[公開直前☆最新シネマ批評]

映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、TVドラマ「LOST」映画『M:i:Ⅲ』『スタートレック』などのヒットメイカー、J.J.エイブラムスの新作『SUPER8/スーパーエイト』。本日より公開です!

内容を明かさず秘密主義を通したこの映画。全米では絶賛レビューが多く、期待高まる本作がついにスクリーンに! これがまあ「スピルバーグ映画?」彼へ捧げられたような少年冒険アドベンチャーなのです。それもそのはず、スピルバーグは本作のプロデューサーですが、エイブラムスはずっと彼の背中を追いかけてきた映画少年だったのです。

ふたりが出会ったのは、なんとエイブラムス監督が15歳のとき。8歳でスーパー8(8ミリカメラ:イーストマン・コダックが65年に紹介したフォーマット)を手にしたエイブラムス少年は、ホームムービーを撮影。数年後、幼馴染であり『クローバーフィールド/HAKAISHA』の監督でもあるマット・リーヴス監督と8ミリの映画祭に参加。なんと!ロサンゼルスタイムス誌で「ヒゲのない神童たち」と取り上げられたのです。

それに目をつけたのは、スピルバーグのアシスタント(キャスリーン・ケネディ)。彼女に「スピルバーグが少年時代に撮影した8ミリ映画に手を加えてみない?」声をかけられ、エイブラムス監督はわずか15歳で、スピルバーグのホームムービーを編集する仕事を手に入れたというわけです。さすが神童!

本作の内容は、スピルバーグと話しあって決めたものだそう。「どんな映画を見たいか話しあっているうちに、8ミリ映画を作っていた自分たちの過去の話になり、それがおもしろいじゃないかということになったんだ」とエイブラムス監督。そして、少年たちの8ミリ映画の撮影の様子と実際に起こる奇想天外な出来事がミックスされた本作が出来上がったというわけ。スピルバーグは「70年代にあった映画作りの文化を語っている作品とも言えるね」とも語っています。

少年たちと街を襲う不吉な存在が少しずつ牙をむいていく……そのプロセスもドキドキものですが、何より楽しいのは、少年たちが作り出す劇中劇の8ミリ作品「ザ・ケース」。ジョージ・A・ロメロ的なサスペンスホラーは、手作り感ばっちり! ユーモラスで愛らしいホラーです。

これもきっとエイブラムスが作ったんだろうなと思ったら、なんと! 子役たち(ジョエル・コートニー、エル・ファニングほか)が自分たちでストーリーを考え、作り上げた作品だったのです。エル・ファニング曰く「監督に自分たちでシーンを作っていいよと言われたの。すごくうれしかった。みんなで一緒に考えて、話を書くのも楽しかったな」と。エイブラムスの粋な計らい! この劇中劇、けっこう笑えます。

エイブラムス&スピルバーグの少年時代と70年代の映画界に捧げられたような『SUPER8/スーパーエイト』。ちなみにエンドロールはおまけ付き。最後まで席を立たないでご覧ください!(映画ライター=斎藤 香)

『SUPER8/スーパーエイト』

6月24日(金)より全国公開

監督&脚本:J.J.エイブラムス

出演:カイル・チャンドラー、エル・ファニング、ジョエル・コートニー、ガブリエル・バッソ、ノア・エメリッヒ、ロン・エルダード、ライリー・グリフィス、ライアン・リー、ザック・ミルズ

配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン カラー

(C) 2011 PARAMOUNT PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

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ライタープロフィール(http://bit.ly/hlZYAr