sakurazawasan

女子会、女子力、オトナ女子と、今まで多用してきた「女子」という言葉。最近なんだか引っかかる……。そんな風に感じていたら、先日an・anが「もう『女子』は卒業です!」と宣言。やっぱりねえ。「女子」って言葉には、女の思惑が見え隠れしている気がするもの。

そんなときに手にとったのが桜沢エリカさんのエッセイ、『脱・女子!』。読んでみたら目から鱗が落ちまくり、勝手にtwitterで『脱・女子!』の名言を流すアカウントを作ろうかと思うほど。矢も盾もたまらなくなったので、桜沢エリカさんに会いにいってお話を伺ってきました。

joshi

桜沢エリカさんは19歳でデビューして以来、大人の恋愛をテーマにした漫画や、桜沢さん自身のライフスタイルや考えを描いたエッセイなどを次々と発表しています。女性の心情を描いた漫画に定評があり、多くの女性から支持を集めている桜沢さんが、なぜ『脱・女子!』という本を出すことになったのでしょうか。その経緯からお聞きしました。

■「モテ」を突き詰めて考えていたら、「脱・女子」になった
実はこの本は出版社から「一生モテ期」とか「モテるための本」といった内容でエッセイを書いてほしいという話がきたことがきっかけで生まれたそう。桜沢さんは、「モテ」というものを深く考えていくうちに、女性が自分を「女子」と言っているうちは、モテないし男性が逃げたくなるのだろうと考えたのですって。

「自分のことを『女子』としてとらえる女性は、男性に守ってもらいたいという気持ちを持っているのではないでしょうか。しかし、『男性に守ってもらいたい』という気持ちが男性に伝わると、男性は『すぐに結婚を迫られるんじゃないか』と不安になると思ったのです。また、女性が『男性に守ってもらいたい』と思うなんて、今の時代ではもう古い。もっと自立していった方が楽しいし自由になれます。本当に相性のいいパートナーをじっくり選ぶこともできます。モテを考えるよりも、『女子』をやめることの方が大切。それを伝えたかったのです。(桜沢さん)」

■女子として誰かに“依存”するのではなく、 “自立”しているのがイイ女
では、「脱・女子」を提唱する桜沢さんにとって、「ステキな女性」に不可欠なものは何でしょうか。ずばり聞いてみました。

「一番大切なことは『自立』。精神的な自立と経済的な自立の両方が必要だと考えています。自分でお金を稼いで生活していても、『彼からの電話やメールがなかったら生きていけない』というのでは、精神的に自立ができておらず、バランスが悪いです。また、経済的な自立もお金を稼いでいれば良いということではなく、誰かに依存しないで采配を振るうことが『自立』なので、専業主婦でも自立はできます。(桜沢さん)」

今、自分の力で家族を食べさせるのができないからと、結婚しない男性が増えています。でも女性が精神的にも経済的にも自立すれば、男性は楽になるために、結婚に踏み込めるかもしれません。自立してはじめて、女性は男性と対等に恋愛・結婚を楽しめるようになると、桜沢さんは主張します。

■女子として誰かに誘われるのを“待つ”のではなく、 “自分から動く”のがイイ女
また、桜沢さんは「安くっぽく見えてしまうから、媚を売るのは良くないと考えています。小5の娘にも『男にやたらに笑いかけちゃダメ。にらんでもいいくらいよ』と教えていますよ(笑)」と言います。

でも自立した女性が笑いかけもしなかったら、男性は近づきにくく、誘いづらいのではないでしょうか?

「女性から誘えば良いのではないでしょうか。男性からのアプローチを常に待つ女性は幸せな恋愛ができないと思います。男性の中には、『デートプランもサプライズの仕込みも全部やって、費用も全部持ちたい』と思う人もいるでしょう。でも男性全員がそういう人ではありません。

男性だって、女性と同じように断られたらイヤだなと思う繊細な心を持っているんです。それを「私は女子だし、男性が誘うのが当たり前」と、男性が誘ってくれるのを常に待っている人が多いのではないでしょうか。自分が気に入った男性なら、女性も勇気を出して『ご飯に行きません?』とメールしてみれば良いと思いますよ。(桜沢さん)」

■女子として周りの価値基準にあわせるのではなく、自分の好奇心を大切にして行動するのがイイ女
それから、桜沢さんはステキな女性になるために、好奇心を持ち続けることが大切だと言います。

好奇心を持って、自分の五感にビビッとくるものを求めていろんな場所に出かけていく人には、情報が集まってくるし、自然と人も集まってくるから出会いも増えます。また、生き生きとして楽しそうだと周りの人に伝わるものです。年齢に関わらず、そういう人は魅力的ですよね。(桜沢さん)」

桜沢さんご自身も、ひとりでバレエや歌舞伎、芝居などを見に行くことが多いのだとか。そして、体験したことを周りの人に話して、興味を持ったことは積極的に人に聞いたり調べたりするのだとか。

■「女子」を自称して若さにこだわるのではなく、「女性」として上手に年を重ねていく
また『脱・女子!』の冒頭には、こんな言葉が書かれています。

「黒縁のカラコンには、顔を一気にイノセントな印象に見せる魔力がある。入れたとたんに経験値ゼロの幼い顔になっちゃって、どんな年でもかわいらしく見えるんだよね。
でも、本人が思っている効果と、他人から見たときの効果はちょっとちがっていて、私なんかは、せっかく経験を重ねて思慮深い表情になってきた女性が、カラコンでつぶらな瞳の犬みたいな顔になっているのを見ると、ガッカリしてしまう。」

ズキューンと胸を打ち抜かれませんか? 『脱・女子!』には「経験が生む『深み』はマイナス20歳の美貌より美しい」という名言なども。「女子」を自称して若さにこだわるのではなく、「女性」として上手に年を重ねていく方がはるかにステキだと、桜沢さんにお話を伺い、『脱・女子!』を読んで記者は感じました。

『脱・女子!』にはその他にも、「付き合っていない段階で、男性に手料理を振る舞うのはNG」「“毒”を封印すると価値観のアンテナが鈍る」など世間で言われている「(女子として)モテるためのテクニック」とは真逆の提案もしばしば。でも、仕事から恋愛、大きな決断の仕方から周りとの付き合い方まで書いてある『脱・女子!』を読めば、「女子なんだからこうしなくちゃ」と凝り固まっていた心がほぐれて、楽になっちゃうかも。

インタビューに答えてくださった桜沢エリカさんは、もちろん凛としていて自然体で、茶目っ気がありながらもしっとりと落ち着いた大人の女性。「女子」よりも、桜沢さんのような「ステキな女性」になりたいと、記者は心から思いました。

いかがでしょうか。「守りたくなるような女子」なんか目指さないで、自立しているけれど茶目っ気のあるイイ女を目指そうではありませんか。『脱・女子!』、オススメです。

【書籍情報】
書籍名:『脱・女子! ずっと憧れられる女性の“心のスタイル”』
著者:桜沢エリカ
出版年:2012年9月
出版社:河出書房新社
定価:1200円+税

取材協力=桜沢エリカさん(ナデシコプロ
(取材、文=FelixSayaka