台湾のちょっとヘンな日本語が面白すぎる、らしい。先日、台湾の親日ぐあいについて詳しくレポートしてくれたT氏が、いろいろ写真を撮ってきたのでぜひPouchで紹介してくれという。

けどね、日本人観光客が来る地域ならよくあることじゃない? タイのカオサン通りであれ韓国の明洞であれ、レストランの軒先にあるヘンな日本語メニューなんて、珍しくないでしょ。

「いや、根本が違う」とT氏。彼によると、繁華街にある日本人向けのヘタな日本語、その裏にあるのは単なる商魂。戦後の日本の子供たちがギブミーチョコレートって言っているようなものだ、と。

それに対して台湾の日本語は、「台湾の子たちがオシャレアイテムとして使っているもの」であり、日本人が読んで理解するためのものではないのだそう。オシャレっぽく見せようという多少の下心はあるにしても、その向こうにあるのは「日本ラブ♪」だという。

半信半疑で写真を見てみると……そこにあったのは、あまりに不器用すぎて慈しみたくなる、日本と日本文化への愛情表現でした!!

・私がほしいのはそれじゃないんだよ

大きく書かれた「ビスグツト」に目が行くけど、気になるのはその下。食べたいののはビスケットなんだよ、くだものじゃないよ! 思いっきり言い切っちゃってるけど、困るよ。

・何を使って誰がどう書いたのですか

ちゃつくり」。うん、それがウーロン茶とかだったらわかるような気もする。でもこれ、お醤油だよね。申し訳ないけど、ちゃ、つくってないよね。そしてどこの死にかけたおじいちゃまに書かせたの? なんでこんなにヘロヘロなの。トレードマークのお兄さんはとっても元気そうなのに。

・日本語だからストレートに言えることもある

ミキサーにかけた食材をろ過するための布巾みたいな製品。そうそう、女子には大事な問題だよね、「食べる出る健康」! 食物繊維のパワーを何のオブラートにも包まないで伝えてくる正直さがステキだよ。耐熱だ!

・それは言い過ぎではないかしら

部屋の恋物語。モダンな魅力、流行の最先端。うんうん、特に非モテな女子にとっては夢みたいな、いい言葉ばっかりだね。けどペットボトルの保冷用袋では、素敵な恋は始まらないかな……。「ざぃしっ」がかわいい、あるいは「GANTZ」みたい。

・そのまま真似るの悪いから少し変えとくね

「三菱」をドライヤーで無残に溶かしたようなマークと「タチピツ」。この不器用なカタカナもブランドロゴの一部なので、きちんと製品本体にも入っているよ。でっかく台湾製造!って書いてあるから偽装するつもりはあんまりないみたい。ちなみにこのドライヤーは約1,000円。

・途中でめんどくさくなっちゃった

衣類の壓(圧)縮袋。「この連壓縮袋をると使用、洋服タンスや押し入整理悩解消!」 そもそも日本語にするつもりがあるのかないのか。「押し入」のあたりからもうぶん投げちゃってる感じ、でも意味は通じちゃう。台湾っ子にとってもそうなのかな?

・ひらがなのかわいさを教えてくれる

台湾っ子たちに日本語が人気な理由のひとつは「ひらがながまるっこくてかわいい」だそうです。へちまころん。なんかすっごいかわいいぞ! 中身は単なる安い化粧水だと思うけど、見つけたら買っちゃいそう!

・世界一許してしまいたくなるパクリ

これ絶対、キリン「世界のKitchenから」の真似だよね。許せ……ん? 「日本櫻花の風味」? 「桜のリンゴ茶」、ちょっと言ってる意味はわからないけど、すごく日本を愛してくれてることは伝わるよ。「桜」が繁体字でも簡体字でもなく、日本の字だってことからも。

・日本風のお菓子だから日本語がんばったよ!

商品名からして、日式(=日本風)もち。中国語はどこにもなく、「抹茶」には「まっちゃ」とひらがなでルビ。右上にはブランド名「花の戀(恋)語」。そこまでしてるのに説明文はまるっきりカオス! 「解膩を塗ります」は各種翻訳ツールでも検索エンジンでも太刀打ちできない、極上の暗号。変なもんは塗らないでほしいな! 右の「黒糖(くろざとう)」味は「健康はおいしいです」と素直な告白を。

・くらえ俺たちの魔球、沖縄県ボール!

日本の本物の味!」だそうだけれど、残念なことに寒天ボールというものはいまいち日本っぽくない。黒糖=沖縄っぽい、というイメージなのだろうか、でも「」をつけると一気に食べ物感が消滅する不思議。日本語ってもしや相当難しい?

・あふれる愛はアメリカさえも塗りつぶす

クエイカー・ブランドの即席オートミール。そんなアメリカ文化の権化みたいな製品でさえも、牛乳とくればやっぱり北海道なのさ! でも北海道「風味」って言われるとあの、牧場の独特な臭いがしそうな……どうあれ、日本を愛し北海道を愛してくれる台湾、抱きしめたい!

・惜しい

わずか4文字ですよ。しかも漢字の順番はわかるだろうから、実質2文字ですよ。そんな、ノーミスからものすごく近いところで文字を逆にしちゃうのが可愛いすで。もうこれは「ドジっこ萌え」狙いなんでしょうか。ところで味の説明もいまいち意味不明ではあります。

・有名物件

最後は、とんでもない高さ&とんでもない距離を運行するので「絶叫マシン」としても名高い「猫空ロープウェイ」の日本人向けパンフレットから。この「3はでたらめです宮駅」、台湾ファンの間では有名なのだとか。誰も教えてあげないのか、あえて残しているのか。ところでこの件の真犯人はエキサイト翻訳、「三玄」と入れて日本語に訳すとこうなるのです。みんなも試してみよう!

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うーむ。そんなに日本が好きなら、日本語を学ぶまでいかなくても、日本人にチェックしてもらえばいいのに。と思うのと同時に、このほんわかしたドジな日本語たちにはずっとそのままでいてほしいとも思う。

日本人がわけのわからないフランス語をカットソーの前面にプリントしてしまう、それと同じように日本語と日本のイメージを愛してくれる台湾のみなさん。合ってるか間違ってるかなんてどうでもいい、ただお互いにお互いを尊重していければいいのです。あーわたしもお金をためて行ってみ台湾!

(文=纐纈タルコ / 写真提供=YOSHI T.)

▼おまけ1。大手飲料メーカーが7月頭から9月末まで3ヶ月にわたり「北海道に行こう!」キャンペーンを展開。反日? なにそれおいしいの?

▼おまけ2。受話器からいいにおいがするようにする商品っぽいけど、イラストはなぜか日本のアニメ絵。