大気中の放射線量を測るには、主にガイガーカウンターという専用の測定器で測定することは、もう皆さんご存知のはず。

でも、もっと気になるのは毎日食べる食品に含まれる放射濃度なんですよね。ガイガーカウンターでは、食料や水に含まれる放射性濃度を測ることはできないし……じゃあ、いったい、どうやって測定したらいいの?

食料に含まれる放射線濃度は専用の機械で測定するのですが、簡易的なものでも100万円を超えるなど大変高価なため、一家に一台というわけにはいきません。最近は福島県や福島市では地域住民を対象にした、食品放射性物質濃度の測定を開始。1家族1品まで測定できるようになりました。

福島市(放射線モニタリングセンター)では、サービスが開始された11月14日からたった1週間ほどで予約件数が1100件を超え、12月1日現在では、来年2月上旬以降まで予約で一杯になるなど大きく注目されています。(※詳細は市役所ホームページをご覧あれ!)

さて、気になる一連の流れとは……?

(まずは受付を済ませるべし!)

福島市では、市民を対象に1日30人ほどに限定し、午前と午後にわけて測定を受け付けています。まず、希望者は事前に電話で予約を入れ、測定日がきたら細かくみじん切りにした食品(1キログラム)、または井戸水(1リットル)などをモニタリングセンターへ持ち込みます。受付を済ませて食品を市役所職員に渡し、あとは結果を待つだけ。結果は、午前受付の方は、午後にセンターへ再来すれば結果を知ることができます。それ以外の方は、後日、郵送で通知してくれます。

(測定の主な流れはこうだ!)
一般の方から預かった野菜などを測定するのは、福島市職員などの関係者。まず、測定の前に下準備。専用の容器のなかに汚れないようビニール袋を入れて、そのなかに、みじん切りの食品や水などを容器一杯入れ、規定の1キログラム(1リットル)あるかどうか重量を測定します。

次に、1台130万円もするというベラルーシ産の簡易測定器のなかに先ほどの容器をセット。すると測定された数値がグラフになってパソコンに表示され、約11分ほどで測定が完了します。案外スピーディですよね!

測定の結果は……?

記者が取材した11月22日までの検査では、放射性ヨウ素および放射性セシウムにおいて、それぞれの基準値2000ベクレル、500ベクレル(共に1キログラムあたり)を超える数値は検出されませんでした。品目のほとんどが、「検出せず」の20ベクレル未満。柿やキュウイなどはわずかに検出されているものの、基準値を遥かに下回っています。

関係者しか入出できない測定室を覗いてみると、ちょうど市内の幼稚園の先生が訪れていました。幼稚園の給食で出すかどうか迷っているという福島産のリンゴや、本日給食で出す他県の野菜などを測定するというのです。

検査の結果、他県の品目はもちろん、福島産のリンゴからも検出されず。

園の先生によると、「念には念を入れ自主的に検査に来ました。幼稚園では県外産の野菜を使用していますが、今回福島のリンゴから検出されなかったので、理解を得られれば使用を検討したい」とのこと。しかし、保護者全員の理解を得るのは難しいだろうとも。福島産リンゴの安全性がわかっても、一筋縄にはいかないようです。

また、庭先でなっていた柿の測定に訪れていた一般人の女性(主婦)は、「どれだけの数字が出るのか知りたかったんです。これまで(震災後)になった柿は食べていないですけどね」とやや興奮気味の様子。

先月下旬からは福島県庁でも県民を対象に測定を始めたので、福島にお住まいの方はぜひ測定してみると良いかもしれません。

■お問い合わせ■
放射線モニタリングセンター
(福島市桜木町8-13 旧児童文化センター内)
電話:024-525-3210

(取材、写真、文=池田廉)

▼幼稚園の先生が持ってきた福島産のリンゴ、他県の白菜、しらす干し

▼ヨウ素、セシウム共に検出されなかった

▼サーベイメーター。放射性物質が容器などに付着していないかを調べる

▼一定以上の数値が出たら、念入りに水洗いをして落とす

▼先月14日~18日の測定結果。基準値を超える品目は検出されていない

▼モニタリングセンター付近に生えていたイチョウの木と青い空

▼福島市役所内に設置されているテレビ。ニュースではこの日の放射線量が伝えられていた

▼コチラ測定の一連の流れを映した動画ですぞ