[公開直前☆最新シネマ批評]
毎週金曜日は、映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

70年代人気を博したガールズ・ロックバンドの先駆者ランナウェイズ。彼女たちのグループ結成から舞台裏まで描いた明日12日公開の映画『ランナウェイズ』を今回はピックアップ!

70年代ロック界に彗星のように現れたガールズ・ロックバンド「ランナウェイズ」は、日本で絶大な人気を博したが、結局は一時的なブームに終わってしまった。そんなランナウェイズがなぜいま映画に? その発端は、下着姿で「チェリー・ボム!」とシャウトしていたボーカリスト、シェリー・カーリーが上梓(じょうし)した自伝があったのです。

シェリーのランナウェイズ時代のエピソードがつまった自伝「ネオン・エンジェル」。これを映画化しようとしたプロデューサーのジョン・リンソンは、70年代ロックの洗礼を受けたタイプでシェリーのファンでした。彼は情熱を持って映画会社を探し、製作は決定! しかし実在の人物の物語ゆえ、ことはそう簡単に運ばなかったのです。

問題はメンバーの映画化の了承にありました。ランナウェイズを知る人は映画を見て、必ず「?」と思うであろうベーシスト。ジャッキー・フォックスではない! そうです、映画ではロビンという謎の女性になっています。

これは映画化にあたり、ジャッキーが拒否したという噂があります。現在、弁護士の彼女は、映画に自分の名前を使うのを良しとしなかったようです。

この件で、製作者のひとりで元メンバーのジョーン・ジェットは「訴える!」と言っているという話もあります。ジャッキーはランナウェイズ在籍時、来日中に脱退してメンバーに迷惑をかけたという過去もあり、なにかとトラブルメイカーだったようで。ロックバンドってやんちゃなイメージが強いけど、女子でもやっぱりロックミュージシャンはやんちゃ上等なんですね。

しかし、2006年にドラマーのサンディ・ウエストが他界。彼女はランナウェイズのドキュメンタリー「Edgeplay: A Film About The Runaways」で、メンバーへの愛とこだわりを語っていたそう。もしかしたらいちばんランナウェイズを愛していた人かもしれません。彼女のためにもトラブルは穏便に解決し、ランナウェイズ同様に、映画も日本で大ヒットさせて、再びブームを巻き起こしてほしいですね。(映画ライター:斎藤 香)

『ランナウェイズ』
3月12日、シネクイントほか全国ロードショー

監督:フローリア・シジスモンディ
出演:ダコタ・ファニング、クリステン・スチュワート、マイケル・シャノン、スカウト・テイラー=コンプトン、ステラ・メイヴ、アリア・ショウカットほか
配給: クロックワークス
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ライタープロフィール:http://bit.ly/hlZYAr