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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、6月29日公開の『真夏の方程式』。ご存じ大ヒットドラマ「ガリレオ」(フジテレビ系)の劇場版です。

主演の福山雅治は、是枝裕和監督の最新作『そして父になる』(2013年10月5日公開)にも出演しており、これがカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞という快挙! ドラマもヒットして、まさに旬の男! これを見ないわけにいかないでしょう!

舞台は美しい海が残る玻璃ケ浦。海底資源の開発に躍起になる企業と、美しい海を守りたい環境保護グループが意見を衝突させているとき、企業側のアドバイザーとしてやってきたのが湯川(福山雅治)。

彼はとある小さな旅館に宿泊しますが、その旅館は環境保護グループの一員である成美(杏)の両親が営む旅館。しかし、成美も両親(前田吟・風吹ジュン)も人柄がよく、湯川は居心地の良さを感じます。ところが、宿泊客が近くで変死体となって発見され、旅館内は騒然。被害者は元刑事。東京から捜査のためにやってきた捜査一課の岸谷美砂(吉高由里子)は、湯川に協力を仰ぎますが……。

映画はドラマよりも先に撮影されているので、福山氏が湯川に再会するのは前作『容疑者Xの献身』以来、5年ぶり。彼に言わせると「ずっと冬眠状態でした」とのこと。

「まだドラマ化されていない原作もあるので、やるのかなと思ってしました。だから、前回でやりきった感はなく、ずっと寝かしておいたんです(笑)」と話す。

「第1シーズンの湯川をコピーして再登場させるのではなく、今の湯川を演じたい」と、福山氏が言う通り、メガネもチェンジして、時の流れとともに変化する湯川を見せています。

一番の変化は 湯川が “接するとジンマシンが出る” というほど苦手な子供とコミュニケーションを深めるシーンがあること! このコミュニケーションが謎を解くひとつの鍵になっていますから、要注目ですよ。

ドラマ「ガリレオ」の第2シーズンは最終回を迎えましたが、実は映画『真夏の方程式』の方がドラマより先に撮影されていました(2012年9月~12月にかけて撮影)。つまり新キャラクターの岸谷を演じる吉高由里子嬢は、この映画の撮影が「ガリレオ」チーム初参加だったのですね。

本編で見る彼女は、湯川とのかけあいもスムーズで無問題! と思ったのですが、実は、本読みで緊張しまくり、現場でも監督から細かい指示が飛ぶなど、大変な苦労だったようです。

そんな吉高嬢ですが舞台挨拶ではすっかり慣れて「福山さんの周りはいつも取り巻きが凄くて “スターかと思った” と言ったら “いや、ビッグスターだ” と返されました」とバクロして茶目っ気たっぷり! 事務所の大先輩を笑わせるジョークを炸裂させておりました。

しかし、今回、湯川といちばん近い関係だったのは、事件に大きくかかわってくる少年・恭平を演じる子役の山﨑 光くん。クランクアップでは、福山氏からクランクアップ記念のプレゼントをもらっていたそう。まあああ、うらやまし~こと!

「ガリレオ」劇場版第一弾『容疑者Xの献身』も今回の『真夏の方程式』も、殺人は起こるけれど、謎解きが犯人探しのスリルだけでなく、なぜ殺人にいたったのか……その動機の謎を解き、きちんと人間ドラマを描こうとしているところに好感が持てます。

そこに葛藤があるから、人は惹きつけられる。ただ、脅かしたり、怖がらせたり、殺人をゲームのように扱うものとは一線を画した「ガリレオ」シリーズ。映画『真夏の方程式』もその志はしっかり受け継いでいます。

ちなみに原作者の東野圭吾氏は、本編を見て「原作にもっとトッピングしてくると思ったのですが、こういう風に作ってくれてありがとう」とコメント。満足のいく出来栄えだったようですよ。
(映画ライター=斎藤 香)

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『真夏の方程式』
2013年6月29日公開
監督:西谷弘
出演:福山雅治、吉高由里子、北村一輝、杏、山崎光、風吹ジュン、前田吟、田中哲司、塩見三省ほか
(C)2013 フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社