少し前のことになりますが、2013年1月、ジュディ・フォスターがゴールデン・グローブ賞の特別功労賞の授賞時のスピーチで、同性愛者だということを公言して話題になりました。

そこで、ちょっと調べてみたところ驚きの事実が! なんと、同性愛者の割合は3〜5%。つまりだいたい25人に1人の割合。クラスに1人くらいはいる割合です。その事実を知って、記者はこう思いました。「友人から同性愛者だと告白される可能性だって十分ありえるはず。なのに、私、ちょっと無頓着すぎたかも? 知識がなさすぎるかも?」と。

ということで、同性愛者を含むセクシャルマイノリティの生活感覚と存在を社会的に可視化していく活動を行っているRainbowACTION(以降レインボー・アクション)代表で、映像作家の島田暁さんにお話を聞いてきましたよ。

1 同性愛は、自然に反しているのか?
まず島田さんが教えてくれたのは、同性愛は歴史的にどの時代にもあったし、動物の世界でも同性愛はあるので「同性愛は自然に反している」とは言えないということ。

歴史上の人物にも同性愛者はたくさんいますし、江戸時代以前の日本では同性愛は「タブー」としては扱われていなかったという説があります。日本では明治維新をきっかけに、いわゆる「西洋的な一流国家の仲間入り」を目指して軍国主義が強まるにつれ、同性愛は「子どもが出来ない」から「非生産的」であるかのように扱われたのが、主な理由なのではないかと島田さんは指摘します。

2 「典型的な性イメージ」がもたらす問題
また一口に「同性愛者」と言っても、例えば男性同性愛者の場合、「見た目も男性で、自分のことを男性だと思っていて、男性が好きな人」から、「女装をするのが好きで、でも自分自身のことを男性だと思っていて、男性が好きな人」など、いろいろな人がいるということも島田さんは教えてくれました。

でも、今の社会では「世の中は男女の2種類の性別からなる人からできていて、男性は女性を、女性は男性を恋愛対象にする」ということを、多くの人が「当たり前」と見なしています。そういった「典型的な性イメージ」の結果、女性っぽい男性や、男性っぽい女性がいじめの対象になったり、同性を好きな自分を受け入れられないまま大人になる人がいたり、とさまざまな問題が生まれています。

島田さんによると、同性愛を含む「典型的な性イメージ」から逸脱している人のうち、かなり多くの人が、自傷行為を経験したり、鬱など心の病気を抱えたりしているのではないかとのこと。また自殺率も格段に高いそうです。ある調査では男性同性愛者の自殺念慮率は、異性愛者男性の6倍近いという調査結果も。壮絶ないじめを受けたり、自分で自分を受け入れられなかったりすることが、原因だと言えるのではないでしょうか。

3 「性」はグラデーションである
では、「典型的な性イメージ」とは違う性のイメージを、どうとらえればいいでしょうか。体の作りによる性別と、自己認識の性別(自分が男だと思うか、女だと思うか)、恋愛やセックスの対象は、それぞれ別の次元のことであり、男女をはっきり白、黒と分けるのではなくグラデーションになっていると考えるとわかりやすいかもしれません。

たとえば、「自分の体の作りは男性で、自分のことを75%くらい男性だと思っており、恋愛対象は75%くらいは男性だけど、女性のことも25%くらいは好きになる」とか。

記者の場合は、体はたぶん100%女性です。そして自分のことを女性だとは認識していますが、100%女性だと認識しているとは言い切れないように思います。女性だけが集まっているところにずーっといると、「あわわ、この空気感、理解できないね」と思うこともありますし。恋愛対象は基本的には男性ですが、「女性と恋愛関係になることは絶対、絶対、ぜーったいない」とは言い切れないと思っています。

島田さんはこういった性の考え方を受けて、「性のあり方に関して、特に疑問を持ったことがないままに過ごせている人は、自分が『異性愛者』であり、性別越境を望まない人(シスジェンダー)であると認識して欲しい」と、言います。そう意識することで、自分の性のありようは他の人にとっても「絶対的なもの」だとは言えず、「違う人たちもいる」ということが自覚できるのではないでしょうか。

いかがでしょうか。「性のイメージ」が今まで考えていたものとは異なるのではないかと思います。次回は、実際に友人に「同性愛者だ」とカミングアウトされたときの対応などを紹介していきます。

(文、取材=FelixSayaka
取材協力:RainbowACTION 島田暁