【イメコン連載 私がイモムシから蝶になるまで】

オシャレして美しく生まれ変わりたい。誰しも一度は願うものの、コンプレックスやセルフイメージが邪魔をして難しいものです。そんな中、まるで「劇的ビフォーアフター」のような大変身を遂げた姿をネットにあげて、注目を集めたライターの梶本時代(かじもとときよ)さんに、これまでのオシャレとの奮闘について語っていただく連載がPouchで始まります―――

私は看護師をしながら文章を書いている身長177cmの28歳だ。

昔から高身長がコンプレックスで自分の容姿に自信も持てなかったが、つい最近イメージコンサルタントにハマり、自分に合う服やメイクを探す日々を過ごしている。

イメコンには骨格診断や顔タイプ診断など様々あるが、私はパーソナルカラー診断を受けることで美的センスはおろか人生までもが変わってしまったのだ

【コンプレックス生まれひょうきん者育ち】

172cmの母と186cmの父の間に生まれた私は、身長が177cmある。よく何を食べて育ったか聞かれるが、完全な遺伝である。DNAのらせん構造もきっと人より縦長に違いない。

看護師として働くなかで高身長は不利な場面が多い。腰を痛めながら一生懸命身体拭きをしても、高齢で目が悪い女性の患者さんに「あなたには悪いけど、次は女性の方でお願いします」と言われる始末である。

身長が伸び始めたのは4才くらい。モー娘。が全盛期だった小学3年生の頃にはすでに150㎝台後半に差し掛かっており、ミニモニ。に入る権利(身長150cm以下)がなかった。そのため加護ちゃんが好きだったのに飯田推しを公言していた。心まで背伸びする必要ないのに。

ランドセルを背負っているのに子ども料金で改札を通れないこともあった。小学生であることを証明するのは難しく、駅員さんにしわしわのプールカードを見せて許してもらった。担任が押したスタンプは私の涙でにじんだ。

何を着ても老けて見えたが、そもそも子どもらしい流行りの服は丈が足りず満足に着ることができなかった。

その頃から私にとってオシャレは消去法だった。

着れればいい。それだけ。

【オシャレが楽しいなんて思えない】

誰かが言う。

「オシャレって最高に楽しい!女の子に生まれて良かった!」

その笑顔から放たれる輝きから、私は目を背けることしかできなかった。女の子らしい小花柄も愛らしいフリルも私には似合わない。

「あなたは別世界の幸せ者。私の分まで女の子を楽しんでください」

そう心の中で繰り返しているうちに、女の子らしく着飾ったり振る舞ったりすること自体が恥ずかしく思えるようになってしまった。

着る服が決められていると安心できるので、好きなコーディネートは学校の制服。

修学旅行ではカドケシ(コクヨの角が28個ある消しゴム)が大きく書かれたTシャツを着てウケを狙いお茶を濁してきたが、そんな私も歳を重ねるにつれ、ファッションが冗談では済まなくなっていった。しかし、カレ受け、職場ウケなど意識すればするほど、どんどんチグハグになっていく。

【自分のコンプレックスは魅力でもあった】

そんな私のオシャレ人生を変えたのはパーソナルカラー診断だった。

パーソナルカラー診断とは色のプロがその人に似合う色調をみてくれるサービスのこと。イエベ、ブルベという言葉を聞いたことがある人も多いと思う。

私の診断結果はブルーベースの冬。ハッキリとした青味が強い色がベストカラーだった。

それまで私は少しでも優しく見えるように淡い暖色の服を選んだり、顔が明るく見えるようにオレンジのチークを使ったりしていた。

その日着ていたお気に入りのハイネックシャツもアナリストさんからは

「今日お召しのパステルピンクは彩度が低すぎて顔がぼんやりして見えます。もったいない」

と残念賞のお気持ち表明。なんということだろう……。

これまでのチョイスはむしろ自分の顔色を悪く見せていたと知り愕然とするなか、ベストカラーの鮮やかな色のドレープ(色布)を合わせた途端に顔が明るくなった。こりゃ凄い!

ファッションやメイクがうまくいかなかったのは、自分に合うものとは逆の色調を選んでいたというのも一因だったのだ。今までの苦労はなんだったのか……。

キツい顔立ちや高身長がコンプレックスだと伝えていたが

ハッキリした目鼻立ちですし、クールさを感じる色合いに寄せればキリッとした女性を演出できますよ。洗練された印象になって高身長に映えると思います。ツヤやラメが得意なので派手なメイクもお似合いでとっても素敵です!」

と顔立ちと色味の相性の良さを教えていただく。

自分と相性が良い色調を知り、得意な質感も教えてもらうことで、今まで女としてハンディキャップでしかないと思っていた自分の要素は、実は魅力的な武器でもあったと知り、感じたことのないときめきを覚えた。

濃い霧の中でさまよっていた私のオシャレ街道に一筋の光が射した瞬間である。

【自分の持つ魅力を育てたら自信につながった】

あんなに優しく可愛く見られたいと思っていた私が、今ではいかに気高く美しく見えるか研究しながら自分の姿と向き合っている。

家から駅まで、いや、職場の病院の廊下でさえ私のランウェイ。美しい私の働きぶり、とくと見よ! そんな思いで今日も患者さんの糞尿を片付ける。

ずっと別世界だと思っていたオシャレの世界はちゃんと自分の足下にも続いていた。

私服を選ぶたびに世の綺麗な女性を恨めしく思っていた私は、美しさを高めようと努力する人たちに対して偏見を持っていたのかもしれない。

きっとこの世に生きる全ての人に、その人らしい美しさが必ずある。これを読んでいるあなたも、間違いなく素敵なのだ。

これから、まだ気づいていない魅力を見つけるきっかけになるようなお話をさせていただけたらと思う。

次回は私がファッションに苦手意識を持つようになった迷走期のお話から。「チェックのネルシャツでウエストマークする」「109で大恥をかく」など黒歴史満載でお届けする予定。乞うご期待!!

参考リンク:note
執筆・撮影:梶本時代 (c)Pouch