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わたしは朝起きたら毎日一杯の牛乳を飲むことにしています。いろんなブランドのものを試しているけれど、北海道出身のライターさんが言うには「パック牛乳にウマいもマズいもない」のだそうな。じゃあなにがウマい牛乳なのかというと、いい牧場で出たそのままの牛乳なのだと……。

OK。じゃあ、ほんとうにウマい牛乳っていうものを探してみよう。探して……探して……あった! 岩手県の……そうとうな奥地に! さっそく、行ってみることにします!

その牛乳は、盛岡駅から車で3時間以上のところにある大自然の中の牧場でつくられていました。新幹線で東京駅から盛岡駅まで2時間ちょっとだから、東京からは約6時間

■ 岩手県の大高原のなかで放牧される牛たち

その牧場は名前を「中洞(なかほら)牧場」といい、岩手県下閉伊郡岩泉町に位置しています。記者が到着したのは夕方になってしまいました。朝早く出発したんだけど……。

牧場の人に、牛はどこにいるのか聞いてみたところ、「どこに行っているかわかりませんねえぇ~、あいつらはいつも適当ですね~」という。おいおいなんだか飼ってる側が適当だよ、大丈夫かなあ、なんてこのときは思ったのですが……これこそがじつは「ほんとうにウマい牛乳」の秘密だったのだと、あとで気づくことになるのです。

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■ うしさんたちがみんな超自由!

牧場内用のパワフルな車で頂上付近へ。探しまわって探しまわって、ようやく牛を発見!! 好き勝手なところに行って好き勝手に草を食べる牛たち。うーん、牛舎に入れてやまもりの飼葉をあげて、っていうのがふつうだよね……東京のせまいオフィスで仕事をする身としては、なんだかうらやましいんだけれど。

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■ 牧場長がアツかった……アツすぎる想いをこめた特殊な酪農

牧場をひと通り案内してもらい、牧場長の中洞さんに色々と話を聞かせていただきました。やっぱり気になるのは、牛さんたちをほったらかしにしていること。彼らは幸せそうだけど、いいんですか? 大変じゃないですか?

牧場長によると、せまい牛舎に入れて、春でも夏でも同じ穀物ばっかり食べて。そんなのって、幸せなのか? と考えたのだそう。牛たちにとっていちばんいいのは、自然に近い姿にしてあげること……。牛たちは自分たちで社会をつくって、恋をして出産をする……それらを山の中で、牛たち自身で自然に行う。(※編注:マジですか!!) こちらからは人工的なことは何もしない、彼らが困っているときに手助けするだけ。そして子牛が生まれ、子牛のために出る乳が牛乳となるのだということ。

ここまで聞いて、ちょっと感動! 熱い! アツすぎるよ! そして、記者的にこれは究極だ、と思ったのが……

こちらがいただく牛乳は「子牛が飲みきれなかったぶん」だけ。人工的に出させたりしない、自然そのままの産物です

とのお話。ビジネスよりも牛さんたちのしあわせが前にある! なんという徹底的な自然派っぷり! なお、この徹底的に自然に近づけていく酪農スタイルのことを、「山地(やまち)酪農」というのだそうな。そうか、これってまさしく「スローフード」の考え方そのものだよね。

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■ほかではちょっと味わえない濃厚さ!

結局2時間近く、「山地酪農のむこうにある考え」「牛乳というものついて」「これからの日本の酪農について」などについて熱く語っていただきました。こんなきちんとした考えと、手間暇を惜しまない職人仕事からうまれる牛乳は、どれほど美味しいんだろう! 飲ませてちょうだい!!

ということで、中洞牧場の牛乳をテイスティングさせていただきました。……なんて、なんてなんて美しい味! まず口いっぱいにひろがり、そして鼻に抜けていく濃厚な香り。ミルクのいちばんいい香味だけをエッセンスとして抽出したような、バニラさえ思わせるフレーバーがあふれます。これがホンモノの味か……。新しい種類のスイーツを味わっているかのような錯覚を起こしてしまいました。なんだ、この牛乳。いや、今まで私(記者)が飲んでいた牛乳は白い色をつけたミネラルウォーターだったんじゃないか。

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と、気になるお話をうかがいました。「大きな声じゃ言えないけど……ウチの牛乳は、賞味期限が迫ってからのほうがおいしいんだよ。試してみて」 って、ええええ!? ふつうは味が低下するよね!? 大丈夫なのか……実証してみました!

■ 賞味期限間近のものとできたてのものを飲み比べてみた!!

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東京に帰ってきてから、「賞味期限間近」と「できたて」の中洞牛乳を飲み比べてみました。

もちろん、これでもかというくらい自由に育てたうしちゃんの牛乳は、できたてでも十分に大自然の濃厚な牛乳の味を楽しめます。というか、ふつうならできたてのほうがうれしいです。

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ただし中洞牛乳の自慢はなんといっても「時間がたってからのうまさ」だそうで……冷蔵庫に数日置いておくと、 白いかたまり(乳脂肪分/クリーム)がビンの口あたりをごってりと覆います。このクリームをつついて食べると、これが最高にウマい! そして、その奥にある牛乳は深い甘みとより繊細な香りをもつ、まさしく「高級な牛乳」という感じ!! 

ちなみに牛乳好きの方には想像がつくかもしれませんが、この牛乳は「低温殺菌」(60度ぐらいの温度で長時間殺菌をする=賞味期限が短くなるが風味を損なわない)であり「ノンホモ」(クリームの分離を防ぐ「ホモジナイズ」の工程を入れない=クリームが分離するけれど牛乳本来の味と香りが楽しめる)です。

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中洞牧場によれば、
「ノンホモ・低温殺菌牛乳が時間の経過とともに美味しくなるのは、『肉やお刺身はちょっと置いた方が美味しい』と言われるのと同じように、冷蔵庫内でおだやかな冷温熟成が進むためではないかと考えています」
とのこと。

ぜひ、東京から半日かけて牧場に行ってみてください! ……時間的にキツイ、という場合は通販でお取り寄せも出来ます。ホンモノの牛乳、オススメです! ちょっと世界が違って見えちゃいますよ。

参照元: やっちゃばマルシェ(中洞牧場の牛乳が購入できます)
取材・撮影・執筆=じゅん/ 編集=纐纈タルコ (c)Pouch

▼エサの食べ方が…豪快!!

▼牧場へ車で向かう。盛岡駅から約3時間
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▼牧場に着いたが、うしがいない
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▼牧場移動用の車。とてもパワフルな走りで牧場の頂上付近へ着いた
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▼うしがいない
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▼今日はどこにいるかな~
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▼あっちかも!
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▼うし発見!かわいい!
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▼もう1頭発見!牛舎飼いの牛と違って放牧の牛は排泄物が体についておらず、とってもキレイ!
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▼中洞牧場の牛乳は「大自然の味」です
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▼毎日、夕方頃になると、うしがみずから乳をしぼられにやってくるかというから驚き
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▼特別にしぼりたての牛乳を飲ませていただきました
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▼牧場長の中洞さん
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▼人生をかけて「山地酪農」を伝えたいと話す
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