【連載:私がイモムシから蝶になるまで】

パーソナルカラー診断で自分に似合う色を知った梶本さん。これですべて解決……かと思いきや、それはまだイメチェンの入り口でしかなかったよう。診断を受けたあとの葛藤のお話です。

パーソナルカラー診断で自分に似合う色やテイストを知った私はかつてコンプレックスだった高身長やキツめの目鼻立ちを武器に良い女になるため、再び修行を始めた。

しかし、良い女への道はやはり容易ではない。またしても新たな壁にぶつかるのであった。

【知らない世界のオシャレ、何が正しいの!?】

パーソナルカラー診断で1stクールウィンター、2ndクールサマーであることがわかった。

私に似合うのは、青みが強くあざやかで、コントラストが強い色と、ラメやツヤのある素材。

似合う色味だけでなく、高身長やキツめの顔立ちを活かしたクールビューティー路線を勧められた。

今まで思い描いていた理想像が加護ちゃんとか佐々木希のようなカワイイ系だったので、自分に似合う系統が正反対だと知ってショックだったし「私には無理!」と思ってしまった。

本来、色味だけでは似合うスタイルまではわからない。しかし数々の女性を見てきたアナリストさんが「高身長を活かした方が良い!」「格好良くて似合う」と言ってくれたのだから、きっと間違いないのだ。私は従来の固定観念を捨て去り、新しく生まれ変わることを決意した。

そう意気揚々とオシャレ街道に飛び出して行ったのは良いものの、実際は正解がまるでわからなかった

【オシャレの赤本をくれ!】

毎日SNSで「#クールウィンター」「#ブルべ夏冬」などで検索して似合うコスメの情報を集める。

プチプラコスメでおすすめされたものもちろん、似合いそうであればデパコスも挑戦するようになった。

デパコスは品質もさることながらデザイン性に富んだものが多く、並んでいるのを見ているだけでもうっとりする。初めて意を決して買ったのはディオールの「サンククルール チュチュ」というアイシャドウ!

ブルベでも似合うブラウンと話題で、タッチアップしてもらったら左下のラメがとっても綺麗で一目惚れしたのだった!
買うと意気込んで店に行き、綺麗なBAさんから紙袋を受け取った瞬間はご褒美を貰ったかのように舞い上がった。帰りの電車では何度も隙間から覗いて「かわいいね~」と心の中で語りかけた。

未だかつて経験したことのない自分、大事にしてる感!

しかし、はじめは何が似合ってて何が上手くいっているのかピンと来なかった。

そして顔が変わっちゃってる自分に慣れない。

自分の強みを活かして、漆黒のマスカラに真紅のリップで“強い女メイク”を施せば、今日の顔、怖くない? 普段よりデカく見えてない? 性格悪そうじゃない? みんな怯えてない?とショーウィンドウに映る度に自問自答した。

さながら泣いた赤鬼である。ブルべなのに。

私に似合うオシャレの傾向と対策を説いた赤本が欲しい。ブルべなのに。

【似合うデザインと日常使いのミスマッチ】

そして意外と難航したのが服選びだった。冬のパーソナルカラーに合わせると服がモード寄りになるのだ。

自分に似合いそうな色味のトップスを調べると、着用モデルが外人さんだったり、「どこに着ていくんだよ!」と叫びたくなるほど胸が開いたものをノーブラで着たりしていて非常に困惑した。

靴も10センチのピンヒールや座敷の居酒屋に通されようもんなら8分はモタモタしそうなベルトだらけのブーツだったり、鞄も財布一つでパンパンになりそうなポシェットや魚の腹くらいギラギラに光ったビニール製のクリアバッグだったりして、どれもファッショナブルすぎる。

あの小さなバッグにキズパワーパッドとか目薬とか入らないでしょ。みんなどうしてんのよ。かかと血だらけで目ぇ真っ赤なんか? 怪獣やないか。

暮らしに向かなすぎる。

普通に似合う服を着て普通の生活がしたいだけなのよ! これじゃバチェラーだよ! マルエツとかキャンドゥ行けるやつ頼むよ!!

とZOZOTOWNにすがって土下座する日々。

ZARAでこれは良い!と歓喜して手に取っても、思った以上に背中が開きすぎていて「インナー何着んの!?」「夏向け!? でもニットなの!?」と試着室でパ二クる。

少し攻めたワンピースを買っても大胆なスリットが入ったものなどはやはり日常使いには向かず、結局流行りのブラウンニットやオリーブのジャケットで顔を黄土色にしながら通勤していた。

【私、最高かよ!】

そうやって自分に似合う色味を求めてさまよううちに今までGUやユニクロ、アースミュージック&エコロジー等にしか行って来なかった私も、ユナイテッドトウキョウやトゥモローランド等、少し年齢層が高く価格帯もやや上のお店にまで足を運ぶようになった。

これまでは背の高さからサイズが合わず試着室でゲンナリすることも多々あったが、お姉さんブランドであれば着られるものも多かった。

白いハリ感のあるクロップドパンツを履いて脚がスラッと長く見えた瞬間、ブランドが自分を受け入れてくれたようで嬉しかった。

合うサイズがないからというだけの理由でゆったりした麻のワンピースにレースみたいな髪飾りを着けて森ガールを気取っていたあの頃「流行りに乗ってるだけ、流行りに乗ってるだけ」と半ば念仏のように唱えて自分を偽っていた。本当は違う!

似合う服を知らなかっただけ! 流行っていようがいまいが、自分を綺麗に見せてくれる服は最高で、似合う服を着た自分はもっと最高!!

そう確信して試着室を出た瞬間、鏡に映った等身大の自分が輝いて見えて、いつもわざとらしく感じられていた店員さんの「お似合いです~!」という言葉が心を前向きにしてくれた。

似合う服と似合うメイクがしっかり合致した時、勇気が満ちあふれて心が引き締まるのを感じた。

身長を低く見せようと丸めていた背中が自然と伸びる。

ちゃんと堂々としよう。美しい私の姿が台無しにならないように。

次回、「変わり果てた私に周囲の反応は…?」「自分、綺麗失礼しますの精神」など心の壁取っ払いまくりでお届けする予定! 乞うご期待!

執筆・撮影:梶本時代 (c)Pouch