特別な思いを寄せている相手には、誰しも、いつまでも心に残る思い出を、お互いに重ねて行きたいものです。長く続く関係を求めるのなら、なおさら。「昔、こんなことがあったね」と言って、「そんなことあった?」といわれると、少し寂しくなってしまいます。

そこで、お互いに忘れられない思い出を作る、素敵な方法をお教えしましょう。お金も時間もできる素晴らしい方法です。

この方法は私(記者)自身が体験したもので、その当時の思い出を、今でも心に携えています。諸事情により、その相手とは別れることになってしまいましたが、その人にもらった思い出は、いつまでも温かく心に刻まれています。

その当時のことを少しお話しましょう。まだ私が学生の頃、外国人の方とお付き合いする機会にめぐり合いました。その方は、カナダ出身で、アルバイト先で出会ったのです。日本語が堪能ので、語学留学で日本を訪れていました。後々は日本で仕事をしていくことを望んでいたのですが、ご家庭の事情で突然別れることに。

別れが近付いたある日のことです。夕暮れ時の公園を散歩していたときのこと、その人は私にこう言ってくれました。

「この景色をあげる」と。

オレンジ色に彩られたブランコや滑り台。遠くに見えるビルや、名前も知らない立ち木。そして、そこにいる私たち。それらすべてを「あげる」と言ってくれたのでした。

今、手に取れる形は何もありません。しかし、その時その瞬間を、「自分の物」と思っても良いと、感じられたのです。その気持ちが嬉しかった。

思い出話が長くなりましたが、お金も時間もかけず、言葉をかけるだけでも、相手に忘れられない思い出を贈ることは可能です。むしろ、お金をかけただけ相手に自分の思いが伝わるということはないのです。ささやかな心配りと、その人を大切に感じる気持ちがあれば、お金や物に勝る価値を見つけることができるのではないでしょうか。

本当の思いを伝えたいと思う相手がいる方は、是非この「景色をあげる」という方法を試してみてください。ただし、何度も使うものではないので、可能なら一生に一度と思って実践してみて頂きたいです。

(文=チャーミー)