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まだまだ暑い日が続きますが、皆さんお元気ですか? 貧血なんかになっていませんか? 

私(記者)はそうめんばかり食べているからか、先日おもしろいほど連続して立ちくらみになり、あやうく違う世界に旅立ちそうになってしまいました。そこで、あわてて鶏レバーで鉄分補給をしようとしたのですが……鶏レバーってなんであんなにもパサつくのでしょう? しかも、下処理を失敗すると、すごく獣臭くなっちゃうし。

レバーが苦手だという人は多いですよね。でも考えてみれば、フォアグラだってレバーの一種。鶏レバーがフォアグラみたいにトロットロにできて、臭みもちゃんと抑えられれば、鉄分補給としてではなく普通におつまみとして食べたいのに!

ということで、いろいろと思考錯誤してみた結果、4つの材料で簡単に作れるのに、フォアグラ級にトロットロの鶏レバーが作れる方法を見つけましたよ! 

【クリアしないとならない条件!】

鶏レバーレシピを開発するのに考えなくてはならないのは、パサつきの防止と、臭みの解消、それに何と言っても食中毒対策! おいしくても、直後にトイレに急行だなんて、あまりに危険すぎますから!

ということで、抑えなければならないのは以下の条件。
・ 鶏レバーの生臭さは100℃以上で加熱すると出てくるので、100℃未満で!
・ 加熱しすぎるとパサつくので、極力低温で!
・ カンピロバクターを死滅させるために60度なら1分以上の加熱が必要!
・ サルモネラ菌を死滅させるために60度なら15分以上の加熱が必要!
・ O157を死滅させるために、60度なら10分以上の加熱が必要!

これをクリアして考えついたレシピが、以下です。

【「トロトロ鶏レバー」の作り方】

<材料(作りやすい分量)>
・ 鶏レバー 100g
・ 白ワイン 100cc
・ 牛乳 80g
・ ハーブソルト(なければ塩胡椒、もしくはお好みのハーブと塩) お好み

材料が増えてもいいという場合は、すりおろしたにんにくしょうがローレルなども使うとおいしいです。

<用意するもの>
・ 炊飯器
・ 小鍋
・ 炊飯器に入る大きさの耐熱のカップ(マグカップなど)
・ 沸騰直前の湯 カップを炊飯器に入れたときに3/4くらいまで浸るだけの量

<作り方>
1. 炊飯器に沸騰直前の湯を入れて、保温コースをセット。
2. 鶏レバーを5ミリ程度の厚さにスライスして、流水で洗い、血の塊を取り除く
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3. 牛乳に漬けて冷蔵庫に入れて30分以上置く
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4. 牛乳からレバーを取り出し、水気を切ってハーブソルトをたっぷりまぶす
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5. 白ワインを小鍋に入れ、沸騰させる
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6. 耐熱カップにレバーを入れ、沸騰した白ワインを注いで手早くスプーンなどで混ぜる。にんにくやしょうが、ローレルなどを使う場合は、この段階でレバーとともに入れる。
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7. 6を炊飯器に入れ、ときどきカップの中身をかき混ぜながら90分間保温する
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以上です!

炊飯器は、だいたいどこのメーカーも60度から70度の設定です。温度が選べる場合は、60度以上かつ低めの設定にするとパサつきを抑えられますよ。

【白ワインがいい仕事をする!】

ちなみに、白ワインは殺菌のために使った……わけではありません。ワインはアルコールが入っているので沸点温度が低いのです。何種類か沸騰させてみたところ沸点は82〜84℃程度。つまり、レバーの臭みが出てしまう100℃になることはないんです。

さらに素晴らしいのは白ワインの香りがレバーに移るところ。臭みが気にならなくなる上にワインが香る大人味になっちゃいます。いよっ白ワイン、いい仕事!

【管理栄養士さんに安全面を聞いてみた】

安全を考えて調理したとはいえ、記事として書くにはやはり専門家の意見が聞きたい! そう思って「ずぼら栄養士の15分ご飯」でおなじみの、管理栄養士の川村郁子さんに聞いてみました。川村郁子さんは病院の管理栄養士だった方で、調理専門学校で食品衛生学を教えている先生でもあるんです。
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川村先生曰く、

「60度以上で90分加熱できていれば、食中毒の心配はないでしょう。レバーを小さめにカットすることで内部の温度が上がるようにしているので、レシピに反して厚く切るのは絶対にNG。切ってみて、内部が白っぽくなっていない場合は加熱が足りないので、もう少し加熱してください。シソや生姜など、殺菌作用のあるものを一緒に食べると安心ですよ」

とのこと。
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フォワグラ級のトロットロの食感は、お酒のつまみに最適。トロットロ濃厚で臭みのない鶏レバーを、ぜひ試してみてくださいね。このレシピ開発のために、毎日鶏レバーを食べていたら、私(記者)は貧血から解放されました。

取材協力=管理栄養士・川村郁子さん
料理・撮影・執筆=山川ほたる (c) Pouch