「黒瓦」だった天守の屋根瓦を、明治時代に解体される以前の「赤瓦葺」に復元する工事が、ようやく3月に終了した会津の「鶴ヶ城」。

ところが、「震災の影響や風評被害により客足が減っている」。そんな情報がニュースで流れていたので、「よし、連休は会津へ行くぞ!」と思い立ち、4月30日遠路遥々訪れてみることにしました。

都内から新幹線と在来線を利用して、約3時間。旅としては、長すぎもせず短すぎもしない。日頃から疲労困憊している大人としては、程良く旅気分を楽しめるのが何より嬉しいところです。

城に着くと、リニューアルを記念して作られた会津若松市のシンボル「お城ボくん」が歓迎してくれました。屋根もしっかり赤色にペイントされています。「鶴ヶ城」なのに腕や車輪が付いてスーパークール! デザインをしたのが、アニメ「ヤッターマン」などで有名なタツノコプロダクションの笹川ひろしさんによるものといえば、納得ですね。

この「お城ボくん」は大変優秀で、早くも来場する人々の心をすっかり射止め、周りに人だかりができていました。子供たちも「お城ボくん」の前でお行儀良く立って写真撮影していましたが、子供たちの影に隠れて、ほとんど映っていなかったのではないかと思います。

思っていたよりもたくさんの人が訪れており、賑やかでホっとしました。ちょうど桜が満開でしたが、これから連休中は、荘厳な花吹雪が楽しめそう!

お城の石垣に作られた洞穴のような入口から中に入っていくと、灯篭をを持ったお侍が出迎えてくれました。

と思ったら、私たちの出迎えではなく、貴重な「塩」の見張りをしているそうです。会津は山に囲まれているので、昔は磐梯山などから採れる山塩を資源としていたそうです。明治時代には皇室へも献上されたほど希少だったとか。

城内には、子供も大人も楽しめる体験コーナーがいたるところにあります。火縄銃や日本刀に触れるコーナーに差し掛かると、同行していた編集アシスタントのZちゃんは、すかさず刀を手に取り、小さい子供たちの前で刀をブンブン振り回して見せ、大人女子の力強さをアピールしました。

壁にくり抜かれた穴から中を覗いてみると、城内の当時の生活の様子を垣間見ることができます。鏡に映った己の顔が、イラストの顔部分に当てはまるようになっていて「バーチャル女中」や「バーチャル殿様」などを楽しむことができてテンション上がります。

ほかにも、お姫様の着物を羽織れるコーナーや、殿様が住んでいそうな和室などが設けられ、記念撮影コーナーも充実。家族サービスに奮闘するパパたちは、我が子の成長っぷりを収めるべくシャッターチャンスを1枚たりと逃すまいとして、写真撮影に余念がありません。

中でもお姫様の着物は、おませな子供たちに大人気! 無造作にハンガーに掛けられ、くたびれた様子から、着物さんもかなりお疲れモードのようでした。

ようやく最上階(5層部分)にたどり着くと、暖かで爽やかな風に吹かれながら一休憩。外を見ると、会津の城下町が一望できます。青々と広がる柔らかな芝生の上では、家族や愛犬たちと戯れる来場者たちが、思い思いに春のひとときを満喫していました。ピクニックをするにも絶好の場所といえそうです。

例のリニューアルした「瓦」も、目下に眺めることができます。赤というよりは茶色がかったエンジ色でした。これまでの黒瓦はお城をスマートに見せてくれていましたが、赤瓦は優しく温かみのある印象が強くなります。会津の人情味がここに表れているような気がして、誰もが好印象を受けるはず。

お城の見学を終えたあとは、同じ敷地内にある千利休の子・少庵が建てたといわれる茶室「麟閣」の抹茶で一服。福島県の重要文化財に指定され、なかなか趣深い茶室も間近に見物できます。

抹茶と薯蕷(じょうよ)饅頭がセットになって500円。お饅頭の生地に山芋が練り込まれていて、とても柔らかくてモチモチしています。餡も上品な風味で、ほんのりピンク色なのも良い。初めての美味しさに感動さえしました。一度食べたら好物になること間違いなし! 疲れもあっという間に吹き飛びます。

お土産屋さんには、会津地方の郷土玩具「赤べこ」たちが群れをなしていました。首を振りながら「買ってえ~買ってえ~」と、通り過ぎるお客様たちに訴えかけているような気がしてきます。蛍光ピンクの「べこ」も売っていて、その可愛らしさに堪らず欲しくなり、記者もひとつゲット。意外にも、ひょうきんな顔をしているので若い人にもウケが良さそうです。

予想以上に充実した1日を過ごすことができ、当初そんなに乗り気じゃなかった通常引きこもりのアシスタントZちゃんも大満足だったようです。

ゴールデンウィークにどこかへ行きたいけど、どこへ行ったら良いやら……と迷い中の人は、原発から100キロ近く離れ放射能の影響も少ない、福島県会津若松市近郊への旅も良いセレクトだと思います。風評被害で例年よりも観光客が少なくなっているので、旅行自体が支援につながるはず。

もちろん「鶴ヶ城」だけではなく、町には地元のうま~い日本酒を醸造する伝統的な酒蔵や、有名なソースとんかつ、伝統の10割蕎麦など、美味しい物もたくさんありますよ! あなたもぜひ、足を運んでみませんか?

(写真、文=める)

「鶴ヶ城天守閣・茶室「麟閣」共通入場料金(共通券)」

入場料:大人500円、小中学生150円

開城時間:午前8時30分~午後5時まで

休館日:無休

参考元:会津若松市観光公社(http://www.tsurugajo.com/