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【イメコン連載】第4回 衝撃のデパコスデビュー【私がイモムシから蝶になるまで】

2020年12月25日

【イメコン連載 私がイモムシから蝶になるまで】

紆余曲折を経て、すっぴんキャラで行こうと思った梶本さんに、ひょんなことから転機が訪れます。大きな一歩を踏み出すきっかけとなったのは……? 今回は誰もがちょっと緊張するデパートのカウンターデビューのお話です。

ファッション、メイクともに様々な苦悩を経てことごとく挫折してきたが、あることを機に沈没船から脱出することに成功する。

パーソナルカラー診断と出会ったのである。

一生すっぴんキャラで良いや! と思っていた私が、なぜパーソナルカラー診断を受けようと思うに至ったか。

きっかけは私のみじめな経験から始まる。

【華やかな場で散る花】

オシャレなんて金をかけただけ無駄で、自分への投資☆などと言いながら化粧品を書い集める女子と自分は別の生き物だと思っていた私も、毎年冬の時期には少しだけ背伸びする。

少し良いホテルで行われる忘年会に、少し良い格好をして出向かなければならないのである。いくら毎日ノーメイクで汗だく上等の私でも横浜のホテル会場にジーパンでは行けない。

集まった同僚たちは思い思いに着飾っていて大人っぽく見える。

彼女たちと撮った写真を見返すと結局変顔や体育会系ノリで逃げてしまう自分がいた。

普段の不摂生による肌荒れを隠すためにカバー力を最重視したクリームファンデを厚塗りし、毛先のパサつきが目立たないように髪は巻いた。

とにかくキラキラしていれば良いだろうと無駄にビジューがついたドレスを選び、ネックレスもキラキラを選んだ

自分のダサさやみすぼらしさが浮き彫りになるようでその場にいるのが苦しかったし、化粧が下手すぎて顔のクオリティがひとりだけ違うのだった。

シャンパンで悪酔いした頭を夜風で覚ましながら徐々に虚しくなっていく。

そんな時、高いもの(デパートコスメ)ならこんな自分も救ってくれるんじゃないか、という丸っきり他人任せな考えが浮かんだ。

良い物を買ったらそれきりで一生過ごせるから実質タダなのでは、というコスパ厨ならではの思惑もあった。

そこに生粋のコスメオタクが名乗りをあげた。

当時コスメコンシェルジュ、顔分析鎌田塾メイクアップアーティストコース卒業というまさに化粧に自信のある友人が私のデパコスデビューに同行してくれることになったのだ。

【念願のデパコスデビュー】

百貨店に入るやいなや、深くお辞儀をされるだけで帰りたくなった。

放っておいてくれ、見ないでくれ、私を品定めしないでくれ。心の中でそう念じている間にも彼女はズンズン進む。

「時代ちゃんはブルベだと思うのね」

急に聞き慣れない単語が入ってきた。ブルベって何? ブル中野のファンの総称? ミキプルーンの親戚?

ブルベとはブルーベースの略で、その人が生まれ持った色素に調和する色が青み寄りの人のことを言う。逆に黄み寄りの色が調和する人はイエローベース、略してイエベ。

こうしてブルベとイエベを判断して、似合う色味に寄せることでメイクの印象がグンと変わるらしい。

例えば、ひとくちにピンクのリップを塗ると言っても、黄みを含んだサーモンピンクなのか青みを含んだフューシャピンクなのかで印象が全く異なる。

ここまで説明されてもよく分からなかった私は「ポケットビスケッツとブラックビスケッツみたいなもんね」と鼻をほじりながら聞いていたのだがブルベとイエベは戦っていないし、どっちが悪役とかもない。ビビアン・スーはかわいい。

今回は私がブルベということを前提に似合う色のチークを選定してもらうことに。

彼女が向かう先々で「こっちのほうが青みがかった赤だから似合いそうだね」などと指さしてくれるが全然見分けがつかない。

こちとら最近まで志尊淳と吉沢亮の区別もついていなかったのだ。急に赤を青みと黄みで見分けろと言われてもヒヨコの雄雌判定くらい難しい。

必死に商品たちを手の甲に試し、左手だけがただただ赤く染められていった。

【突然のタッチアップ】

わかった顔をしながら頭を真っ白にしていると、彼女はとあるブランドの商品を指さし一言。

「これを彼女にタッチアップお願いします」

タッチアップ!? ラグビーでも始まるのか!? 

タックルに備えて身構えていると店員さんにカウンターに案内される。

大丈夫、恐くないよ。

店員さんのそんな眼差しはさながらオウムを前にしたナウシカである。私は赤くしていた眼を青く戻し、カウンターについた。

彼女が選んだのはTHREEというブランドのリキッドチーク「エピック ミニ ダッシュ12」。はっきりしたローズピンクだった。

普段使っているチークはオレンジがかったコーラルピンクだったので青みの強いローズピンクっぷりに、こんなの頬に塗ったらハイジみたいになっちゃいません?と心配になった。

タッチアップというのは実際顔に試してくれるサービスのことらしく、実際に私の頬に店員さん(ビューティーアドバイザー略してBAさんと言うらしい)がメイクを施してくれる。

すげえ! 顔色が良い!!

伝わんねえ! もうちょっと嬉しそうにしてくれ! 背景が日高屋!

色々なことがノイズになってしまっているが、とにかく顔が明るく見えるし美人度が上がったのである。信じてほしい。

似合う物をつけるとこんなにも違うのか、と驚愕し、このあと何度もこのチークをつけては「なんだ、私ってイケてるんじゃん!!」と鏡を見てニヤニヤした。

自分が必要としていた化粧にようやく近づいた気がした。

こうして無事にデパコスデビューを果たした私。これを機にパーソナルカラーへの興味を募らせ、自分に合ったコスメやファッションがあるのではないかと希望を持てるようになったのである。

次回、いよいよパーソナルカラー診断編。「今まで全部逆走してたんじゃねえか!」「私のコンプレックス、実は魅力でもあったんだ!」など、秘めたる美、開花しまくりでお届けする予定! 乞うご期待!

執筆・撮影:梶本時代 (c)Pouch

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