ここ最近、麻薬の使用で有名人が逮捕されたことが、話題になりました。
それだけでなく、近年は危険ドラッグの使用によって起こる事故も数多く報じられており、その怖ろしさを知るとともに、広範囲に渡ってドラッグが浸透しているという事実も明るみに。
麻薬の使用そして麻薬が引き金となって起こる事件を、どう防ぎ、どう食い止めればよいのか。はたしてそんな方法が、この世にあるのか。
その答えを導き出すヒントが、「Kurzgesagt – In a Nutshell」によってYouTubeに投稿されていた1本の動画『Why The War on Drugs Is a Huge Failure(麻薬戦争はどうして大失敗に終わったのか)』にありました。
【「麻薬戦争」が引き起こしたもの】
今から40年ほど前、アメリカ大統領だったリチャード・ニクソン氏によって開始された、「麻薬戦争」。
「麻薬は最大の敵だ」とし、世界規模で違法薬物取引の削減に尽力しました。
【1. 麻薬産業の拡大】
供給の根絶を図ればおのずと麻薬使用者も減ると推測した政府は、供給側を取り締まろうとしますが、取り締まれば取り締まるほど、麻薬そのものの価値が上がって価格が高騰。麻薬産業はますます拡大し、作り手や売り手は増えるばかり。
【2. 殺人事件の被害者&囚人が激増】
麻薬の効き目は以前にも増して強くなり、麻薬組織は司法の手を逃れるべく世界のいたるところで重大事件を起こす。そして非暴力的麻薬使用者の逮捕によってアメリカの囚人数は激増、ついには世界の刑務所人口の25%を占めるまでに。
こうして巨額の資金を投じ、数多くの被害者を生みだした後に残ったのは、「麻薬組織をより強化した」という、望みとは真逆の結果だけでした。
【すべてが裏目に出た「麻薬戦争」、一方スイスは……】
麻薬撲滅のためにとったありとあらゆる対策が、却って問題を作り出してしまった、麻薬戦争。これと対照的な例が、ヘロイン使用が問題化された際にスイスが行った対策だったのですが……さてみなさんは、このとき一体どんなことが行われたと思う?
【なんと、ヘロインを摂取できる場所を作った!】
スイス流の麻薬対策は、アメリカが行った「潰す」「規制する」「闘う」といった行為を一切しないというもの。
まずは罰則を無くし、続いて医師が常駐するヘロイン管理センターを設立。シャワーやベッドが完備されたここでは無料でヘロインがもらえ、清潔な注射器で薬を投与することができ、それと同時に社会福祉士の援助をも受けることができたのだそうです。
【効果テキメンでした】
その結果、麻薬関連の犯罪および麻薬関連の仕事は減り、ヘロイン使用に伴って増加傾向にあったHIV患者も劇的に減少したスイス。それどころか麻薬による中毒死も50%減って、たくさんのお金をかけずとも大きな効果を生み出すことができるという良い例を、世界に示したのでありました。
【色々と考えさせられます】
もちろん、何が功を奏すのかは、国によっても異なるでしょう。
しかしながら「抑えつけずに、ある程度受け入れたうえで事態を改善していく」というスイスがとった姿勢、そしてその結果生み出した成果は、どんな例にも繋がる真理のような気がします。
参照元:YouTube/ Kurzgesagt – In a Nutshell
執筆=田端あんじ (c)Pouch
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