊はすぐに形を変えて、いつまでも見ていて飽きない。
「久々にサウナ水風呂、最高の外気浴のセットでととのったね~。夜はしっぽりすごそうよ、シャンパン冷やしておいたから!」
ホテルの部屋に戻ると、あたりはすっかり暗くなっていた。暗い海と月を見ながら乾杯する。最近あった失恋のこと、新しく任された仕事のこと、過去や将来のこと、くだらない話まで沢山話した。
あんまり”女子会”っていうのは得意じゃないけど、気心知れた人といろんなことを話すのはすごく楽しい。すぐに体がぽわーんとなって、ふわふわとした心地。サウナに入ってととのってからお酒を飲んで、血の巡りが良くなったからというのもあるかもしれないな……なんて思いつつ、いつもより早く眠りについた。
朝起きるとサウナ女子パイセンがいない。「スパでゆっくりしてるね~!」とLINEが入っていた。
そういえば、6時からスパに入れるって書いてたっけ。
スパにつくとバスローブを着て朝の光を浴びながら読書するパイセン、すごくリラックスしている!
「あ、おはよ~! サウナいこっか」
パノラミックサウナで朝日を浴びる。なんていい気分で起きれたんだろう。
「やっぱり日常を離れて自分を見つめなおす時間って必要だね。どんどん忙しくなってサウナに行けなくなって。でも、たまにこんなスペシャルな時間があると頑張れる。ととのう、って言葉には”自分をメンテナンスする”って意味もあるかもね」
そして高温のフィンランドサウナとエクスペリエンスシャワー、水風呂を3セット繰り返した後は、インフィニティプールで仰向けに浮かびながらととのう。これぞ至極……涅槃とはこういう状態かもしれない。
2018年、平成最後に最高のサウナ体験が出来て良かった! 来年は彼氏作るぞー!
さて次は、どんなサウナに出会えるかな?
【今回のサウナ】
店名:大磯プリンスホテル THERMAL SPA S.WAVE
住所:神奈川県中郡中郡大磯町国府本郷546
電話番号:0463-61-1111
取材協力:大磯プリンスホテル
執筆=サウナ女子 / イラスト=百村モモ (c)Pouch
▼夜も素敵なのよ…
▼室温35度のテピダリウムでほっこり温めるのアリよ
▼外気浴できる場所が充実しているも嬉しいポイント
▼館内着はジャージ素材なの。とっても楽チン