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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、7月6日より公開されるディズニー/ピクサーの人気シリーズ第二弾『モンスターズ・ユニバーシティ』です。前作の『モンスターズ・インク』は、怖がらせ屋のモンスターと少女が交流していく様をコミカルに描いて世界中で大ヒット。主人公のマイクとサリーは人気キャラクターになりました。

この映画は、マイクとサリーが出逢い、一人前の怖がらせ屋になるまでを描いた前日譚(ぜんじつたん)。つまり、モンスター2人(2匹?)の青春ストーリーなのです。

モンスターズ・ユニバーシティ怖がらせの学部の新入生マイク(声・ビリー・クリスタル)は、いつも元気で前向き。しかし、マイクはほかのモンスターより体が小さく、怖がらせ屋になるには可愛いのが悩みでした。一方同じ学部のサリー(声・ジョン・グッドマン)は、巨体で怖い存在。しかし、サリーの実家は、怖がらせ屋の名門。ゆえに、サリーは大した努力もせず自分は凄いと思い込んでいるナルシストでした。

そんなマイクとサリーが学部内で騒動を起こし、ユニバーシティから追放されられることに。ところがマイクは「怖がらせ大会で優勝したら、復帰させて」と学長と取引きをするのですが……。

なんといってもマイクのキャラがいいですね。いつも前向きでガッツはあるのだけど、どこかうっとうしいという……。いわゆる空気の読めないヤツなのですが、周囲のとまどいはおかまいなしに突き進む姿を見ていると、「こんなに頑張っているのだから、協力してあげようよ」と思ってしまう。

記者は日本語吹き替え版で見たのですが、マイクの声を担当しているのは、前作同様に爆笑問題の田中氏。マイクのちょっとうっとうしいキャラと田中氏のキャラがマッチして、おかしな相乗効果を発揮しておりました。なかなかいい声のキャスティングです。

ディズニー/ピクサー映画ですから、映像はカラフルで美しく、楽しいキャラクターがたくさん出てきます。目が6つあったり、首が二つの双子だったり、普通のかわいいモンスターとはひと味もふた味も違いますが、その変なところがおもしろい。日本でいえば「ゲゲゲの鬼太郎」の妖怪たちみたいですね。

ちなみにダン・スキャンロン監督は、この映画の演出で一番大切にしたのはストーリーだと語ります。 「壁にぶつかったとき、人は初めて自分が何者かと悟るようになる。この映画には、誰もが人生で経験するリアリティを持ち込もうと思ったんだ」。

まさにその通り! 映画でマイクは学長に「あなたに怖がらせ屋は無理。だってあなたは全然怖くない!」ときっぱり言われます。目の前で夢の扉を閉じられたマイク。でもマイクはどんなに傷ついても夢を絶対に諦めません。この映画、子供はもちろんですが、大人が見てもハっとすることがありそうです。何かを諦めそうになったとき、この映画の魂が語りかけます。「君はやれることすべてやったのか? あらゆる手を尽くしたのか?」と。

“人より劣っているからって何だ! 絶対に諦めない!” そんなネバーギブアップ精神に溢れた『モンスターズ・ユニバーシティ』は、心の奥底のやる気に火をつけてくれるかもしれませんよ。

(映画ライター=斎藤香)
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『モンスターズ・ユニバーシティ』
2013年7月6日公開
監督:ダン・スキャンロン
声の出演:ビリー・クリスタル、ジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェミ、ヘレン・ミレン、アルフレッド・モリナなど
声の出演(日本語吹替版):田中裕二(爆笑問題)、石塚英彦ほか
(3D・2D同時公開)
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