
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、累計発行部数100万部を突破した東野圭吾原作ベストセラー小説のアニメーション映画『クスノキの番人』(2026年1月30日公開)です。東野圭吾原作の映画作品は多いけれど、本作は初のアニメ作品! 試写で鑑賞したのですが、声優陣が超豪華!と話題になっているのにも納得しました。
では、物語からいってみましょう。
【物語】
勤め先の理不尽な解雇により職を失ってしまった直井玲斗(声:高橋文哉さん)。追い詰められた玲斗は過ちを犯してしまい、逮捕されてしまいます。そんな彼の前に現れた弁護士が「依頼人の指示に従うのなら保釈金を出す」と言ってきました。
その依頼人とは、大企業・柳澤グループの発展に尽力してきた人物・柳澤千舟(声:天海祐希さん)。彼女は玲斗の亡き母の腹違いの姉でした。その千舟が出した条件は「月郷神社に佇む大きなクスノキの番人になること」でした。
【クスノキのファンタジー&ミステリー】
原作未読の私は、てっきり東野圭吾作品だから本格ミステリーを予想していたのですが、良い意味で裏切られました。ファンタジーな世界が広がるアニメーション。それでいて、後半に明かされる “クスノキの秘密” への伏線が前半から緻密に張り巡らされている点は、さすが東野作品です。
玲斗は千舟から指示されたクスノキの管理と祈念に訪れた人をクスノキまで案内する仕事を淡々と行いますが、彼は祈念そのものがよくわかっていません。
同じ人が何度も来るのはなぜ?どういうご利益があるの?
その謎を明らかにしてくれるのは、何度も祈念にやってくる佐治寿明(声・大沢たかおさん)と大場壮貴(声:宮世琉弥さん)です。
【クスノキを取り巻く人々の人生】
クスノキの祈念の謎解きのきっかけを作るのは佐治の娘・優美(声:齋藤飛鳥さん)。彼女は父にある疑いを持っており、それを知るためにクスノキの番人の玲斗を巻き込んでいきます。
同時に和菓子メーカーの社長の息子・大場壮貴は何度もイヤイヤ連れてこられますが、なぜ祈念を嫌がるのか……。
それぞれの理由はネタバレになるので書けないのですが、一つだけ言えるのは、家族への想いが秘められていること。特に佐治の秘密は家族愛に溢れていて、そこから展開されるエピソードは悲しさもありつつ、とても心温まるいい話でしたよ。
また千舟の秘密も意外でした。凛としたスマートな女性で、シニア世代ですが「まだまだ現役!」という印象だったのに……。人生はわからないものですね。
【声のキャストが大健闘】
また本作は主要登場人物の声を担当した俳優陣が豪華!
私的、声の芝居が抜群にうまかったのは、齋藤飛鳥さんと宮世琉弥さん。齋藤さんは初の声優仕事とは思えないクオリティ。躍動感溢れる声のお芝居で優美というキャラクターをチャーミングに魅せていました。
いっぽう、宮世琉弥さんはぶっきらぼうな壮貴をナチュラルに演じていて余裕さえ感じましたよ。
【東野圭吾作品がアニメーションになった理由】
伊藤智彦監督は本作を手がけた理由について、
「派手なアクションもない、SFでもない、ホラーでもないこの作品をなぜアニメ作品にしようと思ったのかとよく聞かれるのですが、こういうアニメーションも誰かが作らないと途絶えてしまいます」(公式インタビューより抜粋)
実写の可能性もあるんじゃないかと考えてみたのですが、この物語を表現するのはアニメで正解! クスノキの祈念エピソードはファンタジー色が強いので、アニメで見たほうが心に刺さると思いました。
やはり東野圭吾の映画は話がしっかり作り込まれているから見応えある!と改めて思った『クスノキの番人』。ぜひスクリーンで観てくださいね。
執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会
『クスノキの番人』
2026年1月30日(金)全国ロードショー
原作:東野圭吾「クスノキの番人」(実業之日本社文庫刊)
監督:伊藤智彦
脚本:岸本 卓
出演:高橋文哉、天海祐希、齋藤飛鳥、宮世琉弥、大沢たかお







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