先日発表された、イグノーベル賞2012。今年は「音響学賞」に、日本人の栗原一貴さんと塚田浩二さんが開発した、「迷惑を顧みず話続ける人を邪魔する装置」その名も『スピーチジャマー』が選ばれて話題になりましたよね。
イグノーベル賞には、「音響学賞」のほかにも、「物理学賞」「医学賞」「心理学賞」「文学賞」「平和賞」など様々な部門が設けられています。そこで今回は、今年各賞に選ばれたユーモア溢れる受賞作の数々を、みなさまにご紹介しようと思いますっ!
「イグノーベル賞とはなんぞや?」と首をかしげている、そこのあなた。そんなあなたのために説明いたしますと、こちらの賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞のこと。
賞を企画運営しているのは、ユーモア溢れるサイエンス雑誌『Annals of Improbable Research(風変わりな研究の年報)』と、その編集者であるマーク・エイブラハムズさん。共同スポンサーには、ハーバード・コンピューター協会やハーバード・ラドクリフSF協会などが名を連ねています。
今や世界が注目するまでになった、イグノーベル賞。それでは早速、今年の受賞作をみていただくことにいたしましょう。
「音響学賞」:『スピーチジャマー』
受賞者:栗原一貴さん(産業技術総合研究所)・塚田浩二さん(科学技術振興機構)
■話している人の声をマイクで収集し、0.2秒後に指向性スピーカーで声を本人に送り返す。微妙に遅れて聞こえてくる自分の声のせいで脳が混乱を引き起こすため、その人はうまく話すことができなくなってしまう。そんな本装置を開発したおふたり、受賞おめでとうございます!
「心理学賞」:『人を左に傾かせるとエッフェル塔が小さく見えるという研究』
受賞者: Anita Eerlandさん・Rolf Zwaanさん・Tulio Guadalupeさん(ペルー・ロシア・オランダの研究グループ)
■人には「右側にあるものほど大きい」と思う潜在意識があります。それを証明してみせたのが、こちらの研究です。
「平和賞」:『古い弾薬をダイヤモンドに変える技術』
受賞者: The SKN Company(ロシアの会社)
■ロシアの古い弾薬からダイヤモンドを生成することに成功しました。
「神経科学賞」:『複雑な機械と単純な統計さえあれば、どんなところにでも(たとえ死んだ鮭の体内にでも)、意味のある脳活動を見出せることを実証』
受賞者: Craig Bennettさん・Abigail Bairdさん・Michael Millerさん・George Wolfordさん(アメリカの研究チーム)
■スーパーで買ってきた鮭をMRIでスキャンし単純な統計解析を行うことで、死んだはずの鮭の頭の中に、外部の刺激に反応して活動している領域があるというデータを得ることに成功。
「化学賞」:『スウェーデンのある街に住む人々の髪の色が、なぜか緑色に変色してしまった謎を解明』
受賞者: Johan Petterssonさん(スウェーデン・ルワンダ)
■元々金髪だった人々の髪の色が緑色に染まった原因は、なんと配管内の銅。きちんとめっき加工されていなかったために、銅が溶けだし髪を染色してしまっていたらしいです(お髭の色に注目)。恐ろしい……。
「文学賞」:『報告書についての報告書についての報告書についての報告書の準備を奨励する報告書についての報告書についての報告書を発行したこと』
受賞者: アメリカ合衆国政府監査院
■「報告書」に「報告書」が。そしてその「報告書」にさらなる「報告書」が必要な国、アメリカ……。
「物理学賞」:『ポニーテールはなぜあのかたちになるのか』
受賞者: Joseph Kellerさん・Raymond Goldsteinさん・Patrick Warrenさん・ Robin Ballさん(アメリカ・イギリスの研究チーム)
■ポニーテールを作った際の、あのかたちと動き。その状態を与える力のバランスを計算したことに対して賞が贈られました。
「流体力学賞」:『コーヒーの入ったカップを運んで歩くときになぜコーヒーがこぼれるのかをつきとめる』
受賞者: Rouslan Krechetnikovさん・Hans Mayerさん(ロシア・アメリカ・カナダの研究チーム)
■コップの中のコーヒーが外部からの振動によってどのような影響を受けるのかを、液体の力学に基づいて研究したのだとか。
「解剖学賞」:『チンパンジーはチンパンジーをお尻で見分けている』
受賞者: Frans de Waalさん・Jennifer Pokornyさん(オランダ・アメリカの研究チーム)
■チンパンジーは、他のチンパンジーのお尻を見ることによって、チンパンジーを識別しているということを発見。
「医学賞」:『大腸内視鏡治療時に、結腸ガスが爆発する可能性を最小限に抑えるアドバイスまとめ』
受賞者: Emmanuel Ben-Soussanさん・ Michel Antoniettiさん(フランスの研究チーム)
■大腸内視鏡を操作する医師に対し、どのようにすれば患者が爆発する(!)危険を減らせるか、をいくつか助言してみました(上記写真は、デモンストレーションをしようとして止められているところです)。
いかがでしたか? どの受賞作品もユーモアに充ち溢れている上、とっても興味深いでしょう?
ちなみにイグノーベル賞で日本人が賞を受賞するのは、今年で連続6回目なのだとか。興味のある方は、過去イグノーベル賞受賞作品をたどってみるのもまた、おもしろいのでおススメですよ。
(文=田端あんじ)
参考元:イグノーベル賞公式サイト( http://goo.gl/nWy2r)
▼授賞式のすべてがいちいちおもしろいので、時間があったらぜひ通して観てみてねっ♪
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