今月2日、東京都渋谷区にて開催されたのは“日本一の朝ごはん”を決める「楽天トラベル 朝ごはんフェスティバル2014」。全国からおよそ1000の宿泊施設がエントリーし、ユーザー投票や厳しい地方大会を経て選出された6の宿泊施設が、日本一の座をかけ、頂上決戦に臨みました。
旅先で食べる地物――。多くの方にとって欠かせない要素ですよね。お酒と共に晩御飯を楽しむだけでなく、その地ならではの朝食にあえて着目したのが、今年で5回目のこの「朝フェス」。
主催の楽天トラベル宗形氏によると、過去に優勝した宿泊施設の中には、集客が1.5~2倍になったところもあるのだとか! 宿泊施設を選ぶときに朝食を重視するユーザーが多いことが分かります。
では、当日の様子から「朝ごはん日本一」の座が決まる瞬間までたっぷりご紹介! 旅好きのあなたは必見です。
「朝ごはんフェスティバル2014」に出場したのは、1000分の6の選ばれし宿泊施設。
北から「センチュリーロイヤルホテル」(北海道)・「磐梯熱海温泉 四季彩 一力」(福島)・「下呂温泉 和みの畳風呂物語の宿 小川屋」(岐阜)・「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」(兵庫)・「ホテル イル・パラッツォ」(福岡)・「HOTEL&RESIDENCE 南州館」(鹿児島)。
注目すべきは、昨年度の同大会で優勝した「下呂温泉 和みの畳風呂物語の宿 小川屋」と準優勝の「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」。奇しくも、今年の決勝でも戦う両者。「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」の鎌田シェフは「今年こそリベンジしたいですね!」と意気込みを語りました。
◆審査員による実食審査スタート!
【1】 名だたる審査員陣による実食審査のトップバッターは、ゆるキャラを伴って参戦した「磐梯熱海温泉 四季彩 一力」(福島)。上質な脂の乗った「アブラボウズの西京味噌焼き」と、柚子の実をくり抜き、銀杏や舞茸などを詰めた「柚子の玉手箱」を提供。せいろで焼くアブラボウズの西京味噌焼きは、審査員の陳建一氏(「四川飯店」オーナーシェフ)も「音良し! 香り良し! 味良し! 」と太鼓判を押すほど。
【2】 創業90年、鹿児島の老舗「HOTEL&RESIDENCE 南州館」(鹿児島)からは名産の黒豚を使った「しゃぶしゃぶ」と、枕崎産鰹を使った「角煮」の2品が登場。特に審査員たちを唸らせたのは、一度炙った鰹の角煮。審査員の坂井宏之氏(「ラ・ロシェル」オーナーシェフ)からの「おかわりしたいぐらい美味しい」という言葉に顔をほころばせました。
【3】 すべて北海道産の素材で「焼きドーナッツ」と「玄米パンケーキ」の2品を用意したのは「センチュリーロイヤルホテル」(北海道)。もろ味噌・塩こうじとまと・焼き昆布しょうゆの3種類のクリームソースを使った焼きドーナッツは、見た目にも美しく、審査員の中村孝明氏(「レストラン中村孝明」オーナーシェフ)いわく「ソースの違いが良い。楽しく食べられる」だそう。
【4】 「ホテル イル・パラッツォ」(福岡)からは、九州産野菜を使った色鮮やかな「野菜サラダ」と「ソイスムージー」が登場。サラダはまるでスイーツのような華やかさで、さすがパティシエが作る朝食! 審査員の浜内千波氏(料理研究家)からは「女性の心を鷲掴みするメニュー」、神田川俊郎氏(「神田川本店」店主)からは「本当に美しい。勉強させてもらった」という言葉も。
【5】 「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」(兵庫)は、淡路島産玉葱の温かいスープを生野菜にかける斬新な「サラダ」と、このサラダとの相性を考えた「オリジナルパン」を提供。「斬新なんだけど見事にまとまっている。オリジナリティ溢れる素晴らしいメニュー」と陳氏も絶賛。
【6】 トリは、二連覇がかかる「下呂温泉 和みの畳風呂物語の宿 小川屋」(岐阜)。白川産茶葉で焼き上げた「鮎の一夜干し」からは、上品なお茶の香りが漂います。シェフの「健康までおもてなししたい」という思いから生まれたのが、アワビや松茸など13種の食材が入る「薬膳粥」。「塩分がほとんど使われていないなんてびっくりするくらい素材を生かしてあり、本当に美味しい。健康に配慮していることが伝わる」と、浜内氏。
◆頂点に立ったのは……
「味」「表現力」「おもてなしの心」などの審査項目に則った協議の結果、ついに頂点の宿が決定。気になる結果は以下のとおり!
【1位】 「下呂温泉 和みの畳風呂物語の宿 小川屋」(岐阜)
【2位】 「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」(兵庫)
【3位】 「ホテル イル・パラッツォ」(福岡)
宿泊者の体調まで気遣った献立に高い評価を受けた「下呂温泉 和みの畳風呂物語の宿 小川屋」が、昨年に続き優勝。初の二連覇を達成しました。大会最後には「それぞれのジャンルで素晴らしい朝食を見ることができた。本当はすべて優勝にしたいくらいだったけどね(笑)個人的にも訪れてみたいと思う」と審査員の陳建一氏が締めくくりました。
今回登場した朝食は、みな全国1000軒の中から選ばれた名店。どれもその土地のものを生かし、創意工夫に富んだ素晴らしいメニューでした。これからは、今までよりちょこっと“朝ごはん”を重視した旅もよいかも。
取材・撮影・執筆=井上こん(c)Pouch
▼これが2014年の「日本一おいしい朝ごはん」だ!
▼松茸やアワビなど豪勢な薬膳鍋。参考にどうぞ