[公開直前☆最新シネマ批評]
毎週金曜日は、映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。本日はいよいよ明日公開の『武士の家計簿』です。

最近ブームの時代劇。カンヌ映画祭を湧かせた『十三人の刺客』あり、人気漫画が原作の『大奥』あり……。バイオレンス、色恋とそれぞれ個性豊かです。そんな中、公開される『武士の家計簿』。

江戸時代後半、加賀藩の財政に代々かかわっていた猪山家。長男・猪山直之(堺雅人)も御算用者(会計処理の専門家)に。直之は、経理の不正を暴くほどのソロバンの達人。やがて出世していくが、家計が火の車になったとき、彼は猪山家の仕分けを始めます。

高価な物は売り、お金を作り、とにかく倹約。囲碁の碁石は貝殻、塗りのお弁当箱は竹皮に。絵に描いた餅ならぬ、絵に描いた鯛も出てきました。

この不況の世の中、貧乏な話は胸が痛いですが、物は考えよう。「工夫をこらすのは楽しい」と直之夫人のお駒(仲間由紀恵)も言ってましたが、なるほど! こういうときに家族ってミョーに団結するものなのですね。

もうちょっと江戸時代ならではのユニークな方法があれば、「おお!」と食い付いたのですが、節約に時代は関係なく、普遍的なものなのかもしれません。

ちなみに時代劇といえば殺陣。斬って斬られて……がお約束ですが、この映画にはそんなシーンはみじんもなく、堺雅人はひたすらソロバンで銭勘定。チャンバラを期待していくと拍子抜けですが、江戸時代のホームドラマだと思って行けば、十分楽しめますよ。(映画ライター/ 斎藤香)

『武士の家計簿』
12月4日(土)より、全国松竹系にてロードショー

監督:森田芳光
出演:堺雅人 仲間由紀恵 松坂慶子 西村雅彦 草笛光子 中村雅俊
(堺雅人、仲間由紀恵、松坂慶子、中村雅俊、草笛光子、西村雅彦)
原作:磯田道史『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』新潮新書刊
公式HP:www.bushikake.jp
配給: アスミック・エース、松竹
(C)2010「武士の家計簿」製作委員会

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【斎藤香のプロフィール】
映画誌の編集者を経て、フリーのエディター&ライターに。
好きな映画はシニカルなコメディとミステリー系。好きな監督はウディ・アレン。
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