世の中には、似ているけれど意味が異なる言葉が数多くあります。たとえば、「おにぎり」と「おむすび」。みなさんは、このふたつの違いを説明できますか? 「地域によって呼ばれ方が違う」とか「時代によって呼ばれ方が変わってきた」……そんな声が聞こえてきそうですが、実はもっと明確な違いがあるんです。
その他にも、気になっていたけれど辞書を見ただけでは違いのわからない、さまざまな言葉を調べてみましたよ! なかには記者が想像もできなかった違いのあったものも……。
【「おにぎり」と「おむすび」の違い】
このふたつの違い、みなさんにはわかりますか? 実はそれぞれ、誕生ストーリーが異なるんです。
まずは、「おにぎり」。これは、「にぎり飯」が転じたもの。なんとなく想像できますよね。
それに対して「おむすび」は、少々複雑なようです。どうして、ごはんをにぎったものを「むすび」というのでしょう……。これにはいくつもの説があるのですが、なかでも興味深いのが、古事記に出てくる神さま「産巣日(むすび)神」に由来する、というもの。当時の日本人が山を神さまのように崇めて、その神の力を授かるために山のかたち(三角形)に握ったとか。
なので、「おむすび」は三角形に握られたものだけを指します。「おにぎり」はお米を握ったもののことを言うので、俵型でも丸いかたちでも、もちろん三角形でもオーケーです。
【「林」と「森」の違い】
「林」よりも規模が大きいもの、木の本数が多いものが「森」でしょ……そんな風に思っている方も多いのでは? 実は、広辞苑などの辞書には明確な違いは記載されていないものの、「林」は人の手によって人工的につくられたもののことを言い、自然に生えているものが「森」という考えが林業の業界にはあります。
「林」という言葉は、もともと「髭を生やす」などの「はやす」が語源で、「森」は「盛り」が語源と言われています。
【「えんどう豆」と「グリーンピース」の違い】
子どもの嫌いな食べものランキングの常連である、「グリーンピース」。それと、あんみつや豆大福に入っている「エンドウ豆」って、同じ植物・エンドウマメからとれる豆なのに、呼び方が違います。
日本語と英語の違いでしょ、なんて思いがちですよね。でも実は、未熟な状態の実が「グリーンピース」で、しっかりと成熟したものが「エンドウ豆」なんです。しっかりと成熟することで、あの独特な青臭さが消えるそうですよ、「グリーンピース」さん。
【「そうめん」と「ひやむぎ」の違い】
9月になっても、まだまだ暑い日が続きますね。こんな時は、やっぱり「そうめん」! いや、待てよ「ひやむぎ」か? 広辞苑でそれぞれのページを見ても違いがわかりません。
調べてみると「そうめん」は、奈良時代に中国から伝わってきた麺に打ち粉をして手延べする「索餅(そうぴん)」が由来。その後に「そうめん」の中でも、水で冷やして食べるものを「ひやむぎ」。熱い湯(汁)に浮かせて食べるものを「温飩(うんとん)」と呼び、時代を経て「うどん」になったそう。
ということは……「そうめん」と「ひやむぎ」って、結局同じものなの? いえいえ、そこもまたややこしい事実があるようで。
時代は流れて昭和、機械で麺をつくるのが普及したとき、細い麺を「ひやむぎ」として販売する業者が現れたのです。「もう、勝手にひやむぎなんて名前つけたの、誰よ!? 混乱するじゃない!」ということで、JAS(日本農林規格)が以下のように基準を制定。
「そうめん」:機械製麺の場合、角棒状では幅0.7~1.2mm、厚さ1.0mm未満、丸棒状は直径0.8~1.3mm。手延べの場合は1.3mm未満。
「ひやむぎ」:機械製麺の場合、角棒状では幅1.2~1.7mm、厚さ1.0~2.0mm、丸棒状は直径1.3~1.7mm。手延べの場合は1.3mm~1.7mm。
ちなみに、それより太いもの(1.7mm以上)が「うどん」となります。うーん。「そうめん」や「ひやむぎ」はあんなにもシンプルな見た目、味なのに、こんなゴタゴタに巻き込まれていたとは……まったく知りませんでした!
【「ソーセージ」と「ウィンナー」】
「ソーセージ」:肉をひき肉にして味付けなどをして、腸などに詰めたものの総称。
「ウィンナー」:ソーセージの1種。太さが20mm以下のもの。
【「カフェオレ」と「カフェラテ」】
「カフェオレ」:フランス語でコーヒー牛乳のこと。コーヒーは、普通のコーヒーを使う。
「カフェラテ」:イタリア語でコーヒー牛乳のこと。コーヒーは、エスプレッソを使う。
【「ソーダ」と「サイダー」】
:炭酸ガスを含んだ水のこと。炭酸水全般を意味していて、「ラムネ」も「サイダー」も「ソーダ」の1種。
※ちなみに、「ラムネ」は「サイダー」にレモンを加えたもの。
「サイダー」:「ソーダ」にクエン酸や香料、砂糖などを加えた清涼飲料水のこと。
【「中国料理」と「中華料理」】
「中国料理」:本場中国の味を再現した料理のこと。
「中華料理」:日本人が食べやすいようにアレンジした中国料理のこと。
あなたは、いくつ知っていましたか? 私(記者)は、今回この記事を書くまでひとつもわかりませんでしたよ! でも、今日からはちょっぴり違いのわかる女! みなさんも、知識を深めてまわりの人に自慢しちゃいましょう!
参考リンク:日本おにぎり協会
森林・林業学習館
アマノフーズ公式オンラインショップ
RICOH Communication Club
※上記で紹介したものは、諸説あるうちのひとつである場合があります。
画像=ぱくたそ[1]、[2]、[3]、[4]、一部Pouch
執筆=マリアンヌ(c)Pouch
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