Seppuku Tokio 4

渋谷、川崎、そして千葉。それぞれの場所に出現したのは、誰もが目を奪われずにはいられない見事なストリートアートの数々。

真っ黒な、人物や物体のシルエット。よく見るとそれらは立体的で、あたかもそこに実在しているかのよう……! 息づかいまで聞こえてきそうな存在感を放っていて、目に入った瞬間、思わずビクッとしちゃいます。

これらを手掛けたのは、アーティストの「Pejac」なる人物

【明らかになったのは、性別と出身地&現在所のみ】

この方が一体何者なのか担当エージェントのマックスさんに問い合わせてみたところ、男性であること。そしてスペイン・サンタルデル出身、現在はバルセロナに住んでいるということ以外、詳細はわからないという返答が。み、ミステリアス……作風は異なるけれど、個人的にはイギリスの覆面アーティスト・バンクシーを思い出しちゃったわ。

【印象的なタイトルにも注目したい】

真っ赤な花を点々と付けた木の枝が体の芯を貫く、「Seppuku(切腹)」。

Seppuku Tokio 5

そして道路から突如ニョキッ、一部噛みちぎられたかのように見える傷が生々しい、サメの背びれが列を成す作品、「Shark-fin soup(フカヒレスープ)」。

Fin Soup8

【葛飾北斎にインスパイアされた作品も】

これらは渋谷の街に現れた作品群であり、葛飾北斎による作品「神奈川沖浪裏」にインスパイアされたと思われる川崎の「Everyone is an artist」、千葉に出現した “盆栽” をフィーチャーしている「Gulliver」もまた、彼がアジアツアーを行った際に生み出した作品なんですって。

【絵具と絵筆、ときには紙やすりも用いて作品を制作】

そのほか香港、ソウルにも足を運んだというPejacさん。マックスさんによれば、彫刻のような立体作品以外、彼が作品を生み出す際に用いるのは、基本的に絵筆そしてアクリル絵の具のみ。なお3D的ビジュアルを実現する場合には、紙やすりを使用しているみたい。

【Pejacさんがストリートで表現し続けている理由】

「芸術に敏感な人たちだけでなく、多様な人々に作品に触れてもらいたい。ストリートは、誰の目にも入る場所だからね」
「アジアツアーはタフで、刺激的で、とても充実していたよ」
「ツアー中は、もっともっと、その土地の政治的・社会的な問題に干渉し、作品づくりに取り組んでみたかった。そういった背景を知るためには、地元民と知り合い、経験を共有して溶け込むことが必要だったんだ」

これらは、Pejacさんご本人によるメッセージ。この点をふまえて作品群に向き合うと、1度目に観賞したときとはまた異なるメッセージを感じ取ることができるのではないでしょうか。

【公式サイトやSNSをチェック☆】

謎多きアーティストPejacさんの作品は随時、公式サイトおよびフェイスブック、インスタグラムにて更新・発表されている模様。気になった方はぜひ、そちらもご覧になってみてくださいね!

取材協力:Pejac Facebook Instagram
画像:@pejac_art
執筆=田端あんじ (c)Pouch

▼「Everyone is an Artist」/神奈川県川崎市宮前区神木本町

・世界で働くすべての女性たちに賛辞を。
Everyone is an Artist3
Everyone is an Artist2

▼「Gulliver」/千葉県山武市津辺

・日本文化の象徴である盆栽を用いて、超現実主義的に遊ぶ。
Gulliver0
Gulliver10

▼「Oppression」/香港

・MSNメールの蝶をガラス瓶の中へ閉じ込めて「言論の自由やネット上でのコミュニケーションを禁ずる中国の現状」を表現。
Oppression2

▼「Tagger」/香港

・ハリケーンや洪水を引き起こすほどの動物でも、飼いならされたペットになり得る。
Tagger3
Tagger1

▼「The Re-Thinker」/香港

・立ち止まり、再考せよ。
The Re-Thinker5

▼「Icarus」/ソウル

・韓国の政治的な現状を、紙飛行機で表現。
Icarus1

▼「Mainmast」/ソウル

・韓国における競争社会、そういった日常やストレスから遠く離れた場所で、空想を巡らし遊ぶ少女。
Mainmast1
Mainmast3

▼「Iron Curtain」/ソウル

・穏やかに開いたかのようにみえるドアの向こうのカーテンは、固く閉ざされている。
Iron Curtain2

▼「Transfer」/ソウル

・太陽をくくりつけ、地球の周りを旋回するヘリコプター。
Transfer1