昨年、森美術館で開催された個展『会田誠展:天才でごめんなさい』のカタログ。破裂したバーチャルな少女の中からお花やイチゴが飛び出してくる、会田さんの「少女観」を見て取れる作品のように思います。
ということで! 「女性」を「芸術的」にも「男性性的」にも愛し続けている現代アーティストの会田誠さんにインタビューするシリーズの第3回!
最終回にふさわしく、第1回、第2回よりも、会田さんがヒートアップしております……!
―――アーティストの男に惚れたとき、女性として気をつけるべきことは何でしょうか?
会田誠(以下、A):「パッと浮かんだのは、お金のこと。惚れた男性が日本人アーティスト……特に、若い男でアーティスト志望だった場合、その中の10人中9人くらいは相当お金で苦労する。場合によっては、(食事代や飲み代を)女性側が奢ったりしなきゃいけないかもしれない。最初のデートでは奢ってくれても、だんだん割り勘になり、さらに親しくなったら毎回『奢ってくれ』と言われるかもしれない。で、(僕が見てきた限り)『奢ってくれ』と言ってくるような男がアーティストとして才能のない奴かといえば、そうとも言い切れないのがややこしいところで。ずっと奢り続けてくれるアーティスト志望の男は、女性に奢ることを続けるために、『アーティスト志望』を止めちゃうかもしれない。作品売って食べていけるとか、もともと良いトコのお坊っちゃんとか、アート界隈では確率的にかなり低くなりますね。
つまり、『私は女子なんだから男に奢ってもらえるはずだ』という幻想は、アーティスト志望の男性に惚れたのならば早めに捨てておいた方がイイかな。アーティストのように見えて、実はデザイナーだったりイラストレーターだったりする男だと話は違うけどね。なかには芸能人と結婚する人も……まあいかにも日本的、もっと限定すれば青山界隈っぽい話だけど。純然たるアーティストだったら、恋人に奢り続けることは難しい人が多いはず」
―――基本的には、割り勘もしくは女子が奢るつもりでいるのが必要、と。
A:「そうだね。『私はどんどん出世して給料もかなり貰えるはずだわ』という予感があるなら、アーティストのパトロンになる気で付き合うのもありかもね」
―――もしかして……アーティストの男性と付き合うのはあまりお勧めしない……?
A:「いや、お勧めだよ! 金のことを抜かせば、たぶん一般の会社員よりもイイところはいっぱいあるよ」
―――例えば、どんなところですか?
A:「人それぞれなのは言うまでもないけど……アーティストは傾向として、料理ができる男が多いね。そこから、色々なメリットが考えられる。稼ぎが少ない代わりに家事に協力的だったり、あるいは、男尊女卑のような考え方を持たなかったり、女性へのサービス精神が旺盛だったり。家にいることが多いだろうから、『忙しい』を理由にして女性をほったらかすこともできないしね。あと、ストレスが比較的に少ないから、歳をとってもあまり老けない人も多いかな」
―――メリットもかなりある、ということですね。
A:「うん。だけど、フリーダムな人が多いということは、裏返すと、浮気の心配につながるかもね。しかも悪気なく浮気するやつ。ニコニコしながら『浮気しちゃったー』とか言う人もいるかもね」
―――こうすればアーティストの男は確実に落ちる! という、女子の行動などはありますか?
A:「うーん……美大に行ったってことは、若い時に人体デッサンをしたことある奴がほとんどなので、『アーティストなんですか!? じゃあ、私の裸を描いてください!』って言うのが一番ダイレクトかもね」
―――そ、それで落ちるんですか!?(笑)
A:「うん。例えばそいつが普段抽象画とか描いてて、ヌードデッサンなんてもう何年もしてなかったとしても『お……お、おう! やろうかなー! ○年ぶりに、初心に帰ってトレーニングのつもりで!』とかね。これで断られたら脈なしですよ」
―――話変わって。貧乳好きの会田さん、日本の貧乳女子を元気づけるアドバイスを。
A:「『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』というエッセイに詳しく書いたのだけど、簡潔に述べるとしたら、ペチャ胸の良さは『前を向いていること』です」
―――前を向いている? トップの部分が、ということですか?
A:「そうです。男性にとっては、トップが指し示すベクトルがとても大切なんです! ……いや、ペチャ好きが特にそうなのかもしれないのですけど……
Bカップ以上の胸が好きな男性にとってはボリュームこそ大切で、トップが指し示すベクトルはあまり意味がなかったり、あるいは下向きのベクトルが好きなのかもしれないけど……。
ペチャはなんかこう、トップから前方に向かってマシンガンの弾が出てきそうな……その、えーと……
とにかく! ペチャはトップが前向きなところが素晴らしいんです! 乳房が大きくてダルッとしてると『負けた』みたいに見えちゃうんです。もちろん重力に負けてるということなんだけど。で、重力というのは『現実』なんですよ。つまり現実に負けてるということ。ペチャの胸は、どうしようもない現実とか人間のしがらみから浮遊した、凛々しさみたいなのがあるんです。つまりあれですよ……妖精、ティンカーベルみたいな軽やかさ。そのベクトルを示すために、常にトップの位置を示すこと、つまり『胸ポチ』は大切なんです!」
―――では最後に、アーティストを目指す女性へのアドバイスや気をつける点などがあれば教えてください。
A:「女性は、なるべく論理的、あるいは美術史の知識とかをたくわえて、硬く作ろうと努力するのがイイと思う。逆に言うと、男性はホワホワっとした感性とか直感とか感情とかを大事にして、柔らかく作ろうとした方が上手くいくことが多い。つまり、大きな傾向としてだけど、自分の得意ジャンルは自然に作品へ反映されるから、足りなくなりがちな方を強化するぐらいの気持ちがイイかな、と。
女性で『女性女性している』作品を作って評価されている人も一定数いるけど、それには相当な作品上のクオリティとか、かなり徹底した『ガーリィっぷり』に到達しないとね。ライバルも多いし。最後だから、真面目な話をしました(笑)」
会田さんの貧乳論には度肝を抜かれましたが、「重力は現実」「(女性の胸は)トップのベクトルが大事」など、最終回も至言の宝庫となりました。
今年の7月18日から9月23日まで、鹿児島県「霧島アートの森」で、『会田誠展 世界遺産への道!! 会いにいけるアーティストAMK48歳』が始まる会田さん。こちらももちろんですが、エッセイ『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』も要チェックですよ!
【参考】
・『会田誠展 世界遺産への道!! 会いにいけるアーティストAMK48歳』
・『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』(会田誠、幻冬舎、2012年)
・Mizuma Art Gallery / ミズマアートギャラリー
取材・撮影・執筆=シマヅ (c)Pouch
▼記者(向かって左)と会田さん(右)。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!
コメントをどうぞ