私たちが普段見慣れている世界でも、ひとたび視点を変えれば全く違う風景になる。今回ご紹介するのは、写真家Stephanie Jung氏がとらえた、都会の喧騒がそのまま視覚化されたような一風変わった写真の数々です。

Jung氏が撮影したのは、東京・京都・大阪など、日本国内にある主要都市のありふれた風景。しかしこの写真が他の写真と決定的に違うのは、「風景の輪郭が幾重にも重なっている」という点にあります。

そこに写っているのは、一瞬、自分の視界がぼやけてしまったのかと疑いそうになる風景。まるで、人や車、そしてそこにあるすべてのものが、ものすごい速さで進行してゆく時間から切り取られてしまったかのようにも見えます。

「日本のストリートに流れている混沌と興奮が入り混じった空気。私はその空気をとらえようとしたのです」と語るJung氏。その言葉どおり、物体の輪郭が重なることによって生まれた独特のゆらぎのようなものからは、街に溢れるざわめきを感じとることができます。

また輪郭を幾重にも重ねるという手法には、「形あるはずの物体を抽象化する」という効果も。車や人間など「個」を象徴するものを視覚的にあやふやにして、一方で、色と光はまぶしすぎるほどに強調する。そのように手を加えられた日本の都市風景は、まさにカオスそのものと言っても過言ではありません。

無数の声が今にも聞こえてきそうな、外国人からみた日本の都市という名の混沌。それではじっくりとお楽しみください。

(文=田端あんじ)

参考元:fr.lumas.com(http://goo.gl/Vhsvc

▼めまぐるしく行き交う人や車、そして光

▼奈良

▼東京・渋谷

▼東京

▼撮影地不明

▼奈良

▼大阪

▼撮影地不明

▼東京