【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、永野芽郁さんが赤血球、佐藤健さんが白血球を演じる映画『はたらく細胞』(2024年12月13日公開)。舞台は人間の体内で、主人公は細胞という奇想天外な設定が話題を呼んだ、シリーズ累計1000万部突破の大ヒットシリーズの実写映画化です。
さて、どうなっているのやら……。試写で鑑賞したので、ご紹介します!
【物語】
高校生の漆崎日胡(芦田愛菜さん)は、父の茂(阿部サダヲさん)とふたり暮らし。そんなふたりの体内では健康を維持するために細胞たちは懸命に働いています。
日胡の体はクリーンなので、赤血球(永野芽郁さん)も白血球(佐藤健さん)も明るく楽しく働いています。しかし、不規則で不摂生な茂の体は細胞たちにとってブラックな職場。いつもブーブーと文句を言っているのです。
そんなある日、漆崎親子にとって最悪なことが起こってしまうのです! 細胞たちはこのピンチを乗り越えることができるのか?
【体の中で命を支える細胞たちが大活躍】
細胞を擬人化してその働きをエンタテイメントとして表現していく、という本作。
怪我やアレルギー、病がどのように体を蝕んでいくのかを擬人化した細胞や病原菌たちの行動でコミカル&わかりやすく描いているので、楽しみながら学べて、医学に詳しくなくても「なるほど〜」と思いながら鑑賞できるんですよ!
【細胞と病のバトルはまるで体内戦争】
また細胞たちが活躍する体内の描写、美術がとても楽しい!
規則正しい生活送る日胡の体内はお城のように綺麗な世界。いっぽう、不規則な生活を送る茂の体内は薄汚れたゴーストタウンみたい。放り投げられたゴミの山は病原菌の素なわけですよ。細胞たちも酷使されてしんどそう……。
ところが、この親子を脅かす最悪の病原体が現れてから事態は一変! 重い病は細胞にとって最強の敵であり、細胞 VS 最悪な病気の戦いは、まるで戦争です。
体を蝕んでいく病原体、それを阻止して撲滅させようとする細胞たち。これが体内で起こっているわけですから「そりゃ苦しいはずだ」と、いつの間にか自分ごとのように見てしまいました。
完成披露会見で、新米赤血球を演じた板垣李光人さんが「この映画の影響で、初めて人間ドッグに行きました」と言っていたけどわかる〜! 細胞たちの闘う姿を観ていると、自分の体を大切にしなきゃ!という気持ちが生まれてくるんです。
【細菌として大暴れするスター俳優たち】
キャストもとても豪華でスター俳優が結集しました。日胡の体の新米赤血球を演じる永野さんはふんわりした魅力とたしかな演技力でちょっとトロい赤血球の成長を見せてくれます。
そして顔面白塗りでイケメンを封印した白血球役の佐藤さんは白血球界のエースとして機敏な動きで大アクションを見せてくれます。
日胡の体内に宿る謎の存在を演じるFukaseさんと佐藤さんの大バトルはこの映画のハイライト!
ほか、病を退治するキラーT細胞の山本耕史さん、アウトローなNK細胞の仲里依紗さんもかっこよかった! 仲さん、どんな役でもできるんだなと振り幅の広さにびっくりですよ!
【マルモリの親子に懐かしさも】
漆崎親子を演じる阿部サダヲさんと芦田愛菜さんは、かつてドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ)で共演。当時、まだ子役と呼ばれ小学生だった芦田さんも今や20歳。阿部さんと芦田さんは親子役で息の合ったお芝居を見せ、最後は泣かせてくれるんですよ〜。
茂と日胡の日々の生活が体内の細胞たちに大きな影響を与え、細胞たちの活躍による体の変化が親子の人生に大きな影響をもたらす……。人間は細胞と持ちつ持たれつの関係なんですね。
奇想天外で賑やかですが、最後は “健康一番!” と思わせてくれる映画『はたらく細胞』。小さなお子さんでもOK! 幅広い年代が楽しめる快作です。
執筆:斎藤 香(c)Pouch
『はたらく細胞』
2024年12月13日より全国ロードショー
原作:「はたらく細胞」(清水茜/月刊少年シリウス/講談社)
「はたらく細胞BLACK」(原田重光・初嘉屋一生・清水茜/モーニング/講談社)
監督:武内英樹
出演:
永野芽郁 佐藤健
芦田愛菜 山本耕史 仲里依紗 松本若菜 染谷将太
板垣李光人 加藤諒 加藤清史郎 マイカピュ
深田恭子 / 片岡愛之助
新納慎也 小沢真珠 鶴見辰吾 光石研
Fukase (SEKAI NO OWARI) / 阿部サダヲ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会
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