もう夏も終わり、秋のムードになっているけど、なぜか無性に海が見たい。できれば、人影もまばらな秋の海で、静かに、ひとりで……。

毎月1のつく日(1日、11日、21日だけ)は「ステキなぼっちの日」です。Pouchでは担当ライターが体を張ってぼっちの限界に挑み、ぼっちの可能性を広げるべく、世の中のさまざまな場所でぼっちでも楽しく過ごせるかどうかを誠心誠意、検証しています!

最近のぼっち企画は「本来複数でワイワイ行く場所にひとりぼっちで立ち向かう」というものが多かったのですが……今回はガチの孤独を味わうべく、都会の喧騒を離れて無人島にひとりで行くという企画でございます。

「無人島? なにそれ電波少年の企画? 大丈夫!?」と思われそうですが、都心から約2時間ほどで行ける「猿島」という無人島があるのです。

【横須賀から船で10分で行ける無人島】

猿島は神奈川県・横須賀市の東京湾に浮かぶ無人島です。現在は自然公園として整備されていますが、戦前は日本軍が要塞として使っていた場所で、軍の施設跡が残っているとかなんとか……。

京急線横須賀中央駅から徒歩13分程度のところにある新三笠桟橋、そこで船に乗り約10分で到着する猿島。往復の船賃+入園料で1500円という、なんともアクセス至便な無人島であります。

私が猿島に向かったのは平日の午後。船着き場につくと……猿島行きの船の前には結構な行列。20人以上はいて、船はほぼ満席。しかも大学生グループやカップルが多い。孤独な旅路を想像していた私は少々面食らいました。

しかし、短時間とはいえ、船に乗って海を渡ると、日常生活やしがらみとおさらばした感じがして、なんとも言えない解放感があります。「海はいいな」などと思っていたら、あっという間に猿島に到着……。

【あれ、けっこう人がいる…?】

島に着き桟橋を抜けると、BBQエリアやレンタルショップ、売店などがあり、まるで普通の海水浴場のようです。食料を調達しようと売店に入ったものの、大学生グループがはしゃぎながらアイスを選んでいてアイスケースに近づけず。都会にいるときとなんら変わらない孤独感! 私はひとりになりたくて無人島に来たのに……。

【無人島の中を散策】

島の中には日本軍の要塞の遺構があり、それをめぐるハイキングコースがあるとのこと。大学生グループ達から離れて孤独を満喫するべく、そのコースを散策することに。

しかし、ここもまたどうやら「映える(ばえる)」スポットとして人気のようで、カメラ女子や、無人島デートという最高のシチュエーションを楽しむカップルなど、どこに行っても人がいます。彼らを避けるように、歩みを進めることに。

「小さな島だし、ハイキングコースといったって大したことないだろう……」と高をくくっていたのですが、意外なほどアップダウンがあります。そして、鬱蒼と広がる森。

無心で歩み、島の高みを目指してどんどんどんどん進んでいき、展望台のある場所へ着きました。海が見えて、見晴らしもいい! 周囲の人もまばらに。思ったよりキレイに整備されてはいるけど風情は申し分なし、海を眺めながらしばしぼんやり。ああ、これだよ、私が求めていたのは……。

その頃、15時45分の船があと10分ほどで出る……というアナウンスが島の中に流れました。それまで近くにいた人たちが慌ただしく元来た道を戻っていきます。日が少し陰ってきたけど、最終便は17時だし、まだ時間あるから私はもう少し散策しよう、とゆっくりしていました。

このときの私は、まだ分かっていなかったのです。本当の孤独を……。

【無人島で感じる孤独のやばさ】

とにかく人のいない場所、そして海に近い方を目指し岸壁に向かって歩いていたら、すっかりひとりに。波が岩を打ちつける音だけが響きます。岸には落下防止の柵もなく、ここで落ちたらきっと誰も助けに来ない……と思うと背筋がゾッとしました。

早く戻ろう……と、もと来た道を歩くも、この日は風が強く、夕方になるにつれ海風がいっそう強くなり、鬱蒼と広がる木々が風で揺れる音、鳥の鳴き声がザワザワと不安を掻き立てます。しかも軽く道に迷いました。

【誰もいないはずのトンネルに響く足音】

極めつけは、軍の遺構のトンネル。来たときは人がいたから「ちょっと怖いな……」くらいだったのが、ひとりで歩くとなると死ぬほど怖い!!

こんなトンネルが3つもあるのです……。しかも長いのもある……。来たときは人がたくさんいたのに、15時45分の船で帰った人が多いのか、もはや島には人がいない。これほどにまで、人恋しいと思ったことはないでしょう。

一番長いトンネルを歩いていたら、私しかいないはずなのに、後ろで杖をつくようなカーーーンという音が響き、恐怖感はマックスに! 旧日本軍関連施設だしやっぱり何かほらあのその! 後ろを振り返らずに、1人で全速力で走りました。

人がたくさんいた映えるスポットも、今となってはわたしだけのひとりぼっち……。あたりはだんだん暗くなってくるし。わーい海と無人島を独り占め……できても、ちっともうれしくない!

【帰る頃には人恋しく…】

ここまでひとりともう本当に恐怖しか感じないので、帰る道の先に人影が見えたときは心底ホッとしました。2人きりでいいムードになりたさそうなカップルの後ろをずっとついて歩いたりして……(すみません)。17時の最終便の船に乗るころには、憎らしかったウェイ系の大学生たちの姿も愛おしく思えました。

ハイシーズンつまり7~8月は週末イベントの開催などもあり、とっても賑わっているという猿島。でも夏が終わったオフシーズンの平日は人も少なく、手軽にぼっち気分をあじわえるスポットだと思います。ただし、最終便前の人もまばらな島は、下手なお化け屋敷の数倍怖いので、覚悟されたし!

サバイバル度:★★★★
ぼっち度:★★★★★★★★★★★★★★★★
映える度:★★★★★★★★★★

参考リンク=猿島
執筆・撮影=御花畑マリコ (c)Pouch

▼杖が置いてあったけど使ってる人ほとんどいなくて老人のよう……。アップダウン多いので使ったほうがいいです!

▼砲台のあととか軍の遺構、なかなか怖いです

▼立ち入り禁止だけど洞窟もある。怖い

▼レンガ跡とかいちいち怖い

▼長い階段を下るも、どこまで下るのか分からなくて怖い。全部怖い

▼木の根っこすら怖い……