海外掲示板「reddit」で、ある1枚の写真が話題になっています。

それは、1955年に撮影されたひとりの日本人女性の写真。まだ沖縄が、アメリカの占領下にあった時代のもの。

伏し目がちに映るその女性は、とあるアメリカ人男性が60年にも渡って思い続けた、叶わなかった恋の相手でした。

【「俺には日本人の彼女がいたんだ」】

投稿者のアメリカ人男性は、祖父に育てられたのだそう。そのおじいさんは元アメリカ空軍で、沖縄に駐留していたこともあり、「俺には日本人の恋人がいたんだ」とよく話していたのだとか。

投稿者を含め、周囲の人々は、その話が出るたびに「またまた〜」と笑い話にしていたのですが……彼女の話をするとき、いつもおじいさんはとても悲しそうな顔をしていたのだそう。

そんなある日、おじいさんの机から出てきた1枚の古い写真に、投稿者は衝撃を受けます。

そこに映っているのは、戦闘機のかたわらに腰かけるひとりの日本人女性。ワンピースを着こなす洗練された姿は、まるでモデルのよう。おじいさんには、本当に日本に残してきた彼女がいたのです。

【60年ものあいだ隠し続けた写真】

60年以上、誰の目にも触れないように、大切にしまっていた彼女の写真。おじいさんは「ママ(=投稿者のおばあさん)には内緒だよ!」と釘を刺しつつ、投稿者に当時の出来事を話してくれました。

おじいさんは日本を去るとき、その彼女に「必ず君を迎えに来るから」と伝えたのだそう。でも彼女は「いいえ、きっとあなたは戻らないわ」と答えたのだとか。

その彼女の言葉通り、帰国後のおじいさんが日本に戻ることはおろか、彼女と連絡を取ることさえその時代には容易ではなく――それが今生の別れになってしまったと。

アメリカに帰国し、愛すべき人と出会い、子どもや孫に恵まれていても、忘れられなかった恋。どんなに時間が経っても、おじいさんはずっと彼女のことを想っていたのだと、投稿者は結んでいます。

【忘れられない恋ってあるよね……】

この投稿には、さまざまなコメントがついています。祖父の世代から同様の体験を聞いた人びとはもちろんなのですが、妙に盛り上がっているのが「俺も2年前に別れた彼女が忘れらんなくてさ……」など、自身の悲恋に重ねてしまう皆さん。

物語の尺が全然違くない!? と思わなくもないですが、まあ実際のところ、そういう忘れられない恋ってあるわけで……。ああああ〜っと胸を締め付けられるような共感、ワカリマス。

今が幸せかどうかに関係なく、ずうっと自分の心の引き出しに、大切にしまっておくような想いや記憶。投稿者のおじいさんは、60年という時を経てようやく、その引き出しを開けることができたのかもしれません。

参照元:reddit
執筆=森本マリ (c)Pouch