【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023年6月30日公開)です。

1981年に日本公開された『インディ・ジョーンズ/失われたアーク《聖櫃》』から始まった “インディ・ジョーンズ” シリーズの第5作目。IMAXで劇場鑑賞しましたが、やっぱり最高のジェットコースタームービーでした!

でも、ちょっとツッコミどころもあったような……? それでは、物語から。

【物語】

時は1969年。考古学者で冒険家のインディアナ・ジョーンズ(通称インディ / ハリソン・フォードさん)は70歳。冒険家として引退の時期に差し掛かっていました。ある日、インディの元に訪ねてきたのは、友人の娘ヘレナ・ショー(フィービー・ウォーラー=ブリッジさん)。

彼女は亡き父親の人生を狂わせた “運命のダイヤル” のありかを知りたいと言います。

そしてインディは彼女と共に再び冒険の旅へ出ることに。しかし、元ナチスのユルゲン・フォラー(マッツ・ミケルセンさん)も “運命のダイヤル” を狙っていたのです……!

【元祖ジェットコースター・ムービー】

『インディ・ジョーンズ』シリーズとは言えば、転がってくる巨大岩にトロッコチェイスなどスリリングな仕掛けがいっぱいの元祖ジェットコースター・ムービー。そのスリルは本作でも健在です。

インディと相棒のヘレナ、謎の少年テディ(イーサン・イシドールさん)がトゥクトゥク(三輪自動車)をかっ飛ばして、元ナチス軍団を追いかけるシーンのスピード感がすごくて、「あ〜!ぶつかる〜」とハラハラ。

洞窟で身体中にサソリなどが張り付くシーンは思わず「ぎゃー」と叫びそうになったし、後半の飛行機のシーンも迫力満点!

そんな激しいシーンに挑戦するハリソン・フォードさん、凄すぎる! 御年80歳とは思えないかっこよさにシビれました。

【インディとナチスの因縁の対決】

物語は、“運命のダイヤル” をめぐり、インディと元ナチスが取り合うというもの。第1作目も「アーク《聖櫃》」をナチスと取り合っていたので、最終章で第1作目に立ち返った感じがしました。

その敵役を演じるのが、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(2022年)などに出演するデンマークの人気俳優マッツ・ミケルセンさん!

ハリソン・フォード×マッツ・ミケルセンの対決が見られるなんて、なんて贅沢なのでしょう。終始冷静でキリッとしたマッツさんのかっこよさ。敵のはずが、うっとりしてしまいました。

【若き日の自分への未練】

後半、インディが若き日の自分への未練を見せるシーンでは、冒険家としてノリノリだった輝かしい時代を取り戻そうとしているようにも感じました。

70歳を過ぎて、この冒険が終わったらまた現役引退の自分に戻ると思ったら、やるせなくなったのかも……。引退は私たちも寂しいけれど「インディも同じように思っていたんだ…」とちょっとしんみりしてしまいました。

でも何歳になっても現役にこだわり、頑張り続けたい気持ちには共感。インディ・ジョーンズの生き様を見た気がしました。

【スピルバーグ監督作で見たかった気も…】

総じて楽しかったのですが、過去のインデ・ジョーンズシリーズを超える作品だったかと言われると……正直、悩んでしまいます。

というのも、シリーズを手掛けてきたスティーヴン・スピルバーグ監督が本作では製作総指揮を担当。『ウルヴァリン/SAMURAI』(2013年)などを手掛けるジェームズ・マンゴールド監督が演出を担当したのですが、新しい仕掛けや驚きはなく、ベテランの監督がスキルを駆使してソツなくこなしたという感じがちょっとしたんですよね。

だから、「最後のインディをスピルバーグ監督だったらどういう作品に仕上げたかな」と考えてしまいました。やはりインディ・ジョーンズの世界を作り上げたのはスピルバーグ監督ですから。

とはいえ、ハリソン・フォードさんは、

「40年以上に及んだインディアナ・ジョーンズの旅路はとても幸せだった。このシリーズの撮影はすごく大変だったから、終わりを迎えられてうれしいよ。後悔することは一切なく、最後にふさわしい作品を制作できたことに大きな喜びを感じている」(公式プログラムから抜粋)

とコメント。インディ、そしてハリソンさん、お疲れ様でした&たくさんの感動をありがとう!

皆さんぜひ大スクリーンで、インディ・ジョーンズ最後の大活躍を目に焼き付けてくださいっ。

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
(2023年6月30日より全国ロードショー)
監督: ジェームズ・マンゴールド
製作:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、サイモン・エマニュエル
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
出演:ハリソン・フォード、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、アントニオ・バンデラス、ジョン・リス=デイヴィス、マッツ・ミケルセン