日本のプリンタのインクは高すぎる! これは私が常々思っている日本プリンタ界への不満であり、何食わぬ顔で部屋に溶け込んでいるプリンタが「金食い箱」、もしくは「プリンタメーカーの貯金箱」に見えてくるほどの恐怖を感じる今日この頃。私の願いはただひとつ。ただただ、「プリンタインクを安くして!」というだけなのです。

一方、海の向こうの微笑みの国・タイでは、「プリンタのインクを安く……」という概念すら超越したプリンタが売られているのをご存知でしょうか? 題して「外付けインクタンク式改造プリンタ」です。どんなものなのか、タイに行って見てきましたよーッ!

場所はタイ・バンコクの電脳ビル「パンティップ・プラザ」。まっとうな電化製品から違法コピーソフトまで、ありとあらゆるデジタル製品が一堂に売られているタイで一番大きい電脳デパートです。ここにはいくつかの改造プリンタ屋さんが存在し、せっせと店先でプリンタ改造に精を出しております。

「外付けインクタンク式改造プリンタ」の仕組みは実にシンプル。メーカーや型番によって、価格と構造は微妙に違いますが、だいたいどれも純正のインクカートリッジに穴をあけて、プリンタ本体横に設置する外付け巨大インクタンクに極細のチューブで直結。たったこれだけの改造で“常に詰め替えインクされている状態”になるわけです。

インクが減ってきたかどうかは、半透明の外付け巨大インクタンクを見れば一目瞭然。そのつど、別売りの詰め替えインクを補充すればオッケーなのです。価格も聞いてきましたよ! 別売りの詰め替えインクは、各色100ml入り1本が100バーツ(約267円)。日本の詰め替えインクは、だいたい30mlで900円弱なので、およそ9分の1の価格です。

そして、肝心の「巨大インクタンク」の価格はというと……これまたメーカーや機種にもよりますが、たとえばキヤノン用のインクタンクは改造費込みで600バーツ(約1607円)、エプソン用は800バーツ(2142円)なのだそうです。持ち込みもOKですが、ほとんどのお客さんは、最初から外付け巨大インクタンク式に改造されたプリンタを購入していくとスタッフの兄ちゃんが話しておりました。

詰め替えインクと比べても9分の1。純正インクと比べたら……そりゃもう何十分の1の価格ですよ。さすがに日本でも外付け巨大インクタンクを売って欲しい!……とまでは言いませんが、ちょっと羨ましく思えるタイのプリンタ事情2012年でありました。これなら気兼ねなくプリンタできますね。あたし、持ち込み改造してもらっちゃおうかしら。たとえ壊れても自己責任で。

(文・取材=長州ちなみ