上海の中心街を歩いていると、菓子や軽食を売る昔ながらの屋台よりもコンビニの方がはるかに多いことに気づく。中華系のコンビニ「好徳」から、ローソン(羅森)やファミリーマート(全家)といった日系のコンビニなど、上海だけでも4000以上のコンビニがあるという。

ローソンが若干ローカル色が強いのに対し、ファミリーマートで取り扱っている商品は日本のファミマの菓子シリーズ「ボクのおやつ」や日本のスナックやチョコレート菓子などの種類も豊富だ。ただし、値段は日本国内での販売価格よりも若干高めの設定となっている。

今回は「ファミリーマート」へ行って、日本との違いを観察してみることにした。まず気づくのは、自動ドアがオープンしたときのチャイム。チャラララララ~ン♪  という音色。日本のファミマと同じではないか! 聴きなれたあのメロディよりわずかに音程は高いけれど、異国の地でこのメロディを耳にすると親しみが湧いてきて、初めて足を踏み入れる店とは思えない。

カウンターにはおでん、中華まん、そして豆乳がずらり。おでんは赤い色が見るからに辛そうな「麻辣味」、黄色の「カレー味」、そして馴染みのある「醤油ベース」の3種類。おでんダネの値段は1つ1元~2.5元(13~32円)。個性的な形をした中華まんは、牛肉や鶏肉の餡やチャーシューを包んだもの、野菜入りのもの、ソーセージが入ったものから、中身のないもの、デザート系では芋餡やカスタードクリーム入りのものまでなんと14種類もあった。値段は1コ1.2元~3元(15~38円)。

朝食時に温かい豆乳を飲む習慣のある中国なだけに、記者が訪れた朝の時間帯は豆乳を求める客で賑わっていた。パックで売られている豆乳は見たことがあっても、店頭で売られているものに出くわすことは日本では今までなかったので、コンビニで新鮮な豆乳に出合えたことに感動。

豆乳(3元、約38円)は大豆の甘みが感じられるやわらかい味で、ゴマ入りの黒い豆乳「芝麻豆漿」(3.5元、約44円)はゴマの濃厚な味が優しい豆乳の味とマッチしていて、非常に美味。濃度もボリュームもあるので、1杯飲み終える頃にはお腹が膨れる。ちなみに現地のファストフード店「ケンタッキー(肯徳基)」でも豆乳が売られている。それぐらい豆乳は中国の食に密着した飲み物なのである。

大きな違いはカウンターで販売されているフードや飲み物で、菓子パンやペットボトルの飲料、アイスクリームや雑誌といったラインナップはローカライズされてはいるものの、違和感は感じなかった。ファミリーマートは2004年に上海に第一号店をオープン以来、広州、蘇州にも店を展開しており、店舗数は300店舗以上にのぼる。中国へ行くことがあれば、日系のコンビニへ足を運んで商品ラインナップの違いを観察してみるのも楽しいかもしれない。
(記者:sweetsholic)

▼上海のファミマの入店音