十五夜は過ぎたが、次の十三夜にむけて月見だんごを用意したい。月見だんごはおいしいが、足りないものがある。それは「かわいさ」。かわいさ不足をなくすため、誰にも頼まれていないが僕が立ちあがった。月見だんごをかわいくしたい。

材料はスーパーで買った月見だんごとのり。月見だんごをかわいくするために、顔をつくる。のりを切って目や鼻にするのだ。小さくのりを切るのはとても難しいので、人類の知の結晶、クラフトパンチを使う。


のりをパンチすると、あっという間に顔のパーツができあがった。クラフトパンチおそるべし。ピンセットで顔のパーツをだんごに貼ると、犬のような顔になった。

その後もひたすら顔をつくりだんごに貼っていく。アンパンマンの顔をつくり命をふきこむジャムおじさんのような心境だ。最後に月見だんご界のボス、黄色いだんごに顔をつければできあがり。緊張でピンセットを持つ手がぷるぷる震える。

ついにできた! とぼけた感じでかわいいではないか。



せっかくだから、月を見ながら楽しもう。おお、きれいな丸い月。いいですなあ……。時間がたつのを忘れるねえ……。うわっ、激しい月の光がだんごに! ああ、だんごがふるえてるっ! ちがう、決してカメラの手ぶれではないー。


ふう、なんだったんだ今の光は。おわっ、ボスの黄色いだんごに「月」の文字が! さっきまではなかったのにどういうことだ? これが月のパワーか。 ちがうちがう、後から思いついて急いで文字を入れたんじゃないー。



(ライター=武田タケ)
ライターブログ:Fun!