[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップする映画は本日公開の『ニューイヤーズ・イブ』。マンハッタンを舞台に男女&親子の悲喜こもごもの出来事を描きだした群像劇。それぞれのドラマが年越しの瞬間に迎える感動を描いたハッピーな作品なのです。

ニューヨークのタイムズスクエアで行われるカウントダウンイベントは、観光客も含め100万人もの人が集まるニューヨーク№1のイベント。そこには1年に起こったさまざまな思いが人の数だけあるわけで……。それに目をつけたのが『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャル監督。
「ニューイヤーズ・イブは、僕にとっても記念日なんだ。50年前のこの日、僕は妻と婚約したんだよ。妻にとってはいまでも12月31日はいちばん好きなホリデーなんだ」

監督の思い入れたっぷりの特別な日ゆえ「映画にしたい!」と思ったのは必然だったのでしょう。そして完璧を目指した監督は、リアルな大晦日を映像に収めようとしたのです。この映画に登場するタイムズスクエアのシーンは、2010年12月31日のカウントダウンイベントで撮影されたもの。映画のために準備したセットではなく、本物のカウントダウン映像! これは106年に渡るイベントで初の試みなのです。

この撮影のため、監督とスタッフはニューヨーク市長、市警、各イベント会社と打ち合わせし、細心の注意を払って行ったのだけれど、いちばんの強敵は大群衆でもイベントの進行でもなく、寒さ!! この年のニューヨークは、何十年かで最も厳しい寒さだったそうです。マーシャル監督曰く
「確かにあの寒さはキスの邪魔だったね(笑)カウントダウンのキスシーンで、キスしようとする男性の吐く白い息が、ロンドンの霧のように女性の顔をかくしてしまうというアクシデントが発生したんだ」

記者も1999年、カウントダウンイベントに行ったことがあるのですが、ニューヨークの寒さはハンパなく、氷点下は当たり前だし、口までかじかんでしゃべれません……。またイベントも本当にすごい人出で、あの大群衆にまみれてしまうとトイレも行けないと心配になり(寒いからすぐに行きたくなる)結局トイレ対策を考えて、ちょっと離れた場所で見ることに。なんでもオムツして参加する人もいるとの噂。あらまあ……。

しかし、そんな寒さも吹っ飛ばすスター共演による本作。今年、ニューヨークのカウントダウンイベントに参加するぞ!という人は雰囲気を確かめることができるし、行ったことある人は懐かしい気持ちに浸れること絶対です。あのジョン・ボン・ジョヴィが、ロックスターの役で登場し、スクリーンで初めて歌声を披露、聴かせてくれますよ~。

映画館で見て、登場人物の思いに自分を重ね合わせキュンとしたり、大観衆の大騒ぎにノリノリになったり、映画見ながら劇場でカウントダウン♪っていうのも、いいかもしれませんね。

(映画ライター=斎藤香

『ニューイヤーズ・イブ』
公開日 12月23日
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:ハル・ベリー、ジェシカ・ビール、アシュトン・カッチャー、ジョン・ボン・ジョヴィ、アビゲイル・ブレスリン、ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク、ザック・エフロン、サラ・ジェシカ・パーカー、キャサリン・ハイグルほか
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