【第2回 自分磨き圧力にご用心!? 「○○アップ」にあっぷあっぷにならないで!】

「おひとりさま」という言葉が市民権を得て久しい昨今、女性がひとりで飲食店に入ったり、ひとりで映画を観たりということが、ひと昔前ほどは珍しくない時代になりましたね。

ラーメン屋さんや牛丼屋さんにひとりで立ち寄ったり、ひとりでも入りやすい飲み屋さんを見つけてお酒を楽しむなど、ひとりで過ごす時間を楽しめる女性が増えてきていることの表れだと思われます。

おひとりさまを迎えるお店側の企業努力もさるもので、雑誌等で『1人でも入りやすいお店』などの特集が組まれるほど、現代はおひとりさまにとってありがたい時代です。

しかし、どうにもこうにもひとりでは出来ないことがあります。それこそが、「恋愛」です。

外食も映画も、旅行だってひとりで平気。男性にしか出来ないような家具の組み立てだってお手の物! という女性でも、恋愛ばかりは相手がいないことには成立しません。両思いはもちろんのこと、片思いの場合だって、対象相手あってこそのもの。

ところが、不思議なことに、どうにもこうにも良い出会いがない! 良い出会いどころか、悪い出会いすらない! とにかく異性と出会わない時期って、不思議とあるんですよね。私も、そういう時期が11ヶ月間くらい続いたことがありました。

おひとりさま期間が長引くと、やたら目についてしまうのが、雑誌などの見出しに書かれている「自分磨き」です。

「出会いがない今の時期こそ、習い事やエステで女子力アップ!」「資格ゲットでキャリアアップ、働きマンを目指そう!」など、おひとりさまに「アップ」を推奨する情報のなんと多いことでしょう! これでは逆にあっぷあっぷしてしまいます。むろん、自分磨きが悪いとはいいません。むしろ良いこととは思いますが、○○アップ推奨の情報に踊らされないようにしたいものです。

とはいえ、何にもしない状態というのも、罪悪感とまでは言いませんが、なんとなく後ろめたい気分になるものです。そのうえ、私たちアラサー女子は、周囲からの「無言の圧力」もかなりのもの。

無言どころか、親戚の叔母さんなどは、「いい人はいないの?」など、無言でない圧力をかけてきたりもするものです。また、「いい歳して結婚していない=何らかの問題がある」という意見もあったりして、ますます肩身が狭い思いをさせられます。

ですが、それらにいちいち反応しても疲れるだけです。無駄に疲れてしまっては、○○アップどころではありません。というわけで、私がオススメするのは、「とりあえず何にもしないこと」です。○○アップも、周囲への反論も、とりあえずはいったん放棄しましょう。

「習い事やエステの余裕がなくても、ウィンドーショッピングで目に保養を!」などの、ややハードルの低い○○アップ法も無視しちゃってください。寄り道せずに職場から家に直帰するというのも、そんなに悪いものではありませんよ。

缶ビールなりコンビニスイーツなり、自分の好物をお供に、家でダラダラしましょう。コンビニの新商品が意外と美味しかったりだとか、笑いのツボにドストライクのバラエティ番組を発見したり、小さな楽しみはどこにでも転がっているということが実感できます。小さな楽しみや、小さな幸せに敏感な人間のほうが、いざ恋愛のステージに立ったとき、長続きする交際が出来るはず!

恋愛も日常と同じで、大きなハッピーはそうそう訪れるものではありません。むしろ、小さなハッピーやラッキーが積み重なって、大きなハッピーに結びつくもの。大きなハッピーばかりを求めすぎてしまうと、相手を疲れさせてしまうこともあります。

○○アップに固執しないもうひとつのメリットは、なんといっても「間違った選択をしない」ということにあります。恋愛に限らず、焦ってガツガツしているときって、選び間違いをしてしまうことが多いですよね。

自分磨き=ガツガツしている、と決めつけるわけではありませんが、「英会話にスイミングにネイルサロン……こんなに頑張っているんだから、普通のオトコは相手にしないわよ!」という間違った方向性に進んでしまうこともあります。

余談ですが、先日すごくお腹が空いているときに入ったお惣菜屋さんで、パッと見メンチカツに見えたので、ちゃんと確認もせずに買い物カゴに入れ、帰宅してさぁ食べようと1口かぶりついたところ、私の苦手なクリーミー系のコロッケだったというエピソードがあります。

コロッケと恋人選びは違う? いえいえ、根底にあるものは同じなはず。何かをすごく欲しているときは、冷静な判断が出来なかったりするものなのです。しっかりとした判断力を見失わないためには、何にもしない「素」の自分でいる時期というのも必要ではないでしょうか。

何にもしないライフスタイルを実践してみて、どうにも落ち着かなければ、そこから改めて○○アップに取り組んでも、決して遅くはありません。「急がば回れ」くらいの、大らかな気持ちでいたいものですね。

(菊池 美佳子)

プロフィール(https://youpouch.com/mikako-kikuchi/