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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのはラブミュージカル映画『踊るアイラブユー♪』(2015年7月10日公開)です。この作品は、映画『レ・ミゼラブル』の音楽プロデューサーが手掛けた80年代ポップス満載のミュージカル映画。『レミゼ』のような重厚さはないけど、軽やかでラブ100%の女子大喜びミュージカル映画なのです。

【物語】

南イタリアのプーリアという、海が輝く風光明媚な町にやってきたテイラー(ハンナ・アータートン)。ここは彼女が3年前、真剣な恋に落ちた場所でもありました。その同じ地で、姉のマギー(アナベル・スコーリー)が結婚することに。恋多き姉だが、今度は本気だと言うのです。さっそくその恋人を紹介されたテイラーはガクゼン! 

なんとそれはテイラーの元彼、初めて本気で愛した男ラフ(ジュリオ・ベルーチ)だったのです!

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【ヒロインの恋心を歌に乗せて】

妹はしっかり者だけど恋にオクテな女性、姉は恋に奔放、そんな二人が同じ男に恋をする……という、わかりやすいキャラ設定と少女漫画のようなストーリーがいい! この映画は南イタリアを舞台に男女の恋愛模様を80年代ポップチューン満載で描いたノリがよくて明るいラブコメディ。姉の婚約者が自分の元カレなんて、重く描こうと思えばいくらでもできるけど、この映画はそんな葛藤さえ軽やかなのです。

プロデューサーのジェームス・リチャードソンは、こう語っています。

「楽しく面白い作品を作りたくてね。バカンスの恋は誰でも経験するものだから、これをテーマにしたら素敵な映画になると思ったんだ。80年代の音楽を使ったのはどこでも流れているからだよ! 80年代には生まれてなかった若い人も歌ったり、パーティで使ったりしているからね」

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20代前後の若い人には懐メロ?と思われるかもしれないけどアラサーならば「これ知っている!」という曲もあるでしょう。シンディ・ローパー、バナナラマ、マドンナ、ワム、ロクセット……。ただノリがいいだけじゃなく、ちゃんと登場人物のそのときの気持ちが歌詞に現れているのがいいですね。ノリノリになりつつもハートに訴えてくるのです。

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【無名の新人を起用したキャスティングの妙】

この映画は企画段階では、大物スターを起用して、大きな製作費を得てスタートさせようという考えもあったそうです。でも、あえてフレッシュな新人を起用して、脚本などに力を注いだそう。

俳優たちに求められたのは『技術的に素晴らしいダンスができることより、踊って演技ができること』

オーディションでテイラーを射止めたハンナ・アータートンは、映画初出演でヒロイン役に大抜擢されたシンデレラガール。彼女はフツーぽく、まだちょっとあどけなさが残る感じが共感を生むポイントになっています。

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セクシー美女が恋に積極的にいけないと言われても説得力ないけど、ハンナみたいな素朴でキュートな女性が、意地を張って「もう好きじゃないし」とか言っていると、可愛いなあ……とか、わかるわ~とか思っちゃうのですよ。

【ボリウッドのアイデアを盛り込んで】

『踊るアイラブユー♪』のスタッフは、ボリウッド映画(インド映画:ボンベイ × ハリウッド)をたくさん見て研究したそうです。ボリウッド映画はミュージカルが多く、突然歌って踊りだすのはご存じの通り。にぎやかで明るくて楽しくて……本作はそんなボリウッド映画的なものを目指したのでしょう。

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ボリウッド的ミュージカルをイギリス映画がやったら、こんなキュートなミュージカル映画に! 『踊るアイラブユー♪』は、女子同士で見るのが最適かも。ぜひノリノリハッピーな気持ちになってください。

執筆=斎藤香(C)Pouch

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『踊るアイラブユー♪』
2014年7月10日より、TOHOシネマズシャンテ、シネクイントほか全国順次ロードショー
監督:マックス・ギーワ
出演:アナベル・スコーリー、ハンナ・アータートン、ジュリオ・ベルーチ、グレッグ・ワイズ、レオナ・ルイスほか
(C)WOS DISTRIBUTION (IRELAND) LTD. 2014