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ほぼ全ての仕事には「納期」があります。守らなくてはなりません。漫画家にとってもそれは同じで、彼・彼女らは常に「シメキリ」に追われています。シメキリまであと3日、シメキリまであと1日、シメキリまであと数時間……! そんな時に「進行状況はどんな感じですか?」と連絡してみると、どのような答えが返ってくるのでしょうか?

ということで今回は、プロの漫画家に聞いた「催促されたときの返事」と「その言葉の真意」を50個ほどご紹介したいと思います。「今やっています」という答えが返ってきても、そのまま信じてはいけません。それではどうぞ。

【シメキリ間際の漫画家に催促の連絡したら返ってくる50の言葉とその真意】

その01:「今やっています」→原稿真っ白。
その02:「今まさにやっています!(ドヤ声)」→まさにネタを考えていただけ。
その03:「何事もトラブルがなければ明日には終わっている予定です」→トラブルがあることを臭わしている。
その04:「いま下書きの段階です」→実はまだ構想の段階。
その05:「今回こそは、締め切り厳守します!」→すでに締め切りをぶっちぎっている。
その06:「イメージは固まっています」→必死に構想を練っている。
その07:「こうこうこうで、こういう流れにしようと思います」→というメールを書きながら流れを考えている。
その08:「オチに悩んでいるところです」→まだ1ページ目のネーム段階。
その09:「ネームはできています」→本人ですら読めない殴り書きの紙があるだけ。
その10:「ほとんど終わっていたのですが、どうも納得できないので構想を練り直しています」→構想を考え始めたところ。
その11:「終わりが見えてきました」→とりかかろうとしている。
その12:「ほとんど終わっていたのですが落雷でデータがすべて吹っ飛び、イチから描き直してるところです」→とりかかった。
その13:「大船に乗った気持ちでいてください」→毎回、沈没しかかる。
その14:「気持ちの上では、ほぼ完成です」→あらすじが決まっただけ。
その15:「いまペン入れガシガシやっています!」→コマ枠にペン入れただけ。
その16:「進行状況は70%といったところです」→1コマ目にペン入れしただけ。
その17:「もう一息といったところです!」→2コマ目にペン入れしただけ。
その18:「手塚先生が降りてくるのを待っているところです」→集中力が増す “その時” を待っている。
その19:「手塚先生が降臨してきたのでご安心ください!」→やっとやる気が出たところ。
その20:「トラブルが発生して作業を中断しておりました」→ネットしてた。
その21:「ご安心ください、だいぶイイ感じでペンが走っています!」→1ページ目が終わっただけ。
その22:「ほとんど完成しているのですが、仕上げにも時間がかかりまして」→まだペン入れ終わっていない。
その23:「ゴールが見えてきました!」→半分終わっただけ。
その24:「今晩中には仕上がる見込みです」→翌日の昼過ぎにあがる。
その25:「あと6時間は欲しい感じです」→24時間ぶっ通しでやらないと終わらない状況まで追い込まれている。
その26:「あと3〜4時間ってところでしょうか」→半日以上かかる。
その27:「あと2時間くらいで終わる見込みです」→4時間はかかる。
その28:「あと1時間くらいでしょうか」→2時間はかかる。
その29:「あと30分まってください!」→1時間は待つことに。
その30:「霊が邪魔してくるのです」→精神的にヤバいことになっている。
その31:「いま仕上げ段階です!」→実はまだペン入れしている。
その32:「とりあえず終わっているのですが、見直し、加筆して完成度を高めているところです!」→まだペン入れ中。
その33:「パソコンが調子悪くて……」→ネット見てた。
その34:「原因不明の腹痛になりまして……」→メシ食ってた。
その35:「電波の状況が悪くて……」→フロ入ってた。
その36:「煮詰まりました」→本当に煮詰まっている。
その37:「すみません、ペンを握りしめながら気絶していました」→ふとんを敷いてガッツリ寝ていた。
その38:「インフルエンザにかかってしまったっぽいです」→実はピンピン。
その39:「ネットが重くてファイル送信できないのです」→実はまだペン入れしている。
その40:「お恥ずかしい話ですが、離婚騒動中でして」→本当に離婚騒動中。
その41:「www」→真顔。
その42:「催促のメールが勝手に迷惑メールに分類されていました」→実はちゃんと読んでいる。
その43:「まだ間に合いますでしょうか……」→心臓バクバクしながら原稿が落ちないか心配している。
その44:「遅くなって本当に申し訳ないです」→本当に申し訳ないと思っている。
その45:「何度も電話いただいているのに出られなくてスミマセン!」→ビビって出れなかった。
その46:「原稿ファイル、ネットで送りました!」→送っていない。実は猛烈な勢いでペン入れしている。
その47:「すみません! 添付し忘れました!」→気づかれるまでの数時間を稼ぎ、今度こそギリのギリで完成させる。
その48:「ご安心ください。いま原稿ファイルを送信中です!(ドヤ声)」→本当に送信中。
その49:「来月は締め切り厳守します!」→翌月、さらに遅くなる。
その50:「来月もよろしくお願いします!」→どうか見捨てないでください。

(文=長州ちなみ、イラスト・アドバイス=テリーヌ富士子

▼基本的に話半分だと思ったほうがいいよ!

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